【PvP】まで後?秒
ピロン♪という音と同時に目の前メッセージが現れる。
『プレイヤーネーム《ザガン》より、【PvP】の申請を受けました。
ルール:デスマッチ(相手が降参するかHPが0になるまで)
制限時間:無し
アイテム制限:無し
カウントダウン:10秒
フィールド:荒野
メンバー:《ザガン》《ガルド》《ダズマ》VS《シヴァ》
戦利品:負けた相手の所持金、所持アイテム、所持装備全て
この【PvP】を受諾しますか?
『YES』or『NO』 』
特にルールも読まずにYESを押す。すると、フィールドへの転移が始まる。
相手の職業は多分、
ザガンが剣士
ガルドが魔法使い
ダズマがヒーラーか
と、いったところか。
オヤジどもは、ニヤニヤ顔で、
「ネタ構成なんて、舐めてんのか、クソガキ!」
「狐のお面とか、ふざけてんじゃねえの?」
「その面を割って間抜け面を拝んでやるぜ!」
もう、言葉が出ない。
カウントが1になりーーーー0.
『START』の文字が大きく表示される。
剣槍のメリット。それは、2つの攻撃属性とその射程の長さにある。
斬属性と刺突属性を兼ね備え、通常の長剣よりも射程が長く便利!ーーーーとはいかない。
デメリットとして、まず、そもそも当たらない。長剣と槍を合わせたものより重い。
次に、壊れやすい上に高い。それは、もう機関銃並みに武器費用がぶっ飛んでいる。
最後に、盾系鎧系を装備出来なくなる。覆面や皮のコートなどしか、装備出来なくなるのだ。
これにより、並火力紙装甲浪費癖の強いネタ装備の出来上がりだ。
しかも、この職業と種族。
基本的に狐人族はAGIメインの種族だ。少なくとも、剣槍のような重武器を振り回す種族じゃない。
職業の《紋章魔術師》だって、適正武器種は杖だ。しかも、紋章魔術師は、如何なる魔法も使えるには使えるが、魔術を行使するためには、まず杖で紋章を書かなければならない。
その紋章を書くためには、MPを毎時消費する必要がある。そして、その紋章の出来具合で、魔術の効果は、変わっていく。素早さとセンスが問われる職業だ。
重くてロクに武器を振り回せない上に、中々当たらず、そして魔術の行使も遅い。そして、紙装甲。
こんな、不遇パラダイスの中で、この組み合わせの真価を引き出す希望が、1つだけあるーーーー
次話更新日は1月17日の予定です。