表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re: Assemble  作者: 小鳥遊椎菜
Chapter.1 Boy Encounter the Girl
2/6

Section.2

5

 邦夫は、アテーナの部下たちに案内され、神殿のような場所に到着した。そして、広い部屋へと案内された。

「邦夫様、ここがこれからのあなたの私室となります。今後、私たちがあなた様の身の回りのお世話をさせていただきます。」

 そういって、片膝をつき、左手をお腹のあたりに当て、深々とおじぎをした。

「やめてください。僕はそんな皆さんに・・・。」

「いいえ、恐らくあなたはガイア様がお選びになられた方です。今後、アテーナ様を超える様な存在になる可能性を秘めてらっしゃいます。」

 そういって、彼女たちはドアを閉め退出していった。

―――どういうことだ?

 状況がいまいちつかめない。なぜ、自分はこんなところにいるのか。

「いいかしら?」

 アテーナの声がした。

「どうぞ」

 アテーナが邦夫の部屋に入る。

「満足いただけたかしら?」

「うん、とりあえず、この状況を理解したい」

 アテーナが邦夫の隣に座る。そして、邦夫の頬をやさしくなでる。

「きれいな肌・・・たしかに、ガイア様がお選びになるのもわかる気がするわ・・・私のものにならないのが残念で仕方ないわ。」

 ぞくっとした。美少女に、息が吹きかかるほどの至近距離で話しかけられることなんて、人生で経験したことがなかった。心拍数が一気に上昇する。

「あら、どきどきしているの・・・男の子だもんね。かわいい。」

 おかしい。自分が育てていた魔法少女は、こんなキャラじゃないはずである。

「おいおい、男あさりは卒業したんじゃないのかい?」

 別の少女が、アテーナに話しかける。

「あら、ヘーラー。戻ってたの?」

 邦夫からアテーナが離れる。

「こんにちは、邦夫さん。私は魔女のヘーラーと申します。以後、お見知りおきください。」

「は、はじめまして・・・。」

「ごめんなさいね、アテーナが変な真似して。」

「それより、あなたはなぜ僕の名前を・・・」

「そりゃ、この世界にその姿のままやってきた人間なんてめずらしいですもの。なかなかいないですよ、そんな方。」

「そうなんですか。」

「ヘーラーは私たちより下のランクの、全ての魔女を束ねているいわば魔女の管理人みたいな人よ。」

「管理人だなんて・・・」

「実際そうでしょ?」

「まあ、そうですけどね。」

「この世界のこと、よくわからないんだけど、魔女ってそんなにたくさんいるの?」

 魔女の世界に来てまだ数時間しかたっていない。この世界の概要すら、邦夫は知らなかった。

「そういえば、この世界のことまだよく説明していなかったわね。」

 アテーナは邦夫の前に立ち、身振り手振りでこの世界のことを教えた。

「この世界は、魔女だけが暮らす世界。魔女しか知らない世界。普通の人間には、認識することすらできない世界なのよ。ここには多くの魔女が暮らしている。ただ、魔女はそのレベルに応じてランク分けされている。私たちの様な女神クラスから、平民クラスまで存在する。魔女の総数は、現生しているだけでざっと5万人くらいかな。現生していないのも含めると7万5千人くらいね。私たち魔女を束ねているのが、魔女総務局。総務局のトップが、魔女界のトップっていう仕組み。私は魔女総務局の次長。つまり、ナンバー2よ。ここは、魔女総務局。女神クラスの魔女には、総務局内に居住のための部屋が与えられる。」

「魔女のランクというのは、どういう風に決まるの?」

「個人が持っている魔力。これがすべてよ。魔力のない魔女はランクが低い。でも、この世界に来る魔獣と戦うことでその魔力を上げることができる。それぞれの階層に進むにあたって必要な魔力を得ると、総務局に申請をして試験を受けるの。その試験に受かれば、ランクを上げることができるわ。一度得た魔力は、総務局が定めたルールに違反しない限りは減ることはないわ。」

