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登場人物

乙女ゲームの主人公は正義を語り続けていられない。

以下登場人物。




ソフィア・ボルフォード


晴れて婚約者となったソフィアはボルフォード家に迎え入れられた。

けれどそこで待っていたのは苦しい教育の日々と、

公爵家存続のためにカーディル・ボルフォードの代わりに、

公爵家を継ぐ資格を得る為の教育を施される日々だった。

「教育」と「躾」と言う名の苦しい日々。

ソフィアがそこから逃げる事はもう出来ないのだった。

王家の王妃様に認められる事は簡単な事ではなく、

その爵位に相応しい衣装を着る事。

その爵位に相応しい考え方が出来る事。

その爵位に相応しい国への忠誠を示す事。

それが出来て王妃様に気に入られて初めて王妃様に認められて、

始めて爵位を継ぐことが許される。

国政に関与しない男爵家や伯爵家ぐらいまでは緩いが、

公爵家と侯爵家と勿論大公家は絶対に国への忠誠を示さないといけない。

隣国は友好国家ではないのだから仕方がない。

公爵家に嫁ぐソフィアは、絶対に王妃様に認めて貰わないといけないのである。

ボルフォード家を存続させる資格を持つ王家からの許可は、

エルゼリアが取得できるはずだった、

けれどそのエルゼリアがいないのだから。

その代りはソフィアがしなくてはいけない。

ゲーム上では語られない王国の内情からそう言う仕来りが作られた。


ソフィアにその王国に忠誠を尽す公爵夫人と言う立ち振る舞いが、

直ぐに出来るはずもなく、王宮への招待状はボルフォード家に届いているが、

絶対に合格する事が不可能な事から王妃様へのテストは延期され続けている。

(王妃には無理矢理納得してもらった)

