何だかリズムゲーみたい
「GUAAAAAAA!!」
《果ての地の風龍》は『疾風斬』を、今度はノーモーションで放ってきた。
放たれた『疾風斬』の数も五つに増えている。
それを、両手の尻尾を駆使して壊す。
すると、《果ての地の風龍》と周りのプレイヤーがぎょっと目を剥いた。……気がする。
プレイヤー諸君はともかく、《果ての地の風龍》は驚くことじゃないだろ!!スキルを壊せるのなら、それも仕様なんでしょ!?(※違います)
しかし、シヴァはLCO本来の仕様には気づかぬまま、突き進んでいく。
右、左、左、右上、左下、左上ーーーー
『疾風斬』が飛んできた方向に向かって、両手の尻尾を振る。
前、前、後ろ、右、上、前、下ーーーー
それはまるで、戦闘等ではなく、ただのリズムゲーのようーーーー
そんなアホみたいなことをシヴァは思い、心の声も段々とリズムを刻んでいく。
(タン、タン、タタタン、タタタタ、タン、ダン、ドォーン!)
余談だが、『ダン、ドォーン!』のところでは、『疾風斬』を止めて打ち返している。
「GAAAA!?」
……NPCが喋るはずがない。そうだ、これは幻聴だ。無視しよーー
「GUAAAAAAA!」
ーー…………。『無音空間』を使った方が良いかな?
今度は、溜め有りの『疾風斬』を放ってきた。ので、こちらはそれを軽く弾く。
「GAAA!?」
………………
「『無音空間』!!」
◇◆◇
~社畜side~
社畜ーー柴田は、時々同僚に名字を後藤と間違われることがある。名前が輝樹だからって、あんな変態とは一緒にしてほしくない!と思っていたが、最近親友に真顔で、「よぉ、後藤!」と言われてからゲームでの名前を“510”にしている。ーーーーなんて、ことはどうでも良い。……どうでも良くないが。
この社畜、実は他の果ての地の龍族を使うはずだったのだが、何と社長がそのアバターを急遽使うことになり、仕方なくこっちを使うことになったのである。
そんな社畜は、驚愕していた。だいだい、こんな風に。
(は?どうやって羽もないのに空から降ってくるんだよ!!)
↓
(白い狐の面を被った狐人族!?意味あんのか!?)
↓
(ま、まぁ挑んでくるみたいだし、いつも通り『大咆哮』で良いかな?)
↓
(あれ?『疾風斬』コンボが決まったのに生きてる!?そういや、さっき光ったような……)
↓
(ナニアレ!!スキル潰すとか知らないんだけど!?ていうか、尻尾を腕に巻き付けて帯電させるとか、どうやってるの!?感電しないの!?あれ?喋れねぇ!)
……今ここである。
社畜の元へ最キョウがやって来た時点で運命は決まっていたのだが……
頑張れ、社畜!頑張れ、柴田!
明日はプレミアムフライデー(予定)だ!
プレミアムフライデーで早く帰ってる人を、今まで俺は見たことが無い……