第14話 色を重ねる②
ファンタジー系の物語には、中世西欧風の世界を舞台としたものが多くあります。この手のお話に出て来る地図ならば、現在のような真っ白な紙にカラフルな印刷で作られたものよりも少し古びた素材を感じさせるものがふさわしい、という考えかたもあると思います。
これからは応用編、「ファンタジー世界の地図をよりそれらしく」細工する、という方向で話を進めます。
前話で使った地図を作り直してみましょう。作り直す地図はコレです。
まず、「羊皮紙」で検索をかけて無料の素材をダウンロードします。
画像ソフトに取り込み、模様が適切な散らばりになるよう「拡大/縮小」します。
今回はこれを地図の「基本色」として使用します。少し古い雰囲気のザラザラ感がファンタジー物語にはよく似合います。
今回の話は前話「色を重ねる①」の実践編でもあります。この羊皮紙模様に不透明度を調整した色レイヤーを重ねる方法で、地図を色分けしていきます。
さて。この羊皮紙模様、雰囲気はあるのですが、かなり濃い黄土色に着色されています。この上に色を重ねると2色が混ざってしまい、希望の色を作るのが難しくなります。
そこで、羊皮紙の模様からまず色を抜きます。「羊皮紙レイヤー」を複製して、元のレイヤーは手をつけず保存しておきましょう。メニューのイメージ>モードで「RGBカラー」を「グレースケール」に変更します。(色々確認のダイアログが出ますが)この「羊皮紙複製レイヤー」のみ「カラー情報を破棄」します。すると模様がモノクロ画像に変わり次のようになります。
(下半分はカット。色の彩度を限界まで下げても同様の効果が得られます)
では、この上に「純粋な青(RGB0000ff)」と「純粋な黄色(RGBffff00)」とを不透明度を変えて重ねてみましょう。
10%と40%を比べるとよく判りますが、重ねる色レイヤーの不透明度が高くなるにつれて、下の羊皮紙模様が失われていってしまいます。重ねる色としては青の場合は不透明度20〜30%が、黄色の場合は不透明度30〜40%くらいが適当でしょうか。
下になるレイヤーが普通の線や色ならまず問題はないのですが、今回の羊皮紙模様は繊細です。そこで塗る色は原色に近い濃い色とし、不透明度を極力下げる方向で色を重ねます。
前回の地図をこの方針に従って塗り分けてみましょう。
派手な色ですが、それぞれ数字の不透明度で塗り分けると右のようになります。残った「島」の部分には元の羊皮紙をコピー&ペーストして色を薄くするため不透明度を少し下げ、不要な境界線は消します。
次に外枠を作ります。
【新しいレイヤーの全体を選択>4ピクセル縮小>黒で塗りつぶし>3ピクセル縮小>中央の大部分をカット>不透明度を30%に下げる】という操作で、目安となるガイドを作ります。
そしてその上にもうひとつレイヤーを作り、太さ1の黒ブラシで「わざとフラフラよろめきながら」外枠の線を引きます。
ここも地図の雰囲気に合わせて小細工するわけですね。
外枠を書き終わったらガイドを消し、書いた枠の不透明度を下げて目立たなくなるようにし、枠の外側を白く塗りつぶします。
ネットからダウンロードしたアイコンを置き、「隷書体」の文字を入れて完成です。標題の「世界地図」の文字は巻物風にしてみました。
今回使用したアイコンは、「ICOOON MONO」様で「城・教会・いかり」でサイト内検索を行い、大きさ32ピクセルのPNGファイルを選んでダウンロードしたものです。黒いアイコンは色を変え、線画のアイコンは若干灰色がかった白で塗りました。
ファンタジーっぽい雰囲気が増したでしょうか?