ボルフォード公爵夫人が合格できると思わない限り、テストは受けられないし、

毎日きつくなっていく地獄の様な躾からソフィアが逃げる術はない。

成長していると言っても、

物覚えは悪いしなにより「国の為に自身を犠牲に出来る」様にならないと、

王妃様は認めてくれない。


ソフィアは元の爵位が低いために成長の過程記録が国に「公式」として無いのも、

その立場を悪化させる原因となっている。

学園時代の「正義執行」がもろに国から警戒される原因ではあるが、

そう成長した過程も解らない。

公爵家の様に「監視されて成長した令嬢」ではないので思想がつかめず、

このガラスの様な繊細さと伝統によって存続している王国に致命的な、

ダメージを与える可能性があるので、国からの視線はきついモノとなっている。

それでも、王妃様のテストを受ける権利を持ち続けられるのは、

まだ国としても「思想矯正の可能性」はあると思われているからで。

ボルフォード家はその可能性に掛けて、厳しい公爵夫人にするべく日夜、

躾の日々を送らせているのだった。


分不相応の地位を偶然と運で手に入れてしまったソフィアは、

王妃様に認められて公爵夫人になれるようになる頃まで、

カーディル・ボルフォードが待つかどうかは不明。

それでも婚約者と言う立場からはもう逃げられない。



ソフィアの設定の裏事情


物語の根底に「乙女ゲーム」の「主人公」というのがありますが…

3年間の学園生活で男たちを虜にする「主人公」は、言い換えれば、

何色にでも染まれるって事だと思ったのです。

で、そんな何色にも染まれる「主人公」がまともな性格だと、

考える事が出来ませんでした。


かーなーりーねじ曲がった捉え方ですが、誰の恋人にでもなれる、

だれからも好かれる主人公が「ソフィア」なので。

転生者じゃなくて叔父様もいない「悪」のエルゼリアだけが物語にいれば、

こんな形にはならなかったと思います。


エルゼリアは故郷を支援して貰う為に必死に「悪」を演じ続ける、

哀れな少女でしかないのですから。

リリーに教えて貰った教えと自分の全てを使って、

ソフィアを追い落とす事くらいの罠をはったりもしたでしょう。

それに噛みつく事で自分の正しさをより強固なものにできたソフィアは、

危機的な状況に陥ったりもしながら、カーディルともうまく折り合いを付けて、

やっていける人物へと成長できたと思うのです。

少なくとも乙女ゲームのシナリオの設定としてはそう言った方向でした。

エルゼリアとの攻防があるからソフィアは成長出来ていたって事です。


ただし物語のエルゼリアはカーディルに対して無責任すぎました。

カーディルのやりたい事を叶え続けてしまったのです。

エルザリアに言いつければ願いが叶うと錯覚する程度に、

エルゼリアは要望を叶え続けてしまったのですよ。

前世持ちのエルゼリアと叔父様によって実家に支援して貰う事が出来た、

エルゼリアはアネスの意地からの解る通り、ボルフォードに支援させない。

ファルスティンが、エルゼリアの必要とする者を用意するといった具合で、

ボルフォードの干渉を最後の最後まで最小限にし続けていたのです。

もちろん、アネス・ファルスティン最後の悪あがきでしかなかったはずでした。

しかしその所為でボルフォード家はカーディルの行っている無茶な要求を、

卒業まで知る事が出来ませんでした。

それは我儘に育ったと気づくのが送れたという事です。

より乙女ゲームより我儘になったカーディルと、

ソフィアの相性は最高に合っていたのです。

ソフィアの考えた企画書が無茶な要求と思わない位に。

伯爵令嬢としても、人間としてもエルゼリアはゲームの時より、

大人の対応が出来ていましたし、子供の我儘をどういった形で具現化してやれば、

納得してくれるのかを考える事が出来たエルゼリアは、

カーディルにとって最高の「召使」だったのでしょう。

その学園時代の無茶ぶりが花開いたと言うべきなのか。

我儘に育ったカーディルは「当たり前」が「当たり前でなくなった事」を、

認める事が出来ません。

苦しいドレスを着続けたエルゼリアの苦労だって理解できないのです。

だから、その苦しいドレスを着せられたソフィアが痛い苦しいと泣き叫んでも、

聞き入れてくれる訳がないのですよ。


エルゼリアの転生者としての大人の対応が、

そのままソフィアが熟す事が難しくなる原因でもあるのですが。


もちろん使用人達も優秀なエルゼリアレベルを求めるのです。

当たり前ですね。

使用人達から見れば「成り代った」訳ですから。

あのエルゼリアを追い落としたのだから、エルゼリア以上に優秀なはずだ。

婚約破棄は望む所だったエルゼリアは喜んで負けを認めてソフィアにその座を、

譲りましたが周囲はそうは見ませんし見えませんでした。

特にボルフォード家の使用人達は、

エルゼリアが自分から負ける方向に動くなんて事は絶対に考えられないのです。

だってボルフォードの支援が無ければファルスティンが滅ぶのだから。

そう考えれば故郷が生存する可能性が無くなる為、負けるなんてありえないのです。

だからこそ、命がけで公爵夫人の座を死守するはずのエルゼリアを追い落とした、

ソフィアへの期待は膨大な物となっていました。


しかし3カ月という教育の中で見たソフィアの能力はとてもじゃないが、

優秀とは程遠い。

どんなに下駄を履かせて背伸びさせてもエルゼリアの足元にも及ばない。

普段の生活態度からにじみ出る優雅さを感じられない物腰。

矯正具を付けて歩かせて、やっと優雅な歩きになっている。

毎日の様に「美しく」歩くボルフォード公爵夫人を見ているからこそ、

その落差に失望するしかない。

まともに「歩く事」がでいないのに、他の事が出来るようになるはずがないと言う、

使用人達の見立て通り、全ての事が「ひどい」ありさまなのでした。


ゲームならエルゼリアの不正を暴くための色々考えて、

エルゼリアと頭脳勝負みたいなことになったでしょうが、

物語のエルゼリアは不正隠す素振りを一切見せないのです。

バレても構わない。この程度の事を不正とするなら国ではやっていけない。

がモットーだったエルゼリアは選別と忖度しまくりだったので、

考えなくとも不正の証拠はあつまるのでした。


数字上整合性が取れている様に見えて計算すると数字が合わないのではなく、

足りない予算はファルスティンに補填して貰っていたし、

簡単に書くと


100(予算)ー120(経費)=0


と記載されていた訳です。

誰だって解る不正ですから数字のマジックなんてありません。

エルゼリアは事前にアネス・ファルスティンから足りなくなったら、

補填できる資金を与えられていますから。

その予算内で物事を解決していましたし本人からすれば(問題ない範囲)の事で、

誰にも迷惑はかけていないのですが、その資金の出所がファルスティンである事を、

認められないソフィアは、盗んだと言ってエルゼリアを糾弾する訳です。

見れば一瞬で解る不正なので、エルゼリアは何処からともなく金を盗んで着た、

悪人に簡単に仕立て上げる事が出来た訳ですね。


このレベルで見つかる不正ばかりなので、

ソフィアが考えて成長する機会は無かったのでした。

簡単に見つかる不正を手に入れて、それをカーディルに見せれば、

二人は簡単にエルゼリアと言う「敵」を手に入れて団結出来た訳ですから。

ソフィアの能力はゲーム的に言うのなら、

最低値のステータスしか持ち合わせていないでしょう。

けれど、高難易度?攻略キャラクター、

カーディル・ボルフォードは、エルゼリアが気にしていないから、

簡単に手に入ってしまう。


それが物語のソフィアの立場だったという事でしょうか。

これも一種のバタフライ効果って奴でしょうか?


