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どうして?どうして私がこんな扱いになるの?おかしい!絶対におかしいよ!

「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、

毎週 水曜・土曜 20時に更新します。

痛む体で涙目になりながらまた壁際まで連れて来られて…

勿論退室なんて許されなかったのよ。

そしてまたチョーカーのリングにフックを掛けられれば、

壁際から動けない状態にされるのよ。

重たいカートは私を押しつぶそうとするのだけれど、

私はもちろん力を抜く訳にはいかなかったのよっ!

だって座ろうとすれば首のチョーカーが閉まって…


もう、もう私の受け取る物は受け取ったのよ!

退出させてよ!

本を執務室に運ばせてよ!カートから下ろさせてよって訴えたかったのよっ!

けれどそんな事は許されないのよ…

壁際に戻されても続けられるボルフォード公爵夫人とエルゼリアの会話には、

理解できない事が多くてっ!

もっと解り易く話せって思うのだけれど…

エルゼリアは相変わらず落ち着いたまま。

私の事を何度か確信していたのよっ!

なんなの?

何なのよ?言いたい事があるならはっきり言えば良いじゃないよ!


「私には関係ない事なので。

どうぞ。お好きになさるのが宜しいでしょう。

ですが時間は有限です。

急いで教育した方が宜しいと思います。

世界はソフィア・ボルフォード公爵夫人候補が一人前になるのを、

のんきに待ってくれはしませんから。

大切な御子息が前線に行くかどうかは、

ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補の学習具合によると思います」

「いうわねアナタも」

「もう、お会いする事はありませんから」

「…そうね。ない。のでしょうね…」

「ええ。私は私の道を歩きます。

その道の途中にも先にも、ボルフォードは無いのです」

「ありがとう。ソフィアを「躾ける」覚悟が出来たわ」


…え?私を躾ける覚悟って何?

今だって十分に苦しい教育を受けているのよ?

何を言ったの?ボルフォード公爵夫人は…

私は私自身の未来がが今行われた会話で決まったって思ったのよ。

理解したのよ。

けれど認めたくないの。


「そうですか。それは良かったです…

ではそろそろお暇したく思います」

「…もう少しだけお話しましょう。これが「最後」なのだから」

「そうですね。解りました」


それから二人は私の事を無視して、たわいのない話を始めたの。

私にはまったく理解できない話で…

けれど公爵夫人はエルゼリアの事を褒めていた。

褒めていたのよ!

ここに来て公爵夫人にため息を付かれる事はあったけれど、

褒められた事は一度だってないのに!


「私は貴女の様な娘が欲しかったわ「息子」の為にも」

「既に「息子」には良い相手がいるではありませんか。

お似合いですよあの二人は。

末永く支え合って?行くのでしょう?

私は冷酷でソフィア様は天使と仰っていたのですから」

「ふふっ、天使?天使ねぇ…」

「そうですよ。天使なのです。

神様からの御使いですから、

ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補が天に帰ってしまわれない様に、

しっかとり繋ぎとめて置くのが宜しいかと思います」

「ええ。まったくその通りね。

天使なら人間ではないものね教育が進まないのも納得ね」

「しっかりと「人間」にしてあげないといけないのだと思います」


そう言いながらクスクス笑うエルゼリアはとても美しく見えてしまったのよ。

最後まで美しい姿と姿勢を崩さなかったエルゼリアは応接室から退出して。

ボルフォード公爵夫人とカーディル様はそのお見送りって事で、

侍女達まで連れてついて行って、いなくなったのよ。

最後の最後までエルゼリアは美しくって、その歩きですら見惚れるほとだった。

悔しけれど私が令嬢として目指すべき姿を見た気がしたのよ。

けれどそう考えれば考えるほど…

今の私は酷い事をされているって思えてきて…

私は素敵なドレスを着て傅かれる存在なのよって思えて…

けれど今の私は…

壁際にフックを使って固定されて、

矯正具を嵌められてカートを持ち続けるだけの運び屋…

動こうとすれば後ろからガツンって音が鳴ってただ立っているだけ。


「ぅっ…ぅっ…」


自然と涙が零れ落ちてきて…

けれど誰もそんな私を気にする人はいないのよ。

壁際で繋がれたままの私は場から解放されず立ち続けるしかないのよ。

けれど…

清掃係のメイド達が入って来ても、ボルフォード公爵夫人はおろか、

侍女達だって戻ってこなかった。

メイド達が部屋の片づけを始めても私の首のチョーカーに繋がった、

フックを外してくれる侍女達は現れなくって、

私はただ片付けを進めるメイド達を見ながら、

重たくなったカートの重さに耐える時間が続くことになったのよ。

さっさと運んで、この本から解放されたいって思って…

けれど誰も来てくれないのよ。

周囲で清掃を続けるメイド達は私の事を無視して作業を続けて…

私は完全に応接室のオブジェ扱いになっていたのよ。

パタンと応接室に繫がる部屋の扉はすべて閉じられて…

カーテンも閉められれば部屋は暗くなるの。

室内の明かりも落とされればシーンとした空間が広がって…。

私はそのまま放置される事になったのよ。

部屋は静かになって…

流石に私も不安になって動きたくなって…

けれど動こうとすれば…


―ガツン―


チョーカーに掛けられたフックは健在で。

私は動けない。

動きたい!動きたいのよ!誰か!誰か来て!

