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私の公爵夫人となる為の第一歩が始まったのよ!あ、あれぇ?こ、こんなはずじゃ…

「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、

毎週 水曜・土曜 20時に更新します。

数日間の移動を馬車で過ごして到着した先、

ボルフォード公爵領は豊かで、衣類生産をメインとした豊かな領地だった。

始めてみる景色もそこそこに私は領都にあるボルフォード家のお屋敷に、

到着する事になったの。

大きい屋敷で、そこお屋敷に比べたら私の実家なんて、

使用人の家程度の大きさしかないって思えて恥ずかしくなっちゃう。

規模が全然違い過ぎて、その大きさに圧倒されちゃった。


「お待ちしておりましたよソフィア・マリス男爵令嬢。

今日からは公爵婦人候補ですね」


にこやかに笑顔で迎え入れてくれた、女性は公爵家のメイド達を管理する、

メイド長だった。

その後ろには数名の侍女も何人かいて私に挨拶をしてくれる。

将来はこの場所を私が管理する事になるのね。

こんな大きいお屋敷を。

そんな事出来るかしらってちょっと不安にもなったけれど、

弱気でなんていられなかったのよ。

もう既に王都のお屋敷から連絡は来ていて私がここで公爵夫人教育を受ける事は、

決まっているのだから、その受け入れ態勢も出来上がっているみたいだった。

お屋敷の3階にある、公爵家のプライベートスペースに作られた、

未来の公爵夫妻の為のスペースに私は案内されたの。

そこはまるでお姫様の暮らすお部屋みたいで。

家具や調度品も揃えられて素晴らしい空間に仕上がっていたのよ。


「わぁ。とっても素敵なお部屋ね」

「ありがとう御座います。急遽使用できるように整えた空間でしたが、

ご満足いただけたようで何よりです」


この素敵なお部屋に合う様な公爵夫人にならなくっちゃって、

私は頑張ろうって決めたのよ!


「早速ですが公爵夫人候補お召替えをお願いします。

公爵夫人候補として相応しいお姿になって下さいませ」

「はい!解りました。直ぐに準備しますね!」


それが…


教育の始まりの合図だったの。



別のお部屋に案内された私はそこで、公爵夫人に相応しい姿になる様に、

お着換えをしてカーディル様のお母さまが着ていたドレスを着る事になって…

トルソーに掛けられたドレスはとっても素敵に見えたの。

この素敵なドレスを着て生活できるなんて私には信じられなかった。

メイドさん達に手伝ってもらって、

私は身に着けていた自分のドレスを脱いだのだけれど、

その手際の良さも、やっぱり公爵家に仕えるメイドさんは良く動いて、

私を補助してくれるから気分が良かったわ!。

下着から一式用意されていたから今まで着ていた物は全て脱ぎ捨てて、

公爵家がよういしてれていた物を受け取って身に付ければ、

その渡された下着だってまるでお姫様が着ている下着みたいで、

私に公爵家に相応しい姿になるのですよって、

言ってくれているみたいで嬉しかったの!

けれど、楽しいお着換えはそこまでで…

そこからは美しくなる為に時間だった…


「ではさっそっく」

「お、ぐぅうっっ」


何事かと思った。

スルリとお腹周りに宛がわれてぴったりと私に寄り添ったと思ったら、

物凄い力で私の胴回り全体を締め上げ始めたのよっ!

それは幅が広いコルセットで固いボーン入りの物だったのよ。

あれよあれよという間に締まり出したコルセットは、

数人掛かりのメイドさんと針子さんが協力してこれでもか!って位に、

物凄い力でコルセットを窄める為の紐を引っ張って、

締め上げられ始めたのよ…


「ぐ、ぐるし・・・」

「お声を出すのははしたないですよ。我慢してくださいませ」

「む、むり」

「何を言っているのです?まだユルユルですよ。もっともっと締めなければ…」


お着換えを手伝ってくれるメイドさんはもはや私の事など気にしてないみたいで。

私の元の体の形なんてお構いなしにひたすらに体の形を整えようとしていたのっ!

メキメキとコルセットの革が音を立てて私に喰い込んで来ていて、

物凄く痛くなってきていた。

とっさにコルセットを掴んで抵抗しようとしちゃったんだけれど、

その腕は、メイドさん達に掴まれちゃって…


「公爵夫人候補は解ってらっしゃいますね!

そうですよ!腕を上げる事で腰はもっと細く出来るんですよ!

さぁもっと腕を持ち上げて下さいませ!」


そう言われながら両腕は万歳する格好を取らされたの。

そ、そうしたら更にコルセットは締め上げられて、

メキメキと私の体にめり込んできたのよっ。

体の中から物が抉り出されるかの様な苦しさとコルセットのボーンは、

私の形を容赦なく変形し始めて体から骨の軋む音と…

コルセットのボーンと、骨が当たって痛いっ!痛いのよっ!

