第01話 幸福の在り処(4) 巻雲の校庭
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昼休み、カイの通う小学校の広い校庭は、子供たちの歓声で満ち溢れていた。
ドッジボールのコートの中で、カイはひときわ異彩を放っていた。味方の女子が狙われると、彼は迷わずその前に飛び出し、身を挺してボールを受け止める。そして、その小さな体躯からは想像もつかないような肩の力でボールを投げ返し、相手チームのエースを打ち抜く。その圧倒的な強さと、仲間を守るという明確な意志に、子供たちは絶大な信頼を寄せていた。
「カイくんが味方だと心強い!」
「カイ、ナイス!」
という声援が飛び交う。彼は、この小さな王国の、生まれながらの守護者だった。
試合が終わり、熱狂が冷めた校庭の隅。カイは一人、ベンチに座って息を整えていた。そこに、いつも校庭の掃除をしている用務員のスズキさんが、竹箒を片手にやってきて、黙って隣に腰を下ろした。
「よう、カイ。今日も大活躍だったな」
カイは、普段の無口が嘘のように、このスズキさんにだけは少しだけ心を開いていた。
「うん……でも、強すぎると、相手がつまらなくなっちゃう」
ぽつりと漏らした言葉は、彼の偽-ざる本心だった。スズキさんは、皺の深い顔で優しく笑った。
「そうか。お前さんは、ただ勝ちたいだけじゃないんだな。みんなで楽しくやりたいんだな。その気持ちが、一番大事な『力』なんだぞ。忘れるなよ」
カイは、その言葉の深い意味を、じっと考え込んでいるようだった。彼の中で、「力」と「正義」という二つの概念が、ゆっくりと結びつき始めていた。
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