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存在の証明
次の日、また次の日と、神皇と哀鬼の共通の知人たちは、哀鬼という存在を忘れていった。それは忘れるというより、その記憶がごっそり失われた、という感覚に近いのかもしれない。忘却のようななだらかな斜面形ではなく、真っ直ぐ伸びた縦軸の力が、一瞬にして記憶を無に帰したような・・・。そして、その出来事を通じて神皇が気がついたのが、僕たちの存在を証明するものなど何もないのだ、ということである。本を代表として、基本的に同士たちが記憶媒体を創造・所持・消費することは禁じられているのだから、僕たちがここにいた、という情報がどこかに記憶されることは、表の上ではない。だから、僕たちの頭の中からそのことがごっそり失われると、本当にそのことは失われるのだ、ということに、神皇は酷く驚いた。哀鬼・・・、そういえば、あいつどんな顔してたかな?




