LCO1の鍛冶屋を求めて
【PvP】終了後。
僕は、仮面が下でホクホク顔だった。
何せ、初日で、56380メル(メルとは、LCOの通貨の単位)と色々なアイテムをゲット出来た。
特に、Aランクの鉱石『黒紅石』をゲット出来たのは嬉しい。確か、Aランクの鉱石は、市場では1個あたり10000メルは下らないはずだ。
それを、3個も手に入れられたと言うのだからーーーーそれは、嬉しいだろう。
この始まりの剣槍は最低ランクのEランクだ。ATK(攻撃力)も5と低い。
しかし、この鉱石と柄となる素材があれば、Aランク位の剣槍が手に入るだろう。
それを想像するだけで、血が騒ぐ。心が滾る。
おっと、まずいまずい。いつもの癖が出てしまうところだった。
良い武器を作るには良い鍛冶屋から!っていうことで、聞き込み開始だ。
まずは、ギルドの酒場の奴らから適当に声を掛けていく。
「ちょっと良いか?」
「ヒ、ヒィッ!」
何故かビビられた。何故だ?解せぬ。
「性格がひねくれてても良いから、LCO1の鍛冶屋って誰だ?」
「か、鍛冶屋?」
「あぁ。さっきゲットした素材で武器を作ろうと思ってな」
「性格に難はあるけど、『クウシェ』なら…………」
「クウシェ、か…………そいつは、どこに居るんだ?」
「《竜鉱山・竜腹》にある、山小屋がクウシェの鍛冶場兼プレイヤーホームのはずだ」
「そうか、ありがとう。これはお礼。貰っといてね」
と言って、5000メルをテーブルに置き、ギルドから出る。
そして、ふと気づく。
「あ、ヤバ。《竜鉱山》の場所聞くの忘れてた」
その呟きが誰かに届くことは無かった。
◇◆◇
「遠くに見えた鉱山っぽい所に来てみたけど…………」
このゲームに、基本移動制限はない。ただ、無理矢理先に進むと、敵が強すぎて、すぐに詰む。僕の場合、全然平気だけどネ?
だから、各エリアのボスを順番に倒していくのが正規ルートとなっている。もちろん、そういう縛りをする者もいるが。
「けど、竜腹ってどのあたりだ?」
多分、この竜鉱山は、竜の形に見立てて、場所を決められているーーーんだと思う。
だから、竜腹は丁度真ん中ぐらいーーーー
そこまで、考えた時。
カン、カン、カン、カン
とリズム良く何かが打ち付けられる音がする。
なるほど、ここがクウシェの鍛冶場であっていたらしい。
では、早速向かうとしようーーーー
次話更新日は1月29日の予定です。