足を進めたその先に
まず、冒険の足掛かりになる『冒険家ギルド』に向かって、足を進める。
色々な人が往来しているが、違和感が全く見つからない。
これが、作られた世界だなんて、想像できない。
そうやって、観察しながら早5分。
ギルドについた。正直な感想を言おう。デカい。
このギルドは宿屋があるらしい。冒険家は毎日をそこで暮らし、時に冒険へ時に芝刈りーーーいや、冗談はよそうか。(この後からギャグ満載にする予定だしな!
VRゲームが開発されるようになった理由。それは、護身の為、ともいわれている。
最近は、テロも多くなり、いつ自分が危険に晒されるか分からない。だから、最低の護身術ぐらいは。
それが、きっかけらしい。
しかし、どこにだって、『運動音痴』なる者がいる。そういう人達の為に、VRゲームが利用された。
システムによる動作の補助。それにより、コツを掴ませ、現実でも出来るようにする。
これが発展し、今では『VR学園』が設立された。
年に二回の大会に年に一度のお祭り。
それには、外部の人も参加できるらしい。
そしてVR学園は発展し、今では在校生2000人超。1学年700人は在学している。
その勢いに乗じ、最近では『VR大学』なんてものも出来たらしい。まさに、VRさまさまだ。
因みにこのLCOは、時間加速率が8倍、最大ログイン時間は1日6時間までに固定されている。
つまり、6時間で2日間、体感では過ごしたことになる。
いつの間に、こんなに地球の化学が進んだのか、全くもって不思議だ。
目の前に広がる冒険家ギルドに足を運ぶ。
◇◆◇
「冒険者登録をしてくれないか?」
受付嬢にそう頼むと、彼女は笑顔で応じてくれたがーーー
「……剣槍使いの紋章魔術師ですか……」
と、がっかりそうな声を出した。
それを聞きつけたのだろう、周りの冒険者が煽る。
「おいおい、狐人族なんて、ネタかと思ったら、まさかの職業と武器までネタなのかよ!」
「案外、そういう縛りが好きだったりしてな!」
「なら、俺たちが実際に縄で縛ってやろうぜ!」
「「「がはははは!」」」
見ると、そのオヤジどもは、酒を飲み酔っているようだ。頬が薄っすらと赤くなっている。
ついつい、こういう奴を見ると、口が先に動く。
「……おじさん方、VRとはいえ、朝からお酒なんて良くありませんよ?」
しまった、と思うがもう手遅れだ。
「あぁ?ガキが何生意気なこと言ってるんだ?」
「どうやら、本当にそういう願望持ちらしいなぁ?」
「謝るなら今のうちだぞ、ゴラァ!」
「またやってるよ……」と、周りの冒険者たちが小声で喋っている。
「だから、お酒臭いと言っているんです」
こっちも、若干切れ気味に返す。
「いいぜ!なら、『ノールール』の《PvP》で勝負だ!」
オヤジどもが僕に喧嘩を売ってきた。
次話更新日は1月13日の予定です。