第6話 道具の話③(選択ツールの続きとショートカット)
前回は3種類の選択ツール(長方形・楕円・投げ縄)について説明しました。そして、選択ツールにはもうひとつ、先の3種類とは性質の違うものがあります。
自動選択ツールというものです。
これは、画面の一ヶ所をクリックするとその場所の色を検出して、周囲のごく近い色の部分を選択範囲としてまとめる、という道具です。選択範囲をPC側が計算して決める、という点が先の3種類とは違いますね。例えばこちら。
中央に黄緑色の部分があります。隣接するつの部分のうち①②は色合い(色相)が違う場所、③は色合いは同じですが色の鮮やかさ(彩度)が違う場所、④は色合いも鮮やかさも同じですが明るさが違う場所です。
中央を自動選択ツールでクリックすると、中央の部分だけが選択されます。
選択範囲が決まれば、shift キーを押しながらもう一度自動選択をして別の色や別の場所を選択範囲に加えたり、投げ縄ツールに切り替えて範囲を微調整したり、ということも行えます。
この投げ縄ツールを使った選択範囲の微調整、といのはなかなか重宝します。
では実際に地図作りで自動選択ツールを使ってみましょう。
後に改めて地図の色塗りについては説明しますので、ここでは少しだけ。
これは作成の地図本体から「海岸線レイヤー」と「背景の薄緑レイヤー」の2枚だけを取り出したものです。
「海岸線レイヤー」の海の部分を自動選択ツールでクリックします。さらに池の部分を shift キーを押しながらクリックして範囲に追加します。薄緑の背景が透けて見えてはいますが、海レイヤー上ではどちらも「何も描かれていない」場所です。そこで他の色との境目である黒線の縁までが自動的に選択されます。
この状態でひとつ下に新しいレイヤーを作って選択範囲を青く塗りつぶせば海と池に色をつけたことになります。簡単ですね!
ここで海や池をクリックした時に地図全体が選択されてしまったあなた。操作するレイヤーを間違っていませんか?……間違っていないのなら……線のどこかに「穴」があります。
線を引いた時に息継ぎをした場所、それから画面の端、こんな所に「穴」ができることがあります。そしてPCはどんな小さな穴でも見逃してくれません。穴をふさいでから選択をやりなおしましょう。
……まぁね。この大きさの地図で太くて黒い線なら穴も簡単に見つけられますけどね。縦横10倍の大きさで線が細くて薄い色だったりすると、穴探しは大変だったりするのですよ!……失礼しました。
以上で前話から続いた「選択ツール」と「選択範囲」の話は終わりです。繰り返しますが、「選択範囲」はそれ自体が加工の対象であること。そしてそれを他のレイヤーで使うこと。これで地図作りは楽になります。
ついでによく使うショートカットキーのことも書いておきましょう。みなさんもよくご存知だとは思いますが、まずは
セーブ(Save) command+S (Windowsでは Control+S)
はい、言うまでもないですね。みなさんもミスや事故で痛い目にあったことがたぶんあるはず。数時間に及ぶ作業の貴重な成果が吹っ飛ぶことはもちろんですが、怖いのは「心が折れかねない」ことですよね。「セーブはこまめに」致しましょう。
カット/消去 command+X (Control+X)
コピー command+C (Control+C)
ペースト command+V (Control+V)
これもご存知の通りです。
そして、画像ソフトを扱う上では覚えておくと便利なショートカットがもうひとつあります。
取り消し(Undo) command+Z (Control+Z)
これは「直前の操作をひとつだけ」取り消すものです。作成中の地図で木をスタンプして貼り付け森を作る場合など、「右手にマウス、左手にアンドゥ」の構えで行うと時間の節約になります。
Adobe Photoshop Elements の塗りつぶしツールには自動選択の機能が内包されています。色の境目を自動検出してそこまでの範囲を塗りつぶすため、色の置き換えとして使えます。ただ、
○他の画像ソフトに共通する仕様とはいえない
○自動選択と塗りつぶしは本来別の機能である
ことから、拙稿では両者を区別して扱います。