さて、物凄い優秀だと思い込まれているソフィアには、優秀な事が前提の者が、

用意されてしまいました。

苦しいドレス。

覚えきれない資料。

公爵家としてのマナー。

どれを取っても熟せる物はなく出来ない事しかないのです。


公爵家の使用人達は絶望したでしょうね。

いくら未来の公爵閣下が選んだと言っても能力が低すぎるのですから。

色々と用意して学習効率を上げようとしたけれど、

やっぱりエルゼリアには遠く及ばない。

コルセットだけじゃ矯正しきれない体も何とかして、

婚礼衣装を着られる様に矯正しなくちゃいけない。

少なくともエルゼリアと同じ位にしなくちゃ、

エルゼリア手放したカーディルが笑われる。

もう必死ですよ。

公爵家はボルフォード公爵夫人を中心に回っていますから。

その公爵夫人の最愛の息子の伴侶が優秀でないなんてありえない。

あってはいけないのです。

それでもソフィアを3っカ月間は人間として扱っていました。

焦る気持ちを必死に抑えて。

直近で教育している3人の侍女はもう焦りに焦っていた事でしょう。

使用人達は将来の公爵夫人となる人が優秀になると信じて。

その間になんとか未来が見えればそのまま続けて公爵夫人に仕立てれば良いと。


けれど結果は最悪なのでした。


成長速度が著しく遅いソフィア。

「学園」時代が彼女の成長の速度が一番上がる最高の状態だったのです。

その最高に成長できる時期をカーディルとの愛の語らいで潰したのですから。

それに基礎が無いから積み重ねが上手く出来ず学習が加速できない。

もう学園の「サボり」とエルゼリアの「よいしょ」があったお陰て、

ソフィアは何もせずとも高みでいられたのですから。

ソフィアが苦労する土台がその時から作られていたという事です。

そして頼みの綱としてエルゼリアも嫁がせて

正室として王妃様に認められれば良いと言う考えまで出て来てしまいました。

けれどそうしないといけないと思えるほど、ソフィアは駄目だったのです。

公爵家として最後の希望が絶たれた以上、

ソフィアを人間扱いしている場合ではなくなってしまいました。

ソフィアの待遇の悪化と地獄はここから始まるのです。

彼女は泣き叫んで苦しいと訴えていますが、本当の嘆きはこれからなのですよ。


なにせ本人が一番、理解出来てしまいますから。

自分に「望まれている事」が絶対に手の届かない位置にあると。

どんなに「努力」したって絶対に無理なのです。

寝る間を惜しんで頑張ったとしても、どんなに優秀な教育道具があっても。

例えるなら一日で身長を30センチ伸ばせとか、

テストの問題が100問あって、1分以内に回答するとか。

物理的にも「出来ない事」を「出来る様になれ」と言われているのです。

しかも出来なければ手加減なしの「お仕置き」と、

次の日はもっと苦しい課題が待っている。

そして逃げ出そうとしても、

これからは部屋から出る時は「カート」に繋がれたまま、一日中解放されない。

夜は、ベッドに足枷で繋がれて逃げられない。

見張る人がいなくとも、自由に動ける時間はない。

休みは与えられず「出来るまでやり続けろ」と言われるのですから。

精神的、肉体的に壊れたくても、この世界には「魔法」がありますから、

治療されてしまう。

解放されない生き地獄が完成されてしまっているのでした。



ちょっと話はズレますがよく「頑張れば出来る」とか言われますけど、

人は何時か「出来ない」と見切りを付けて「別の道」を探すのです。

しかし本当にその立場から逃げられず分不相応の場所に立ち続ける羽目になったら、

「頑張り続けたら(頑張らされ続けたら)」どうなるのかと、

思考実験的な事を考えたら、今回の「ソフィア」のような事になるのではと。

期待もしていなのに出来ない課題を与え続けて出来る様になれと責め立て続ける。

周囲が形成され悪魔のような現実が出来上がるのではないでしょうか。





カーディル・ボルフォード


乙女ゲームの俺様主人公。

その実態は偉そうに振舞う事しか出来ない唯の我儘小僧。