「ぁっぁっぁ」

必死に声を出して、誰かが気づいてくれるのを待つの。

けれど…

私の声に答えてくれる人はいなかったのよ。



色々とありますがエルゼリアはこれで完全にボルフォードと縁が切れたのです。

晴れてボルフォード家はファルスティン家は敵対関係になれましたね。

それはさておき、ソフィアに対する「教育」がエルゼリアに会った事によって、

「躾」へと完全に切り替わりました。

ボルフォード公爵夫人は最後までエルゼリアを、

利用しようとしていたって事なのです。

カーディルは国王陛下に認められない。

ならその代り伴侶が王妃に国への忠誠を示させるのです。

つまりソフィアにその能力を求めたのですが…

数カ月「教育」を施しても、王妃が認めるほどの能力になりませんでした。

そこで最後の手段としてエルゼリア「も」迎え入れて、

カーディルの「伴侶」とする事で、王国から認められようとしたのですが、

エルゼリアはもちろん断ったのでした。


これでソフィアの退路は完全に絶たれてしまったという事なのです。

ソフィアはもう「ボルフォード家」から逃げられません。

エルゼリアが戻ってこない以上、もうボルフォード家の次代の夫人になるのは、

ソフィア・ボルフォード以外いないのですから。

それはどんな手段を使ってでも「公爵夫人」を作らなくてはいけないという事です。

もうボルフォード家にソフィアを守ってくれる人が誰一人としていなくなった。

そして、助けてくれる人も消えたという事です。

ソフィアは、「支える側」の人になる事を望まれているのです。

甘えて「助けられる側」にいる事はもう出来ません。

「ボルフォード家の」というより、ボルフォード公爵夫人が望む二人の関係は、

「伴侶となったソフィアが一生カーディルを支え続ける事」なのです。

支えられるカーディルに自分で立つ事は特に望まれていないのです。

ただ、カーディルには次代の者に血を繋ぐ事さえしてくれれば良い。

家を管理して存続するための努力は「伴侶」がすれば良いと思っているのです。

家としての体裁は「伴侶となった女性」に整えさせる。

公爵となったカーディルが輝ける舞台を一生用意し続けさせる。

と言うのがボルフォード夫妻の基本的な考えとなっていたのでした。

カーディルという主役が舞台で輝くのに必要な「伴侶」が足りないなら、

追加すればよい。

学園で革命を起こしてしまったからエルゼリアは「今」は使えない。

けれど、ソフィアが王妃様に認めて貰えない様なら、

周りが静かになった頃に、適当に第2婦人としてカーディルに宛がって、

王妃様に認めて貰えば、次代の公爵家は安泰だろう。

そんな「抜け道」みたいな方法で王国に認められるつもりだったのです。


ですがファルスティン家は取り戻したエルゼリアを手放す事はしません。

絶対に王国に嫁ぐことを許可しません。

もちろんエルゼリアの伴侶だって領内で用意します。

そこにカーディルが婿入りするなんてありえませんし。


ボルフォード家が考えていた静かになった頃、

エルゼリアを連れてくる事は実質不可能になってしまいました。


エルゼリアが嫁いでいたらまだ信頼を少しずつでも重ねて行って、

公爵夫人として立派に立つ事が出来たでしょう。

予定通り?カーディルがどうしようもない奴でも良いという事に出来ましたが。

エルゼリアが直接「御断り」してしまった事で、

その抜け道は防がれてしまいました。

残った次代の領主とその伴侶は今のままでは公爵家を継ぐ資格を持てません。

どちらかが王家に認められなければ。

資格を取れなければ最悪ボルフォード家は取り潰しとなりますし。

そうなれば領地は近隣領主へ吸収され分割統治。

お屋敷は取り潰されそこで働いていた使用人達は働き口を失います。

現在の使用人達や教育係は良いですが、

その子供達は未来の優良な働き口を失う事になるのです。

高貴なお屋敷で働くには「信用」が重要視されますから。

長く続いたお屋敷の使用人は、高給取りなうえに世襲制で、

自分から子へ。子から孫へ受け継がれていくものなのです。

そこにも小さな「伝統」が発生しています。

使用人達にも長年仕えてきた「ボルフォード家」という誇りがあるのです。

その次代が公爵家を継ぐに値すると評価される「テスト」を、

クリアー出来ないと聞かされて納得するでしょうか?

勿論できません。


なら、使用人が取れる手段は2つ。

カーディル様に新しい「伴侶」を選んで戴く。

もしくは、その「伴侶」となった女性が王妃様に認めて貰えるまで「躾」続ける。

どちらかを選ばなくてはいけません。


さて、使用人達はどっちを選ぶんでしょうか?

とっても楽しみですね!


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