第13話 色を重ねる①(レイヤーの不透明度の調整)
地図に色をつける際は、地形か勢力範囲のどちらか一方だけを塗り分けるようにする、という話をしました。これはその通りで、絵とは違って地図は色使いがシンプルなほど見やすくなります。
ただ、色を重ねて表示したほうが、諸々が理解しやすくなる場合があるのも事実です。今回は「色の重ねかた」のお話です。
2枚のレイヤーの絵が重なった場合、下のレイヤーの絵は上の絵に隠されて見えなくなります。上の絵の色がどれほど淡くて薄い色であっても、下の絵はその淡くて薄い色に塗りつぶされたようになります。
ところが、レイヤーは半透明にすることもできるのです。
以前出てきた「レイヤー操作盤」を見てみましょう。
こんなところにコッソリと「不透明度」なる言葉がありますね。
例えば桃色の丸のレイヤーを選び、「不透明度」を60%に下げてみましょう。すなわちレイヤーの「透明度」を40%まで上げる、というわけです。
下の青色が透けて見えるようになりました。
このように「不透明度」を調節することによって、違うレイヤーにある絵や色を同時に見えるように重ね合わせることができます。
レイヤーの不透明度はそのレイヤーを新しく作るときに設定することもできますし、色々と描きこんだ後に変更することも可能です。
この不透明度調整、使いかたを工夫すれば色々と役立ちます。
これは新しく作った地図ですが、赤青緑の文字のまわりが「半透明」になっているのが判るでしょうか。文字の輪郭を拡張したあとに下にレイヤーを作り不透明度50%の白を重ねています。文字が目立ちすぎないように、でも読みやすくなるようにこのようにしています。
標題「世界地図」の背景は銀色ですが、これも馴染ませるために不透明度を下げています。ついでに山アイコンの黒も不透明度を60%に下げて目立たないようにしています。
そして参考のために地図の左下に50%黒の領域を設けました。不透明度50%のレイヤーに描いた色は、最大でもこの濃さになります。
不透明度・透明度のついでに。
以前、ブラシの線はなめらかで、鉛筆の線はギザギザしている、という話をしました。なぜそうなるのでしょうか?
実は、ブラシで描いた線の辺縁には「半透明な部分」があるのです。
左はよく使う「ペンキの拡散を最小限に抑えたブラシの線」
中央は「ペンキの拡がり具合を大きくしたブラシの線」です。
線の辺縁に半透明な部分があるのがわかりますね。
そして、「不透明度」はレイヤーだけではく、ブラシで描く線に対しても設定することができます。右はペンキの拡がり具合は中央と同じまま、不透明度を80%に下げたブラシで引いた線です。線の中央まで黒が透けて見えます。
右側の線のようにブラシ自体の不透明度を変えるというのは、扱いが結構難しいのでお勧めしません。レイヤーとブラシの両方の不透明度を変えたりすると何が何だか分からなくなるおそれがありますしね! しかし、中央の線のように拡がり具合を大きく設定したブラシは、地図上でぼかした領域を作るときなどには便利に使えます。
レイヤーの不透明度調整、以前取り上げた「ぼかしツール」「指先ツール」そして「拡散を大きくしたブラシ」これらは「半透明」を使いこなす道具である、という言いかたもできるでしょう。
そして半透明を操ることができれば、色の塗りかたにもさらに工夫ができます。
例えば勢力範囲を表すなら。
①領域内を均一に塗る……これが基本です。最も見やすい塗りかたです。
②領域の周辺だけを塗る……特に大縮尺の地図では境界線の部分だけを塗るとよいです。(ご近所地図を大縮尺、世界地図を小縮尺と言うことがあります)
③相当する部分だけを塗る……境界線と勢力範囲が一致しているとは限りません。大きな勢力の間には中立や日和見の場所があったりします。大まかに塗り分けするときなどに。
見やすく分かりやすい地図にするために色も工夫しましょう。大事なことは薄めで目立たない色を使うこと、次になるべく単純に塗り分けをすることです。