ドラゴン討伐②
「GURUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
ブラックドラゴンの『咆哮』が発動する。これは、範囲内の敵対生命体の動きを5秒間怯ませ動きを止めるスキルだ。そして、その5秒間に、引っ掻き攻撃を浴びせてくる。
つまり、『咆哮』にかかると、確実被弾というわけだ。
『状態異常耐性』や、『咆哮耐性』があると、怯みにくくなったりする。若しくは、回避行動で何とかなる。
回避行動での、回避方法は2つある。
1つ目は、範囲外に出ることだ。これは、PSはそこまで必要ではない。
2つ目は、回避行動の無敵時間による回避。通称フレーム回避。これは、PSを高く要求される。
そして今、僕は範囲内のド真ん中にいる。デフォルトの回避行動では、間に合わない。かといって、フレーム回避みたいな、面倒なことはしない。
実はこれ、システムに穴があったりする。
その穴とは何か。
この『咆哮』は、5秒間動きを止めるスキル。しかし、『咆哮』の有効時間は、ワンフレームとなっている。その、ワンフレームの間に、システムに感知されれば、怯むことになる。
つまり、そのワンフレームの間、システムに感知されなければ良い。
システムに感知されないためには、最も簡単なのが高速移動だ。
ある小ネタ集では、爆弾を地面に固定し、『咆哮』がくる直前にジャンプし、起爆させる。すると、爆発の衝撃で、空中に吹っ飛ぶ。
そのときの勢いはすさまじく、システムに1、5秒ほど感知されなくなる。フレーム回避より簡単で、確実な避けかたになっている。
しかし、それをすると、ダメージを受けることになり、後が厳しくなったりする。
そのリスクをカバーしつつ、応用した技がある。
それがこれ。クウシェの鍛冶屋でも使った、地面めり込みダッシュ。
地面を踏み抜き、書いて字の如く、“全力”でダッシュする。その速度は、光速に近い速度となる。
光速に近い速度を見切るなんて、異世界人(最強クラス)でもない限り、絶対に不可能だ。それは、ゲームシステムだって同じこと。
一瞬で、ブラックドラゴンに、近付く。
ブラックドラゴンの目が、ギョッと、剥かれたような気がする。……出来れば、気のせいであってほしいのだが。
そして、その勢いのまま、左手足を前に出し、右腕を引く。
「はぁぁぁぁ…………」
息を大きく吐き出し、腰を大きく使い、ブラックドラゴンの胸部に右拳を叩きつける。
すると、ブラックドラゴンの胸部は破裂し、一撃の元に絶命した。R15並の血飛沫が起こる。
そんななか、僕は赤く染まり佇んでいた。
バレンタインデーなんて、こんなシヴァみたいに、赤く染まれば良いんじゃぁぁぁぁ!!