学園で俺様ヒーローがカッコよく見えるのは、

周囲がそのヒーローの言葉を肯定してくれるからであって、

物事の先頭にたって皆を導いている様に見えるからなのである。


「ヒーローは悪がいなければ存在できない」


その悪役をエルゼリアが引き受けたから、ゲームの中でも物語の中でも、

「正義の味方」が、存在出来るのだ。

不正を指摘して、正しい事をしていると周囲に過剰にアピールする事で、

自身の正しさを証明して「大衆」を味方に付けたのだ。

それには、「誰にでもわかる悪役」の存在は不可欠で、

エルゼリアが「調整」と「忖度」をしていたから、

誰にでもわかる「不正」と評価される事が出来て、

自分の立場を上げ続ける事が出来たのだ。

ゲームでも物語でもエルゼリアは必要な不正しか行っていないけれど、

不正は不正。カーディルの立場を正しいと思ってくれる「正義」を、

執行するのには十分な理由だったのだ。

それが嫌々婚約している「エルゼリア」であるなら、正に「悲劇のヒーロー」

なんて演出も加える事が出来る。

親が勝手に進めた婚約者が「悪の手先」のような事をして、

ボルフォードを乗っ取ろうとしているなんて噂が出れば、家の窮地を救った、

英雄として振舞えるのだから。

エルゼリアの些細なミスだって許せなくなる。

それをソフィアは肯定してくれて、証拠を探す手伝いをしてくれるのだから、

エルゼリアより良い女のソフィアが欲しくなる。

結果、偶然も重なってソフィアを手に入れた訳だが、

眺めているにはよかったソフィアは手元に置いて色々とやらせてみると、

その能力の低さから何も出来ない事が解ってしまう。

けれど、エルゼリアを捨ててソフィアを選んでしまった手前、

ソフィアがエルゼリアに劣る事は自分自身の見る目が無かった事を認める事に、

なってしまう為、プライドも邪魔をして絶対にソフィアを捨てる事が出来ない。

出来ないが使えない女を確保しておくこともしたくない。

卒業後直ぐに王都の公爵家でエルゼリアは着替えさせられ王妃様に面会。

そして爵位を継げる夫婦とみなされる予定が、

エルゼリアからソフィアに切り替わるだけだと思っていた。

しかし、ソフィア公爵夫人にする以上「公爵家のドレス」を、

ソフィアは着なくてはいけないが、王都の屋敷にはソフィアが、

着られるドレスはなかった。

仕立て屋に連れて行って、

新しいドレスを作って着せて自分の隣に立つに相応しい姿になれば、

それで後は了承を貰うだけ。のつもりだった。

しかし現実は甘くない。

そもそも仕立て屋にソフィアのサイズで、

公爵家のドレスを作れる規格はなかったのだ。

女性のドレスのサイズには詳しくないカーディルは国のドレスが、

どれだけ厳しく決められているのかなんて知らないし、

矯正用品を身に着けてドレスを着せられている女子を見た事がない。

だから成長すれば、そう言った体付きに女性は成長すると思っているのである。

けれど、そんなはずがないのだ。

矯正を受ける事無く成長したソフィアは普通の体型にしか過ぎない。

ドレスが出来るまでに結婚の挨拶をと考えていた、

所がその予想は直ぐに裏切られる事になる。

ボルフォード公爵夫人は一目見てソフィアの体格がもう、

公爵家のドレスを着られないと理解して登城を諦めている。

直ぐにマリス家に挨拶させてボルフォード家にソフィアを送る手配をしていた。

そのタイミングで、公爵はカーディルに手伝いをさせ始めた。

教育はカーディルにとっては厳しく辛いと感じる事で、

更に告げられたのは、ソフィアでは社交界で自分をフォローをする能力がないと。

これから公爵家を背負って社交の場に出なければいけないカーディルにとって、

ソフィアは足手間問いにしかならないと。

色々と足らない事が多すぎるから公爵家で、

帰ってみれば、初日の夜から夜這いに出かけようとしたと聞かされ、

助けて助けてとしかいい続けなくて、

王妃様の信頼をえる能力をまだ持てていなかった。

3っか月はボルフォード公爵夫人に様子を見ると言われていたから、

