オカシなオカシのソ~ダツセン 後編①
ま、まぁ、どうなるか分からない、って言ってたし多少はね?
ズンッ!ドンッ!ゴヒュッ!
一発で1000000もある空飛ぶカボチャのHPを削りきる。何気に果ての地の龍族のHPに勝っているから、ムカつく。まぁ、あっちはレベル1であれなんだろうけど。
もちろん、1000000ものHPを一撃で削りきることが出来るのは、九尾の尻尾のおかげだ。
レイドボス戦が始まると、真正面まで飛び上がって、一発突きを入れる。落ちてる間にクリア時のリザルト画面を消して、着地したらまたレイドボス戦へ。
何百回にも及ぶ周回の中で、身に着けた(無駄な)テクニックだ。
バスッ!ザクッ!グシャッ!
一撃で葬るたびに、どんどん憎悪値が減っていく。あぁ、なんとも甘美な瞬間だろう。スポーンした瞬間に散り、消えていく姿は桜よりもはやく、とても美しい。 何もできないまま、オワルこいつらには、快感以上のものを感じる。
グチャッ!ベチャッ!ブシャッ!
おっと、興が乗りすぎた。そろそろ終わりにしようかな。
うわぁ……今度は全身がオレンジ一色だ。汚いなぁ……。いつも通りキレイにしなきゃね。
『ウー・ヴァ・ダール』でキレイにしてさっぱりしてから、思い出す。
「そういや、銀行でポイントに交換出来るんだっけ……行ってみようかな」
僕は、『フー・シー・ヴァ・ダール』で毛を乾燥させてから、銀行に向かった。
◇◆◇
コレルアンの他にも各地で展開されている、その名も《どんぐり銀行》。口いっぱいにドングリを溜めて頬を膨らませてるリスがマークのこの世界唯一の金融機関だ。ここでは、貯金の他にも、融資を受けたりカジノなどの賭けで儲けたお金を受け取ることもできる。
ドロップ品をオカシポイントに交換できるのは、ここだけだ。しかも、ここコレルアンのどんぐり銀行は、いわゆる本社でイベントが始まってから大賑わいだ。
ーー予想はしてたけど混んでるなぁ……
入ったらすぐあるタッチパネルに自分の名前を入れて496番と書かれた券を受け取る。
10個ほどある受付にあるランプで一番大きい数字は478番。順番はまだまだなんだな。
空いている席を見つけてそこに腰掛ける。コロシアムから走って1分。これぐらいで疲れるなんて、僕ももう年かな……(注:本来は最速で走っても15分ほどかかる距離です)
ふと、隣に座っている人を見ると、そこにはなんといつかのお漏らし少女が!
「だれがお漏らし少女にゃ!私はサクラだにゃ!」
「あれ?聞こえてたの?」
幸いにも、周りの客には聞こえてなかったようだ。
「自分で言ってたにゃ!」
「まぁ、いいじゃん「よくなーー」ところでサクラもポイントを交換しに来たの?」
「いや、だからよくにゃーー「交換しに来たの?」ーーイエスッサー!!」
「知ってた」
「知ってたなら聞かないでよ!?」
あ、また素が出てる。そういうとこ、可愛いなぁ。
「そ……かわ…い……て」
「え、なんて?」
「シヴァは難聴系だったのにゃ!?」
全く意味が分からない。なんで頬を赤くしているんだろう?ていうか、また口に出しちゃってたのか、僕。気をつけなきゃね。
「次、483番の方ー」
「あ、あたしにゃ。それじゃあ、またどこかで会おうにゃー」
そういって、サクラは席を立って行った。いきなり静かになると、なんというか寂しい、って思いが出てきた。
ーー僕も角が取れて丸くなったのかな?
そんな風に白い狐のお面の下で黄昏れてると、不意にーー
「次、496番の方ー」
自分の番号を呼ばれて、僕は受付に向かった。