こ、こんなに苦しくて痛い想いをするのは初めてで信じられなかったのっ。

だって、だって私は学園の芸術祭とかでドレスを何度も着ていたから。

あのエルゼリアに劣らない美しいドレスを着こなして、

優雅に芸術祭を盛上げていたのだからそんな私がっ、私の体付きがっ

コルセットをこんなに締めなくちゃいけないなんてそんな訳無ない。

絶対に用意されたドレスが間違っている。

サイズが可笑しいのよっ。

こんな苦しい想いをしながらドレスを着るなんてありえないし考えられなかった。

それは胸全体を圧迫してもまだ治まらず更に絞められ続ける事になったの。

い、息が本当に出来ないっ!

苦しい…


「あぁっ…」


そう思った直後あまりの苦しさに私は気絶してしまったの…

ただその意識が落ちそうになった時にぼそりと聞こえた言葉が…


「当家で一番緩いコルセットですよ。

公爵夫人となられる御令嬢がこの程度のコルセットで、

苦しいや無理などと言う言葉を言ってはいけません」




うそ、でしょう?




もちろん気絶してもドレスの着付けは終わらなくて、

意識を取り戻した時には、

ボルフォード公爵夫人が着ていた様なドレスを身に着けていた。

けれど…


「うっぐ」

「お気づきになられたのですね。

まったくあの程度のコルセットに耐えられないなんて御令嬢失格です。

今日からは「公爵家」のドレスを楽に身に付けられる様になるまで、

お体を整える矯正具生活をしなければいけませんね」


吐きそうなほど苦しい想いをしてきたドレスは私を更に落胆させる結果だった。

椅子に座り全身が見える姿見に写る私の姿は、あの美しくドレスを着ていた、

ボルフォード公爵夫人に比べて明らかに見劣りする格好だった。

それはドレスが格下とかそう言った意味ではなくて、

全体のバランスが明らかに可笑しかったのよ…。

思い切り絞められたコルセットを着ているのに姿見の私は腰が太く見えて、

まるで寸胴の様に見える。

肩のパフスリーブの大きさもの異様なほど高い位置になっていて、

取り付け位置のバランスが可笑しかったというより、

そのパフスリーブがふにゃふにゃの形で、だらしなく潰れて突っ張っていたの。

形が狂うほどのその肩の内側の形が可笑しいと。

ちゃんとした形にならないって無言で言われたみたいで…

そうなの。肩の位置が高すぎて、それをなんとか私の体を納める為に、

無理をして引っ張って着ている状態だったの…

そのパフスリーブの付け根から首元までのラインが盛り上がったように見えて。

肩から首に向かってのラインが盛り上がり続けていたの。

まるで筋肉が盛り上がっているみたいに見えるから、太っている様に見えて。

パフスリーブから袖先まで腕を細く美しく見せてくれるはずのドレス袖は、

腕の筋肉で凸凹に膨らんでいたの。

ボルフォード公爵夫人が優雅に握っていた扇子を持つ腕。

それはとても細くて美しくて、ドレスと調和が取れていて…

公爵夫人が動かす度にふわりと視線に入って来て、

その動きだけでも楽しめてしまうようなそんな魅惑の腕だったのに。

を私も持ってると思っていたの同じ様なドレスを着たら私の腕だって、

美しく動いてみんなをもっと魅了できるような…

見惚れられるような腕だって想像していたのに。

現実は間接の所が異様に膨らんでいるようになってしまっているから。

袖の生地が腕にピッタリなる事が出来なくて酷い皴を作ってしまっていて、

異常な腕の太さを私に見せてくる。

少しでも腕を動かそうとすれば腕はグググって生地が引っ張られる音を出して。

所々ギシリギシリと今にも破れそうな音までする。

私が気を失っている間に無理矢理袖を通しましたよって言われている。

コルセットを絞めた時に持ち上げられた肩辺りの筋肉がただひたすらに、

私の上半身をブクブクと太った形に見せていたのよっ!

こ、コルセットさえ緩めれば、上半身の可笑しな形だって治るのにって思っても、

そのコルセットで締め上げられて形を整えられたはずのた腰回りは、

全然細く見えない…

それどころか、このコルセットが私が太っていると言いたげに、

ギシギシと無様な音を鳴らしているの。

ただでさえ細く見えない腰回りがコルセットを外したらどうなるかなんて、

見なくたってわかってしまう…

これだけ苦しい想いをして着ているのにも関わらす私の姿は無様な姿だった。

笑いたくなるほど可笑しかった。

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