カーディルなりに「我慢」していたが、それでもなかなか成長しない、

ソフィアを見て見限った。

もう何しても良いからさっさと成長して王妃様に認められる様になれ。

公爵家の事は俺が考えるからと思うようになった。


ソフィアの代わりに前線で戦って国王陛下から認められるなんて、

当然考えていない。

面倒事とかは全てソフィアに押し付けて未来の公爵としてのんびりと、

人生を送る事が当然のつもりでいるし、

それがいつまでも許されていると思っている。




エディルネ・ボルフォード


ボルフォード公爵夫人として、一応エディルネという名前は用意していた。

思いつくのが遅くて使う機会はなかったけれど。


一種の毒親と表現できるのかもしれない。

ただしこの考え方は、貴族の母親としてはおかしくないのである。

家の存続と血のを残す事を考えれば正しい公爵夫人の姿なのかもしれない。

カーディルがこうなった全ての元凶にして、今の公爵家を作った人物。

同格の公爵家から嫁いで来ているから、その辺りの常識もばっちりで、

王妃様から認めて貰っている。

そして一番重要な事なのだがボルフォード家は、

国の服飾関係を牛耳る存在な為、公爵夫人は否応なしに、

その時代のファッションの最先端を走り続ける事になる。

エディルネも嫁ぐ前からその事を自覚して体を矯正して、

ドレスを美しく着る為に日夜努力し続けたのだ。

その甲斐あってか、ボルフォード家の面々もエディルネを、

温かく向かい入れている。ボルフォード公爵夫人として十分な役割を果たせた。

そうなると自ずと公爵夫妻の力関係はエディルネに傾いて行くことになる。

ボルフォード公爵閣下はボルフォード家存続の為の種馬程度にしか、

思われていない。

家と領地の産業を守るという点では、ボルフォード公爵は役に立たないから、

仕方がないと言えば仕方がないのだが。

エディルネ中心の公爵家にはなっているのでもう公爵閣下自身が、

あまり家の事に関心を示していない。

一応、公爵閣下がエディルネの提示した案を「許可」した形で公爵家は、

運営されているが、それはもう形だけの様な有様だった。

ただ夫婦としてエディルネの邪魔を公爵閣下はしないから、

エディルネとしても排除しようとかそう言う事は「何も」しなかった。

その反動なのか、血のつながった我が子には物凄い執着する事になった。

カーディルが生まれてからは異常なほど息子に愛を注ぐ事になる。

複数の子供を産むのは公爵夫人としての責任ではあったが、

苦しいコルセットを身に着けて公爵夫人として振舞い続けながらの、

妊娠生活を送るなんて2度と経験したくないエディルネにとっては、

トラウマ級の苦しい事となった。

だからと言って側室を儲ける事はプライドから許せず、

1人しかいない息子を大切に育てる事にしたのだ。

それもあって必要以上に過保護にそして可愛がったのだ。

自分の息子は可愛い。この可愛い息子が苦労するのは許せない。

だから…

「理想の花嫁を用意して愛しい息子に尽くさせる事」

が、エディルネの生きる目標となってしまった。

だから、カーディルの周りにはイエスマンしかいない。

我儘に好き勝手に生きる事を止めないエディルネの育て方の果て、

魔力を暴走させたカーディルは傷害事件をこしてしまう。

その所為で同格の婚約者を手に入れる事は出来なくなってしまったが、

エディルネにとってはとても都合の良い事となった。

格下の家の娘エルゼリアはとても都合がいい存在だった。

他家の娘でありながら「ファルスティン家」の人間だから、

どんな矯正具を与えたってエルゼリアは断れない。

その目論見通り、エルゼリアは何年にも渡って矯正具を取り付けられて、

生活する羽目になっていたのだが。教育だって過剰なほどの資料を送って、

ボルフォードで用意したドレスをファルスティンで、

更に苦しく手直しさせる事を目的に、針子とデザイナーを育てるためと、

言い訳をして教育用の人員を寄こせとファルスティンに打診している。

(その辺りは叔父様に程よく利用された)

