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わ、私の努力は何だったの?ねぇ!どうして?なんで?

けれど、もうこれ以上何を頑張れば良いのよ?

もう毎日のノルマをこなすのが精一杯で何か不都合が少しでも起きれば、

学習は終わらず執務室から帰れない。

ドレスは着たきりになり、

次の日には悪臭に苦しみながら学習をを進める事になるのよ。

ドレスを着ている人にしか分からない悪臭が鼻をツンと刺激して…

ケホケホと咳が出るのよ。

そうすればただでさえ息苦しいのに更に息が吸えなくなって息苦しくて、

涙が零れるの…

もう、私がやれることはやっているのよ。

認めて!認めてよ…

それでも頷かない私を見たカーディル様は「チッ」って舌打ちして、

用意されている椅子に戻ったのよ…


嫌だ嫌だこれ以上の「教育」も「躾」も耐えられない。

たえられないのよ。

けれど首を横に振り続ける私を見てボルフォード公爵夫人は呆れていたのよ。

強情って思われているのかもしれないけれど。

それでも私なりに3カ月以上苦しい生活を送らされてきたのよ。

もう余裕がないなんて教育してきた侍女が一番わかっている事でしょう。

ねぇ?そうでしょう?

その侍女達からだって報告を受けているはずでしょう?

私の頑張りをどれだけ私が無理しているかを。

それなのに…

ボルフォード公爵夫人優雅にお茶を飲み続けて落ち着いた態度で迫ってくるのよ。


「貴女にはもう宣言してもらっているのよね。


―公爵夫人候補としてどんな躾も拒まず受けます―


と。

たぶん鳥頭だから忘れていると思うのだけれど。

その言葉は、侍女達も聞いているし何ならメイドや針子だって聞いているのよ。

つまりアナタは既に宣言しているの。

「どんな躾も受ける」と。

だから、もう断る権利なんてないんだけれど…

優しいわたくしは貴女に「選ばせてあげている」のよ?

その事を理解しているのかしら?」


た、確かにあの矯正具をはじめて身に着けさせられた時、言った気がするのよ。

け、けれどあの時だって私に選択肢が無かった。

言うしかない状況にさせられて無理矢理言わされたのよ?

そ、そんな脅迫まがいな宣言なんて無効でしょう?

私はあの時の事を思い出してそれでも忘れたふりをして顔を横にふるのよ。

知らない!そんな宣言知らないって!


「まぁ。忘れてしまったの?

それは残念ねぇ。

覚えていたら、まだ「教育を受ける前の軽い口約束」だって言えたのに。

もう既に「躾」られいるから。

2重契約になるから躾ける事が出来ないって言えたのにねぇ。

忘れてしまったのなら「再契約」じゃなくて初めての「契約」だもの。

遠慮をする必要がないわね」


そんな…

そ、それじゃあ私の受けて来た3カ月はなんだって言うのよ?

苦しい想いをし続けてそれに耐えた3カ月間は何だって言うのよ!

教育や躾は無かったって言いたいの?

ただ、私は遊んでいたとでも言いたいの?

そんなの認めない!絶対に認めないのよ!

私の努力した3っカ月間はちゃんと実在したのよ!

けれど、そんな私の心情は関係ないのよ。

ボルフォード公爵夫人はこの3カ月間の意味を私に話し始めるのよ。


「わたくしは期待していたのよ。

「躾」られなくともソフィア・ボルフォード公爵夫人候補は、優秀な子だって。

エルゼリア・ファルスティンを追い落としてカーディルの伴侶に納まったのよ。

だったらそのエルゼリアより優秀であるのだろうと思っていたの。

けれど、

ドレスは着れない。

使用人達にまともに挨拶も出来ない。

公爵位を持つ人ならば知らなければいけない教育は、

学習させてもほとんど覚えないし。

その覚えた知識と常識がこの屋敷の中ですら実践できていない。


…そしてこれから、

その教育に重ねて当家独特の風習さえ覚えて行かねばならないと言うのに。

スタート位置にすら立てていない。

本当に貴女カーディルと結婚するつもりだったのかしら?

出来ると思っていたの?

エルゼリア・ファルスティン伯爵令嬢は、

貴女に返却された資料を返しながらその資料の内容を全て口にしたのよ。

彼女が嫁いで着たら何の苦労もなく、

ボルフォード家の公爵夫人になれていたでしょうね。

その彼女をカーディルに「捨てさせて」その地位に貴女は滑り込んだのよ?

なら、あなたはエルゼリアの代わりを出来なくてはいけないでしょう?

ねぇ…


答えてくれないかしら?」


したよ!

必死に努力してエルゼリア以上になれるって思って!

公爵家に来てから色々な事を覚えたのよ!

け、けど知らなくて覚える物が多すぎて手が付けられないほどで。

それでも与えられたノルマはクリアーしてきたのよ。

クリアーできない時だった夜一人で覚えさせられて、

それで次の日にはちゃんと答えられる様になったでしょ?

だから公爵家に恥じない位に私の知識は増えているじゃないのよ!


「ノルマは熟していたと言いたいのかもしれないけれど…

間違えないでほしいわね。

そのノルマは熟して当然の量なのよ。

だって公爵家として受ける教育の基礎なのよ。

その基礎が出来ていなのに、エルゼリア・ファルスティン伯爵令嬢が、

ワザワザ持って来て下さった当家の「資料」を見ても解らないでしょう?

