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なんで?どうして?悪の令嬢があんなにっ!ありえない!ありえちゃいけないの!

「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、

毎週 水曜・土曜 20時に更新します。

二人掛けのカウチを迎え合わせる形で置かれその間には楕円形のガラステーブル。

そうしてセッティングされた部屋の中心でボルフォード公爵夫人と、

エルゼリアは共に向かい合う形で座って、

その隣には、あの特別なメイド服を身に纏ったメイドが座ったの。

エルゼリアのメイド度が運んできたカートはそのカウチの後ろに置かれて。

向かい合って座った4人の椅子の後ろには、それぞれカーディル様と…

エルゼリアが連れてきた騎士の鎧を身に着けた男が立ったのよ。

美しくデザインされた甲冑は機能美にあふれているのだけれど、

儀礼用の甲冑と言う訳では無さそうで無数の傷がついていたのよ。

その背中には大きな大剣と、腰にも2本の剣を携えていて、

正に姫を守る守護騎士って雰囲気だったの。

その騎士が視線を向けるのは勿論エルゼリア。

一目で彼女の為の騎士だって理解出来たわ。

それに凛々しいお顔で…

私もあんな騎士に守られてみたいって思ってしまったの。

けれどそれは叶わない事なのよ。

ごめんなさい騎士様。私にはカーディル様と言う最愛の人がいるから。

貴方は愛せないのよって、言ってあげたかったのだけれど…

今の私にそれは叶わない。

だって私はまだあの場に呼ばれていないのだから。

呼ばれたあの場であの凛々しい騎士様に挨拶をして、

ごめんなさいと言ってあげないとね。

それでも「場」は整えられて、

ボルフォード公爵夫人が口火を切ったのよ。


「本日は、御足労戴きありがとう。

今日のお話が有意義になると思ってお呼びしたのだけれど…

事前に提案していた事。

考えて貰えたかしら?

悪い話ではないと思うのよ」



「…ええ。

できるだけ熟考を重ねて、よりよいお返事をしようと思いました。

お父様とお兄様ともご提案された内容を確信しましたが…

その…

あのお手紙に書かれた事は正気で書かれたのでしょうか?」


「勿論よ!そうよねカーディル?」

「はい!一時の気の迷いだったのですよ。

私の愛した女性はエルゼリア嬢あなただけです。

ソフィアは酷い女性だったのですよ。

誰彼構わず股を開こうとするアバズレだったのです。

もう少しで私のその罠に引っかかる所でしたが…

視思慮深い私はその前に気付く事が出来たのです!」


か、カーディル様?

な、なにを言っているの?


「ぅぉ…ぅぉ…」

「お静かに」


両隣りにいる侍女からそう言って声を漏らさないように注意されるの。

け、けど、そんな事言ったって…

カーディル様が変なこと言っているのよ?

うそ…うそよ!

だって、だって愛し合ったじゃないのよ!

私はまだカーディル様にだって抱かれていないわ!

学園の学生らしい清い交際だったでしょう!

私はまだ乙女よ!乙女なのよ!

それなのにどうして?どうしてそんな酷い事言うの?

私はカーディル様一筋なのに!

けれど、それを聞いたエルゼリアも呆れた表情を見せていて、


「はぁ…

それでは、ソフィア様の事どう思われているのでしょうか?」


「先ほども申し上げましたが…

気の迷いです。無かった事にしましょう。

大変幸運な事に婚約は「解消」と言う手段を取っております。

ですから何の憂いもなくもう一度婚約できるのです」


なに、それ…

あんなに必死になって卒業パーティーの時に婚約破棄を宣言したのに!

またよりを戻すって事?

そんな事駄目よ!カーディル様は…

カーディル様は私の物なんだから!

もう一度エルゼリアと「婚約」だなんて嘘よ…

嘘って言ってよカーディル様!


「っぁっぁ!」

私は必死に声を張り上げて、私も聞いているのよ?!

私がカーディル様のパートナなのよ!って言いたくて!

必死になってカーディル様の所に行こうとしたのよ!

けどっ


―ガツン―


「!ぁっぁ!」


けど、チョーカーに繋がれて鎖は私を壁から放さない。

せめてっ!せめて嘘って言ってよ!

けれどカーディル様は嘘って言ってくれないの。

そのまま反論するように、エルゼリアが話し始めるんだけれど…


「仮に気の迷いだとしても、学園生活の間中婚約者の私を無視し続け、

雑務を押し付けて、召使の様に扱われた記憶しかないのですが?

その辺りはどうお考えなのでしょう?」

「それは好いた女性の成長を促す為だったのです。

現にあなたは立派に成長なされました!

私に相応しい婚約者となったではありませんが!」


違う!違うでしょう?カーディル様と私は、エルゼリアの不正を暴くために、

戦ったのよ?エルゼリアの成長を促す為なんかじゃない!