完璧な花嫁を作り上げてムチュコタンの隣に立たせる計画は順調に進んでいた。

と、思われた。

学園生活も苦しい制服を着せていたし。

卒業後は王妃様に認められれば、

直ぐに領地の屋敷に閉じ込めて自分の下で教育して、

カーディルに尽くさせる完璧な公爵夫人が完成させるはずだった。

けれどその目論見は卒業パーティーの婚約破棄で全て崩れ去る。

エルゼリアを蹴落として新しい婚約者となったソフィアには、

エルゼリア以上の能力を当然求めた。

けれど結果は最悪を通り越して絶望しかない。

体格は一目見ただけで「平民」と同じかそれより少し優れているだけ。

信じられない位「崩れた姿」だったのだ。


「公爵夫人」に求められるのは「健康的な体」ではない。

胸下から肋骨を歪ませて腰にいたるまで真っすぐに括れ続ける腰。

首から肩に掛けて軽く抉れるような曲線を描く肩。

軽いS字を描いているはずの腰骨はまっすぐでなくてはいけない。

太腿の膨らみはない方が美しいとされ、脹脛が膨らんでいるのも許されない。

腕も細ければ細いほど綺麗とされるから、それはそれは苦しい想いをして、

未来の公爵夫人達は体を作るのだ。

たぶん普通の現代人の人から見たら裸はものすごい気持ち悪い姿に見える。

「やりすぎ」な位の矯正を爵位が高い家の御令嬢たちは受けている。

その状態でドレスを着るとドレスの厚みや腰に巻き付ける装具とのバランスで、

「美しいドレスの腰回り」になる。

体に密着する形で身に着けさせられるバスクには過剰な刺繍が施されるから、

括れていないと、寸胴に見えてまた見栄えが悪くなるのだ。

優雅に見せる思い切り膨らんだパフスリーブは重い内張が入っていて、

綺麗に両肩に聳え立たたせるために、肩の上にしっかりと厚手の布と、

内張が仕込まれた物が肩の抉れたラインにそって乗せられる。

着用した状態で「普通の肩」の形に見える様にする為に、

肩のラインは抉れていなくちゃいけない。

耳から長いイヤリング垂らしても肩にぶつからなくしなくちゃいけないとか。

ドレスを着た時に美しく見える形が最優先。

現代人の様な健康的で綺麗とされる体では公爵夫人の体としては、

太っているとみなされてしまうのだ。


だから王都の仕立て屋でサイズが解った瞬間、早馬を走らせて、

ドレスの上から付ける矯正具を準備して体の矯正を直ぐに始めさせたのだ、

体はそれで良いとして頭はきっと優秀なはず…

と思いきや全然だめで…

最後の手段としてエルゼリアをどうにかもう一度、婚約者に戻そうと、

ファルスティンに打診し続けていた。


渡した公爵家の資料を返せ!返せないならエルゼリアを寄こせ!


しかし帰って来た返答は「直ぐにでも返す用意は出来ています」

と。連絡が着て焦ったエディルネは、

次は、


返しに来るなら誠意を見せろエルゼリアに持って来させろ!