優秀なソフィア・ボルフォード公爵夫人候補としてはノルマなんて軽々熟して、

エルゼリア・ファルスティン伯爵令嬢が持って来て下さった資料を、

やっと持って来てくれたのかと迎える位の能力が無ければいけないのよ?」


そ、そんなの無理よ!

必死に課題を覚え続けたのよ?

やったのよ。

必死にやってこれが私の限界だったのよ!

私にこれ以上の成果を出せなんて無理よ…

無理なの。

それでも必死の努力をしたって成果は認めてくれたって良いでしょう?

毎日のノルマを必死にこなして来たんだから。

苦しい。苦しいのよ…

ここまでの頑張りを認めてくれないと、

私は…私は「駄目の人」って烙印を押される事になっちゃうのよ。

努力を認めて!お願い!お願いします!

私は必死に頑張ったって訴えたくって。


「ゕぁぉゅぉ…」


もう十分苦労しているって言いたくて。

か細い声を必死いあげたのよ。

けれどその声を聴いたボルフォード公爵夫人はフンって鼻で答えるだけ。


「わたくしはね「努力した」という言葉を聞きたい訳じゃないのよ。

わたくしは「カーディルに相応しい公爵夫人」が見たいの。

ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補の努力を見たい訳じゃないのよ。

解ってもらえるでしょう?」


それは学習成果を見せろって事に他ならなかった。

けれど私が見せられる成果なんて…な、何も無いのよ。

公爵家の基礎教育を今教わっっている状態で…

けれどボルフォード公爵夫人が望んでいるのは、

もちろん返却してもらったボルフォード家の資料を直ぐに理解して、

ボルフォード公爵夫人と同じ事をこなせる様になる事。

それが公爵夫人の考える成果って事で。

私が認められる事に他ならなかったのよ。


そう断言されれば成果…

私はどんな言い訳をしたって成果は出せてない…

そう言う事になってしまうのよ。

見せられる成果なんてないからまた首を横に振るしかなくて。

それを見たボルフォード公爵夫人は「はぁ」とため息を付くのよ。

そう、ここにいたって私は初めて望まれていた「資質」の大きさと、

「期待値」の高さを思い知らされたのよ。

「学園」を卒業して、嫁ぎ先や働き先に向かった「生徒」は一瞬にして、

貴族としてその地位に相応しい立ち振る舞いを求められているって。

男爵家だった私は、男爵家として振舞えるだけのマナーは教えて貰っていた。

けれど。公爵家の人間としての立ち振る舞いなんて知らないし。

教えて貰った事もない。

学園のカリキュラムだって爵位に応じて振り分けられていたのよ。

婚約している訳でもない私がその爵位に合った立ち振る舞いを覚える事なんて、

出来る訳がないのよ!誰も教えてくれないのよ!

けれど、ボルフォード家に嫁いでくる予定だったエルゼリアは、

何年もかけて伯爵位だけじゃなくて公爵位を持つ家に嫁いでも、

恥ずかしくない立ち振る舞いを覚えていたって事だったのよ。

それは当然一日二日学んだ程度では到底届かない事なの。

けれどそれを期待されていたって事だったのよ。


「ねぇ?

ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補?

貴女は何時になったらカーディルに頼るのではなくて、

カーディルを支えられる様になるのかしら?

教えて頂戴な?」


出来ない。

カーディル様を支えるなんて。

今が精一杯で私が支えて欲しい位なのに。


「当家には、カーディル「を」支える者はいても、

カーディル「に」支えられる者は必要ないのよ。

そして、一番近くで支えなくてはいけない人生のパートナーとなる者が、

カーディルを支えないなんてありえないのよ?

その事を正しく理解出来て?」


それは、それは…

望まれていた根本的な所が違ったって事だったのよ。

公爵家はカーディル様の為の物と言った考えで、

そのカーディル様に尽くすための人々が集まり働く場所って事だったのよ。

そのカーディル様の為の家で公爵夫人が求められるのは、

カーディル様の為に生きる事だから。

カーディル様の迷惑になる事は許されない。

ましてカーディル様に求める事なんて出来ないのよ。


「ぁっぁっ…」


ここには…

公爵家には私が大切にされる「場所」なんて初めからなかったの!

私は今まで自分を磨いているつもりだった。

公爵夫人として、カーディル様の為に相応しい人になろうって。

けれど私の想いとは違って公爵家が考えていた事はたった一つ。

3カ月間もの間カーディル様の役に立てるかどうかを、

確認され続けていたって事だったのよっ!

この場は、今用意されている場所は…

公爵家の為と言い訳しているけれど、

未来の公爵家を背負うカーディル様の為に役立つ人になる様にする為に、

カーディル様に忠誠を誓わせる場所に過ぎないのよ。

そして…

誓わされたが最後…

私は公爵夫人と呼ばれるかもしれないけれど、

実態は「カーディル様の為の奴隷」として「一生」生きる事を求められる。

そこにカーディル様からの愛なんてない。

ただ、ただ、私が尽くして、尽して、尽し続けるだけの人生が待っているのよ。

カーディル様に求められるまま命令を聞き続けるだけの存在。

そこに「私」の幸せ…

「ソフィア・ボルフォード」としての幸せなんてない。

ただソフィアはいるだけ。

いるだけになっちゃうのよ。

そ、そんなの嫌よ。

私は政略結婚の様な仮面夫婦になりたくないのよっ!

ちゃんと私を見てくれて、

私を愛してくれて、

私を幸せにしてくれる人と結ばれたいのよ!

次回の更新は20~20時30分の間で投稿します。

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