私の…私とカーディル様との大切な、大切な思い出が…

ひどいっ!

あの一緒にエルゼリアの不正を暴くための日々が全部嘘だって言うの?

私との大切な正しさを探して不正を暴いて「正義」を貫いた日々が…

エルゼリアの為?

うそ…

うそよ…


「…婚約は既に解消しております。

私はカーディル・ボルフォード公爵令息の婚約者ではありません。

アナタには、ソフィア・マリス男爵令嬢…

ではないですね。

ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補がいるではありませんが」

「それは、そうだが…」


そ、そうよ何を言っても私は「今」ボルフォード公爵夫人候補なのよ?

私がカーディル様と婚約しているのよ?

例え思い出を消されたって、私が公爵夫人候補だって事は変えられないのよ!

エルゼリアが私達二人の間に入るなんて出来ないのよ!

ちゃんと私も言わなくちゃ!

言わなくちゃいけないわ!

だって!だってぇ!

当事者なのよ!


―ガツン―


「ぁ!ぃぁっ!」


外して!カーディル様の隣に行かせて!

私は必死になって両隣の侍女を見るの!

けれど彼女達は私の方も見ないでっ!

私の必死の声も聞こえないふりをしているのよ!

そんな恋人同士のお上品で甘酸っぱい恋話が続くのよ!

愛を求めるカーディル様にひらりと往なすエルゼリアみたいな形で…

違うでしょう!私が!私がカーディル様の愛を囁く相手のはずなのよ…

だ、ダメそんな会話続けないっで思っても、終わらないの。

エルゼリアはその美しく余裕を持ってお返事するのよっ!


「なら、私は必要ありませんね?」

「い、いや必要なんだ!これからのボルフォード家を支えられる女性は、

お前以外にいないんだ!」

「ですからその役目はソフィア様のお役目でしょう」

「ソフィアじゃ公爵夫人の役目を果たせないんだ!

だからお前がもう一度俺の婚約者になって、

俺の隣に立てば俺は公爵家を継ぐことができるんだよ!」


…え?わ、私じゃ公爵夫人になれないって?

役目を果たせないってどういう意味なの?

私、公爵夫人になる為に。

カーディル様の隣に立つために必死に頑張っているのよ?

それなのになれないってどう言う意味なの?

それにエルゼリアが婚約者にならないと公爵家を継げないって?

そ、そんなバカな話ある訳無いじゃない!

カーディル様は公爵子息なのよ?

なんでそのカーディル様が公爵家を継げないの?


「ソフィアじゃ、王妃様の試験を通らない。

通るだけの実力は無いんだ!屋敷に来て今日まで必死に、

侍女達が仕込んだみたいだけれど、このままじゃ王妃様が、

合格を出すのに2年以上かかるって。

基礎は出来ていないし、体型も全然矯正が進んでいない!

変な思想を持っているからその矯正に時間も取られるって。

そうしたら、俺が代わりに公爵家を継げるかどうかの資格を

国王陛下から認められなくてはいけない事になるんだ!」


…え?教育に2年も?2年もかかるの?

こんな生活がまだ2年も続くの?嘘でしょう?冗談よね?

それにこんなに苦しい矯正具を身に着けさせられているのに?

矯正も進んでいないってどういう意味なの?

苦しいのよ?痛いのよ?すっごく我慢してドレスを着ているのに?

矯正が進んでいないってどういうことなの?

私は今のカーディル様の言葉をもっと詳しく聞きたくなって、

また部屋の中央に向かって歩こうとしたのよ。

けれど


―ガツン―


音がまたして…

私はチョーカーの首輪が邪魔して!またその場から動けないのよ。

でも、でも、聞かなくちゃいけないのよ?

私はあと2年も本当にこんな生活を続けさせられるの?

違うわよね?

違うって言ってよカーディル様!

「ぅぉっ!ぅぉっ!」

必死に声を出して、訴えるの。

けれど私の声は届かないのよ。

遠い…

カーディル様から数メートルも離れていないのに…

カーディル様との距離が遠いの…


けれどやっぱり冷静な態度でエルゼリアは焦っているカーディル様に、

お返事するのよ。


「いえ…その辺りの事情は理解していますから。

ソフィア様が駄目ならカーディル様が認められれば良いではありませんか」


そ、そうよ!エルゼリアの言う通りじゃない!

私が出来なくたって、公爵子息として生きて来たカーディル様が、

代わりに!私が苦労する代わりに国王陛下に認められれば!

この生活から解放されるのね?

そうよね!簡単な事じゃない!カーディル様!頑張ってよ!

私の事愛しているでしょう?

愛している私の為に頑張ってよ!頑張るって言ってよ!

それでこの苦しい生活から解放して!

自由にしてよ!


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