と、打診したのだ。

もちろんボルフォード家に来たエルゼリアを無事に返すつもりなど無く、

屋敷に閉じ込めで「婚約者になります」と、

無理矢理言わせるつもりだったのだが。

ライセラスがエルゼリアをそんな危険な場所に無防備な格好で、

行かせる訳がないのだ。

エルゼリア本人には身を守らせるための保護具付きのドレスを身に着けさせ、

ファルスティンの魔法の武具で身を固めた精鋭の騎士達に守られて送り出した。

到着して応接室に一人で来させる事なんてもちろんさせられる訳が無かった。

最低一人の護衛騎士と特別な傍付きを伴う事は、

敵対貴族の家に来訪する場合は認められる事。

だから、大人しく応接室で会話をする事になった。

対談時間は決められていて、

もしもその会談が終わってエルゼリアが屋敷から出て来なかった場合、

連れて来た騎士達が屋敷に突入してきてしまう。

そう言った意味でもエルゼリアを無事に返さない訳にはいかなかったのだ。

最後、応接室でエルゼリアへの説得も失敗したエディルネは、

自分の手元にはソフィアしか残らないという事になり、

ソフィアを躾けて自分の都合の良い奴隷に仕上げる事に決めたのだ。

もう、ソフィアの事を人間と思う事もエディルネは辞めるのだった。

だからこれからソフィアには「効率よく学習できる物」がたくさん、

与えられ続ける。

理想の体型になる矯正具に効率よくお仕置きできる体罰用品が、

嫌と言うほどソフィアには用意される。

可愛いカーディルの為の「完璧」な花嫁になれるまで、

どんな手段を使っても躾け続ける。

その伸ばされた手からソフィアが逃げる事は不可能。

ソフィアはエディルネの「歪んだ愛」を受けて育つしかなくなるのだった。

その「歪んだ愛」が枯れる事はないのである。

エディルネがソフィアが公爵夫人になれないと諦めない限り、

ソフィアの「躾」は終わらない。

けれどエディルネが諦める事は無いのでソフィアの「躾」は終わらない。

カーディルがソフィアが相手を出来なくて寂しいと言えば、

別の家の御令嬢を用意して相手をさせる。

ソフィアにはエルゼリアの代わりを。

新しい御令嬢には新しい役割として、カーディルを慰める役割を与えるだろう。

そしてカーディルが満たされればソフィアは集中して王妃様に認められるまで、

「学習」できるから「ソフィア」の効率が良くなって、

大変喜ばしい事になるとまで思っている。

エディルネにとって「ソフィア」は

「カーディルの為に生きる奴隷」にすぎないのだから。


それをエディルネは当然と考えてしまっているから、エディルネの常識も、

大概ぶっ壊れているのである。

そのぶっ壊れたエディルネを中心に公爵家は回っているから、

公爵家の使用人も「ソフィア」を人間と思わなくなっていく。


ソフィアが優秀なら、エディルネは躾をしようとなんて考えないし、

カーディルとソフィアが正しく恋人となれていたのなら、

カーディルがソフィアを見捨てない。

カーディルに見捨てられないソフィアに、エディルネは強く当たらない。

だから普通の仲の良い家庭が作れるのだが…

カーディルがソフィアを見捨ててしまったら、

たちまち公爵家のバランスは壊れるのだ。




ボルフォード家ソフィアの教育係の3人。


元々エディルネの実家から付いてきた、エディルネの腹心の様な侍女達。

だからエディルネの考えも良く解っているし、エディルネの言葉を最優先に、

聞いて行動する侍女の鏡のような存在。

ソフィアが来る前は、エディルネの周囲の世話をしていて、

エルゼリアが来たら同じように教育するつもりだった。

エルゼリアの能力を正しく理解しているから、そのつもりで準備していた。

だからそれがソフィアに切り替わる前までは慌てたりしていない。

けれどソフィアに切り替わって領地のお屋敷に着いた時に、

私室として用意していた部屋に案内した時点で背筋に冷たい物が走り、

エディルネと同じドレスを着せた時、あコイツどうやって「教育」しようかと、

3人そろって頭を悩ませていた。

まだ初日だからと最大限譲歩して優しくすれば、

その日の夜に使用人の部屋に夜這いに行こうとする始末。

エディルネの特別な傍付きから、その事を聞かされて、あコイツ頭足りてない。

と、もうどうしようもない奴として、

「教育」じゃなくて「躾」に切り替えようとしたけれど、

エディルネとカーディルの少し様子を見ようで、

我慢しながら「躾」用の道具を揃えていた。

正直「ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補」と言うのが嫌で嫌でたまらない。

正直呼ぶ価値も「ソフィア」にはないと思っている。

どんな手段を取っても「ソフィア」は公爵夫人になれる能力はないと、

