六日月の口笛
遠くに聞こえる笑い声
一人で部屋から盗み聞き。
ひとりぼっちと知られないように、息をひそめて小さくなった。
今でも僕らは憧れていて、今でも何かになりたくて、とっくに終わったはずの青春を寝返りのたびに巻き戻すんです。
歌にすれば煌めくと、口を開いて出てくるものは、あの日口ずさんだメロディーと君が歌った言葉だけ。
今の僕を歌うには、あまりに中身がなさすぎるから。
伸ばしかけたはずの手もいつの間にか引っ込めていたよ。
天井見上げて息を吐き出して
そのままどこかに沈んで行ける気がした。
眠りについてみる夢は現実とは違ってファンタジーにあふれていたから、僕は夢の住人になりたかった。
そうやって抜け出せないまま時間だけが加速していく。
僕の言葉は伝わらないって、そう信じて独りになった。
伝わらないことが分からないように、自分から一人になりました。
それなのに誰かに、僕だと気付いてほしいのは何故?
心の奥底踏み込まれるのが怖いのに、気付いてよって闇を振りまくんです。
そして嫌われるのが何より怖い弱虫
夜更けに街を抜け出して、誰にも見られないで走り抜けるんです。
このときだけは僕だって助走に乗って跳べる気がした。
ほら少しだけだけど、ファンタジィがこぼれ落ちたよ
小さな部屋には戻りたくなくてそっと屋根の上に足を下ろすんだ
少し汗ばんだ掌をなんでもない月の明かりにかざす
満月でも三日月でもない月は僕みたいに中途半端
口ずさんだメロディーに時間がちょっと足を止めた
もう一歩、明日は行けると、きっと思うだけでどこにも行けないけれど。