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時代
あたしは、死んだ・・・はずだった。
~時代~
人類の終わりの時、白い光が目に入り込んで、世界もろとも無くなった。
もちろん、あたしも。
でも・・・今、目の前にあるのは・・・無くなったはずの、人々と町。
だいぶ、昔くさい気はするけれど。
「おい、お前。 異国の者か?」
・・・異国?・・・。
「半分だけ、そうよ。・・・それが何?」
母が、イタリア人で、あたしは母親似。
だから、日本人ってよりは、イタリア人ってほうが正しいのかも。
まぁ、親になんて、似たくはなかったけど。
「・・・異国は、打ち払うべきだ。」
突然、あたしの目にそいつの腰にあるものが映った。
あぁ・・・。
こんな所で、習っていた剣道が役に立つなんてね。思ってなかった。
あたしの頭上ではギラリと鈍い光がはなたれた。
条件反射で、手に持っていた刀の鞘で刃を受け、素早く払った。
ここがどこなのかも分からないって言うのに、あたしは走り出す。
ただ、いきなりここに来た理由が知りたくて。
そのためには、ここで生きなきゃいけなくて。