判断できてしまっていた。しかしエディルネとカーディルが期待しているから、

どう「教育」しても「躾」ても、ダメだとは言い出せない。

ならせめで「躾」をしたいが、なかなか許可が下りなかった。

3っカ月間のテスト期間が終わってエディルネが諦めた時点でほっとしていた。

エディルネが「躾」をして良いと言った時点で彼女達の本当の「躾」が始まる。

「学習」に不必要な時間がどんどん削られていくのだった。

その教育方針はたった一つ。

出来ないなら学習時間を伸ばし続ける方針なのだった。

人が集中していられる時間とか、効率的な学習の仕方とか関係ない。

ただひたすらに「学習」時間を増やされ続け、出来なければ「拍手」してあげて、

励まし続けてあげるのだ。

それでも学習効率が上がらなければ、更なる「御仕置き」が待っている。

ソフィアにとっては最悪の存在なのだった。



登場人物ではないが重要な補足?説明。

王家と公爵家の関係。


王家は魔法を使える戦力を抱え続けなければいけません。

戦力が不足した場合隣国に責められるリスクが高まるからです。

その為その戦力の中核となる公爵家の人々は、

高い魔力を持っている事だけを求められています。

血筋上直系の「息子」には高確率で高い魔力を持った人間が生まれるので、

その家は優遇されました。

既得権益を与えられ、その家が潰れない様に配慮もされてきましたが、

その代り国境で戦う事も時には命じられるのです。

防衛戦争の要ともなる人物ですから、

もちろんちゃんとした爵位に着いた人間より国王や王妃に認められない人員が、

先に国境に送られる事になるのです。

国として必要なのは公爵家の「人間」であって公爵家ではないのです。

なので、新しい魔力が強い一族が出て来たら開いている

「公爵家」の名前を与えて、既得権益を与え国に尽くせと言って来るのです。

そうやって、公爵家の人間を国として確保し続けているのが現状です。

国境の小競り合いなんて言っていますが、

酷い場所では数十人単位で死ぬけっこう危ない場所が数か所あり、

「小競り合い」では済まなくなっている場所もあるでしょう。

それでも「小競り合い」と言わないといけません。戦端が開かれてしまえば、

全力でその「戦争」へ対応しなければならず、

そんな事になれば他国が連動して宣戦布告してくると王国は解っているからです。

難しい舵取りを迫られているのに今年の卒業生達は「汚染」されてしまいました。

王国の舵取りは一層苦しいものとなるでしょう。

今現在煌びやかな王都があり、国力は落ちていない。

反撃は痛い目を見るぞと言えていますが…

その富の源泉となっているのは、大量の余剰人員が王都にいるからです。

その余剰人員はファルスティンに送られていましたが、

これからはそれも出来なくなるでしょう。

そうなれば一気に「煌びやか」ではなく「スラム化」が、

王都で進んでしまうでしょうね。

それを見た各国の密偵はどう判断するのでしょうか?

色々と歪みを抱えている王国なので、その歪みから何時かは破断します。

けれど、それをゆっくりにする事は出来るが破滅の未来は変わりません。


ただし、別の理由で王国もまた滅びる事を許されないでしょう。

干渉国家として生かされる結末になるのではないかと思います。

逆に言うと隣国の為のバトルフィールドとなる可能性も高そうです。

王国の未来は暗いのですが、その暗い未来が一日でも遅く来るように、

王家の人間はもがき苦しんでいると言った状態でしょうか。

見栄を張り続けないと国が亡びるのです。

その見栄の一部が女性のドレスでもあるのです。

厳しく規格が決められているのは、

美しい会場を作り上げる為に公爵家以上の女性は会場の花となるべく、

煌びやかなドレスを身に纏いますが、その身に纏ったドレスが、

優劣を付けられる事態には出来ないのです。

揃っているから「美しい」と見える空間を演出する為には、

ドレスのサイズは揃えられ、歪な体にしてでも美しく見えるドレスを、

全員が身に纏わなくてはいけない。

古い製法技術で作られたドレスを今に伝えるほどの人的余裕がわが国には、

あるのだと主張するために、日夜公爵夫人達の苦しいドレス生活は続くのです。

国家存続のためにも辞められないという事でした。

ソフィアは何時かその場にカーディルと共に立たなくてはいけないのですよ。

数十万人の王国市民の命を背負って。

妥協が許されると思っているのなら大きな間違いなのでした。



以上、現在なんとなく考えている王国の設定と、

公爵家と王家の関係でした。

後は物語の進行具合によって修正は何度か入ると思います。


人の上に立つのって大変なのですよ。


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