「そうなんだ・・・。ちなみに、僕はどうなるの?」

「例のゲームを通じて、あなたをテストした結果、あなたは女神クラスの魔女としてこの世界で生きることができるわ。最高位のクラスよ。ただ、なぜかあなたは人間としてこの世界に来てしまったけれど。」

「じゃあ、正確には魔女じゃないの?」

「いいえ、あなたは立派な魔女よ。あなたには想定をはるかに超える膨大な魔力を持っているわ。なぜ、現実世界に生きるあなたにそれだけの魔力があるのか、そしてその魔力をいつ手に入れたのかはわからないけれど。」

「知らない間に魔獣を倒していたのかな・・・。」

「それはわからないですね。ここ最近は、人間界の調査を行っておりませんでしたので。」

 ヘーラーが答える。

「この世界における僕の立ち位置は少しわかったよ・・・すべてを理解するのには、もう少しかかりそうだけど。」

「慌てることはないわ。この世界に来た以上は、あなたは不死身だから。」

「そうなの?」

「魔獣に食われない限り。魔女は基本的に不死身なの。それゆえの苦労もいっぱいあるけどね。とにかく、この総務局の建物にいれば、魔獣に襲われることはまずないわね。もしそうなれば、魔女界の危機ね。」

 さらりと、衝撃の事実を告げられた。彼女たちにとっては当たり前のことなのかもしれないけれど、ついさっきまで普通の人間だった邦夫には衝撃の事実だった。

 アテーナにこの世界に連れてこられる前、おそらく入学式の時に聞こえた声はアテーナの声だったのだろう。その時に言っていた“本当の新生活”とは、このことだったのかと、邦夫は今になってわかった。


6

 魔女歴1890年4月2日午前10時12分。

 邦夫は目を覚ました。

 この世界、居心地は悪くなかった。基本的なことは人間界とは大差ない。ご飯も、ごくごく一般的だ。ただ、豪華になってはいるけれど。

 邦夫には、朝からご飯を給仕された経験はこれまでなかった。確かに、邦夫の両親は一般的な日本人夫婦と比べると、高い年収を得ていたと思う。ただ、ここまでの贅沢をしたことは当然なかった。そういう点については、まだ全然なれない。

 もう、学校にも行かなくていい。宿題もしなくていい。人間界で苦痛に感じていた物事の大半からは解放された。

 不思議と、寂しさもなかった。昨夜、アテーナからは人間界に戻ることはできないといわれた。最初はびっくりした。そう、びっくりしただけだった。悲しいとか、寂しいとかそういった感情は抱かなかった。

 なぜだろうと邦夫は考えた。大方の人の場合、邦夫と同じ立場になったらそういった感情を抱く可能性が高い。だけど、自分は違った。考えているうちに、一つの答えにたどり着いた。

―――意外と、自分には特別仲のいい友達とかいなかったんだな。

 中学からは転校が多かったからだろう。中学入学前には引っ越しをし、小学校の時の友達とは自然と疎遠になった。中学も3年間で2回の転校を経験していた。だから、学校内で親密な関係に発展した友人は少なかった。さらに、携帯なんて中学3年の冬まで持っていなかったので、連絡先すら知らない。部活にも所属していなかったのも相まって、本当に友達が少なかったのだ。

 家族はどうだろう?両親は出張ばかりで家を空けていることが多く、邦夫が一人で留守番をすることはざらだった。別に険悪な仲だったわけでもないが、かといって仲が良かったこともなかった。土日は親戚の家に行くことが多く、両親とどこかに遊びに行った記憶もない。嫌いでもないし、好きでもなかった。

―――自分で思っている以上に、孤独だったんだな。

 魔女界に来るまで、そんなことは考えもしなかった。何もすることがない今だから、気づけたのだろう。異世界に来て、改めて自分を見つめなおすことになるとはゆめゆめ思わなかった。

