WARNINGなメッセージ
「え……あー……聞き間違いじゃないですかね?」
少し悩んでから、苦し紛れに誤魔化す。
しかし、そんな最後の抵抗をも嘲笑うかのように、クウシェは自身の伸び切った袖に隠れた右腕から、魔石風録音機を出す。そして一言、
「ポチッとな」
地獄の宣告を口にする。
魔石風録音機からは、『どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうやって言い訳すればいいんだーーーーーーー!!』という音声が流れてきた。
「教えな、きゃ……バラす、ぞ?」
途轍もなく、ドスのきいた声で、脅しをしてくる。
…………
………
……
「ッシャ、オルァァァァァァ!!それ、渡せや、ワレェェェェェ!!」
シヴァは激昂した。異世界でチンピラに対し、ブチ切れた時の口調で、だ。
そしてシヴァが奪おうと跳躍するが……それよりも先に、クウシェが、魔石風録音機をストレージにしまう。
瞬間、跳躍した身体を、不思議POWERで、元の位置に戻しーーーー
「生意気言ってホントすみませんでした何でもするので赦してくださいお願いしますお願いしますお願いします」
土下座をした。
「お願いしますお願いしますお願いしますお願いします」
まだ小さい(特に胸の辺りが)少女に向かって、地面を頭で砕きながら、土下座をする様は、中々にシュールだったと思う。
「んー……どうしよう、かな?」
クウシェが、いつもみたく、首をコテッと傾けるが、そこにいつもの癒しは、無い。
僕は、土下座を続ける。
ガンガンガンガンガンガンガンガン……
そろそろ、地盤崩壊するか、というぐらいヒビが入ったところで、『それ』はやってきた。
ーーーーファンファンファンファンファンファンファン
某ブルーベリー色鬼のBGMみたいな、サイレンが鳴り響く。それは、コレルアンの隅々まで、響き渡る。
そして、目の前には、WARNINGのテープで包まれたメッセージが。
人差し指で、そのメッセージを開く。
そこには、こんなことが書いていた。
『WARNING緊急イベントWARNING
レイドボス《果ての地の七龍》がコレルアンに襲来しました!
プレイヤーの皆様は、緊急イベントの期間中は、コレルアンに強制転送され、コレルアンより、外に出ることが出来ません。
尚、レイドボス専用のレイドパーティーは、4パーティーまでの最大28人です。
緊急イベント終了とともに、各部門ごとのランキングに応じて、豪華アイテム等を贈ります。
是非とも頑張ってください!!
~緊急イベント:《果ての地の七龍》から、街を守れ!!~
依頼内容:コレルアンを《果ての地の七龍》から守る。
報酬:緊急イベント終了とともに配布。
期間:本日から、緊急イベント用ラストレイドボス討伐、もしくは一定の時間経過。
捕捉:当イベントは、今後のメインストーリーを左右するキーイベントです。最善を尽くせるよう頑張ってください。尚、当イベント中は、レイドボスの出現状況等をいつでも確認できる、マップを配布します。
』
届いたのは、レイドボスのお知らせだった。
やった、戦闘シーンが書けるぜぇぇぇぇぇぇ!!
ひゃっほーーーーーーーーーーーい!!