第06話 アングラの誓い(5) アングラの誓い
「決まりだな」
テルが、静かに言った。
彼は、おもむろに右手を、テーブルの中央へと差し出した。
その、兄の開かれた手のひらの上に、カイが、自らのごつごつとした拳を、静かに重ねた。
最後に、サクが、少し照れたように、しかし、迷いなく、その二つの手の上に、自らの小さな手を重ねた。
三つの手が、一つの塊となる。
十三年前、父の前で交わした、幼く、そして悲痛な誓い。
それは、長い年月と、それぞれの挫折と、それを乗り越えるための修練を経て、今、揺ぎない「盟約」へと、昇華した。
言葉は、必要なかった。
互いの手の温もりを通じて、三人の魂は、完全に共鳴し合っていた。
彼らは、互いの目を見つめ、静かに、しかし、力強く、頷き合った。
『日本の、完全なる独立を』
その誓いの言葉は、誰の耳に届くこともなく、食堂の喧騒の中に溶けていった。
だが、その堅い盟約は、この国の、いや、この世界の未来を、根底から揺るがすほどの、凄まじいエネルギーを秘めていた。
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