―――本当にどうしよう、これから

 邦夫は案外ポジティヴだった。自分ではそう思わなかったが、親への連絡どうしようとか、学校どうしようとか、そういうことは一切考えなかった。考えたって仕方がない。もう、戻れないのだから。現実世界のだれかが、何とかしてくれるだろうと考えるほかなかった。

 10時30分ごろ。誰かが部屋のドアをノックした。「どうぞ」とその誰かを部屋に入れる。

「おはようございます、よく眠れましたか?」

 入ってきたのはヘーラーだった。

「よく眠れたのかどうかはわからないけど、体調は大丈夫だよ」

「そうですか。ならよかった。昨日はアテーナが失礼しました。あんなのが魔女界のナンバー2だなんて、恥ずかしい限りですけど・・・。」

「驚きはしたけど、大丈夫。心配してくれてありがとう。」

 ヘーラーが安堵とうれしさを混ぜ合わせた表情を浮かべた。

「今日は、この町を私がご案内しようと思いまして・・・。日常生活を送るにも、この世界の街を分かっていないと不便かと思いまして。」

「ありがとう。ぜひお願いしたい」


「総務局があるこの町は、センターシティと呼ばれています。魔女界の首都です。スーパーやレストラン、病院といった施設はすべてそろっています。」

 そういいながら、あれが病院、あれがスーパーとそれぞれの施設を紹介してくれた。

 建物から半径500m以内に、そういったライフラインを担う建物はあった。すべて、徒歩圏内である。

「だいぶ歩き回りましたね、少し休みましょうか。」

 45分ほど町を歩いたのち、2人は商店街の途中にあるカフェに入った。

「どうですか、慣れそうですか、この世界の生活には?」

「その点については不思議と心配がないね。本当に不思議なんだ、自分でも。こんなにも人間界に心配事がなかったのか、ってくらい。」

「本当に必要なこと・人って、ごくごくわずかなんですよ、きっと。究極的なことを言えば、友達がいなくたって生きていける。両親がいなくたって、すぐに死ぬわけじゃない。必要最低限を極めると、そうなるんですよ。」

「なんだろうね、そんなことを魔女界で実感するとは思ってもいなかったよ。人間は本当に欲が深いと思う。もっともっとのエンドレス。でも、それが今の人間の文明の礎になったんだろうけどね。」

「達観してらっしゃいますね、邦夫さんって。これまでの人間の方とは、ちょっと違う気がする。」

「これまでにも、人間がこの世界に来たことがあるのですか?」

「数は少ないですが、ありますよ。人間が侵略してきたこともあります。この世界に来て、嘆いている人ばかりだった。家族がいない、友達がいない、お金がない、とね。私たちからしてみれば理解ができない。」

「魔女には、友達とかいないの?」

「そんなことはありませんよ。友達はいます。両親はいませんが。だけど、友達にそこまでの価値を置いていません。」

「じゃあ、どう考えているの?」

「仕事仲間、という言い方が人間の考えに一番近いでしょうか。ドライな関係なんです。一緒にこの世界に暮らしている仲間。この世界を守っている仲間。その仲間が、魔獣に襲われ死んでしまったときはもちろん悲しいです。ですけど、いつまでも悲しんだって生き返るわけではない。戻ってくるわけじゃない。その悲しみの感情は、無駄なエネルギーを使うだけです。」

 魔女には感情があるのかないのか、邦夫にはわからなかった。もしかして、人間が考えている感情とは、違うのだろうか?

 今、全く違う価値観を持つ2人が、同じテーブルに座って同じものを飲んでいる。不思議な空間だな、と邦夫は思った。

「邦夫さんって、魔女裁判は知っていますか?」

「うん、世界史で習ったかな。中世欧州での出来事。」

「そうです。この世界の成立は、それがきっかけなんです。」

 ヘーラーは、魔女界成立の経緯を教えてくれた。

「もともと、魔女は人間界で生きていました。同じ社会において、同じ価値観を共有して。でも、あるとき人間が私たちを排除しようとし始めたんです。私たちには魔法という普通の人間にはできなことができる力がある。それを持っている人間を普通の人間とは区別し始めたんです。そして、何か社会を不安定にする出来事が起きたときに、違う力を持っている私たちのせいにしようとしたんです。そうすることで、人間社会を保とうと考え始めた。私たちは地上における住処を追われました。魔女は不死身なのですが、それは魂だけです。しばらくの間、魔女の魂は宙に浮いてしまったのです。それを嘆き悲しんだガイア様が、魂が平穏に過ごすことのできるこの世界を生み出してくださったのです。それが、今の魔女界です。」

「そうなんだ・・・。」

「ガイア様は人間のことが嫌いです。だけど、戦いを望む方ではなかった。私たち魔女には、結界を張る能力がある。なら、その能力を使って自分たちの身を守ればいいと考えたんです。嫌いな人間世界の魔女をすることなく、なおかつ自分たちも平和に暮らすことができる世界を望んだんです。自らの魔力を犠牲にして。だから、ガイア様には皆逆らえない。」

「そのガイア様という魔女は、会えないの?」

「この世界そのものがガイア様なんです。この世界が作られるよりも前には、ガイア様は私たちと同じように、こうして現生していました。ですが、今はご自身が持っているすべての魔力を使って結界を張った。それゆえ、現生する余力がなくなってしまったのです。自らの姿かたちを犠牲にして、この世界をおつくりになられたのです。」

「そうなんだ・・・。崇高なお方で。」

「ええ、私たちの救世主です。でも、いつかガイア様が現生できるように私たち魔女の魔力を少しずつこの世界の結界にわけているのです。そして、ガイア様がいつでも現生できるように、その肉体が総務局内の棺に保管されています。もうあれから550年は立ちますからね。かなり魔力は集まったと思うのですが、なかなか・・・。」

「やっぱり、ガイア様には会いたいの?」

 この問いに、ヘーラーはまっすぐと強い意志を込めた目を邦夫に向け、こう答えたのだった。

「もちろんです。私たちの救世主であり、最高の魔女でいらっしゃるガイア様にお会いするのが、私たち魔女の最大の望みですから」


 ヘーラーによる街案内は夕方には終わり、総務局の自室に戻ったのは、午後5時半のことだった。

 邦夫は総務局内に書庫があることを知り、魔女界を知るためにもそこに行ってみようと考え、地下にある書庫に向かっていた。

 書庫の管理人である司書はアポローンと呼ばれる魔女だった。書庫に行ってみるとそのアポローンがいたのだが、彼女の雰囲気はなかなかにミステリアスだった。

 長い黒髪に、青い目、紺色の長い羽織を着、冷静な淡々とした声の持ち主だった。感情もあまり伝わってこない。

「あなたが、噂の人間ですか?」

 冷たい目でこう言われるとゾクッとする。

「ええ、そうです・・・。」

「魔女のことがいろいろと知りたいのですか?」

「だめですか?」

「別に構いませんよ。見知らぬ相手に興味を持つ。人間はそういう生き物ですから。」

「ありがとうございます。」

 邦夫は書庫をぐるっと見渡した。地下のフロア全てが書庫になっていた。どこから見て行けばいいのかわからないくらい広いところだった。

「探し方がわからないのに、なぜ私に聞かないのですか?」

 気が付かないうちに、アポローンが邦夫の後ろにいた。呆れた目で見ている。人間のことを見下しているのだろうか?

「すいません・・・。ここまで広いとは思っていなかったので。」

「ふん、まあいいです。なぜかみんな私を頼ろうとしない。もう慣れましたけどね。ところで、何を調べたいのですか?」

「具体的には何も・・・。この世界のこと、分からないことだらけで、何から知ればいいのかわからないくらいなので。」

「だから、ふらっと見てみれば、面白そうなものがあるんじゃないかと思って、ってところですか?」

「ええ、まあ」

「なるほど。なら、まずここからですね。」

 そういって、邦夫をある本棚のところまで誘導した。

「ここにあるのは、魔女の歴史に関する書物。私たちを研究した書物もあります。」

 アポローンが、その中の1冊を手に取り、邦夫に渡す。

「これが一番わかりやすいでしょう。」

 その本には、『魔女史』と書かれていた。タイトルのままである。

「その隣には、魔女ガイアに関する書物があります。」

 また1冊を手に取り、渡す。

「私たち魔女なら、この本のことはたいてい把握しています。今後、魔女と話をしていく中で必要不可欠な教養だと思うので、是非」

「アポローンは、見た目以上に親切な方なんですね。」

 邦夫は、率直な感想を述べた。

「見た目以上、というのが少し気になりますが。」

「こんな見知らぬ人間にここまでしてくれるのはうれしいよ。」

「ただ、この世界に形を失わずにやってきた人間に興味があるだけです。」


 午後8時53分。邦夫は夕食を済ませた後、書庫から借りてきた本を自室で読んでいた。まずは、ガイアに関する書物から読んでいた。

 そもそも、魔女ガイアとはどういう魔女だったのか。皆が尊敬し、崇拝する魔女とはどういう魔女だったのか、それが知りたかった。

 書物によれば、ガイアの魔力というのは想像をはるかに超える大きなものだったようだ。それこそ、一つの世界を創造することができるほどの魔力。そして、その強大な魔力を使って創造されたのが、現在の魔女世界というわけである。この世界は、魔女ガイア自身が作り上げた世界、もっといえば魔女ガイアの中に作られた世界ということもできよう。この世界そのものが魔女ガイアである、ということ。魔女は自分の姿かたちを維持するために少なからずの魔力を必要とする。ガイアは自らの姿かたちを保つための魔力までを使って、その世界を創造したのである。

 なぜそこまでしてこの世界を創造したのか?それは魔女裁判等で魔女を迫害する人間から逃れるためであった。「魔女が、魔女らしく生活できる世界を作る以外方法はない」と考えたガイアが、自らを犠牲にして作った世界。そこまでのガイアの犠牲の上に、この世界は成り立っているのである。魔女がみなガイアを尊敬し、崇拝するのは納得である。

 世界を創造した後、ガイアは自らの肉体を残して消失した。ただ、このことが魔女ガイアの死を意味するわけではない。彼女の意思は残り、その魂も残る。その形が、変わっただけなのだから。彼女の魂はこの世界の結界に存在しており、彼女が許さない限り魔女以外のものがこの世界に入ることはできないのだという。人間でも、彼女の許可がなければこの世界を認識し、はいることは許されないのである。魔女裁判で魔女をとらえ殺してきた人間を早々簡単に受け入れるわけがない。魔女にとって人間とは憎むべき対象なのであり、決して相容れるものではないというのが魔女の共通見解である。そして、その固いガイアの意思がある限り、魔女は人間から守られるというわけである。

 邦夫にはすぐに理解できる考え方ではなかった。魂が形を変え存在し、意思が消えることなく存在するということを。人間の世界においては考えられない発想である。

 ガイアは、魔女の中で一番尊く、魔女にとって救世主のような存在なのだ。半分、彼女を慕う宗教にも見えなくもない。魔女はみな、これを信じて生きているのである。

 邦夫は、ベットに横になった。斬新すぎる、いや、今まで自分が考えもしなかった考えに触れて、気持ちのアレルギー反応を起こしているような気分になった。

―――受け入れられる、受け入れられないの問題じゃない。あまりに違いすぎて・・・なんだろうな、この何とも言えない気分は。

 考えることにつかれた邦夫は、そのまま眠りについてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