カーディル様が帰ってくる!これで私の生活は安泰ね!
「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、
毎週 水曜・土曜 20時に更新します。
だから朝食から始まる公爵家での食生活は…
食べたいけれど食べる事が許されない様になっているのよ…
こんな食生活を続けていたら、直ぐに痩せてしまって体がボロボロになっちゃう。
けれどそんな事、侍女達は気にしていないみたいで。
ベッドから見える矯正具のベルトと充て具の長さを見れば、
まだまだ私の体を歪ませる事が出来る様に作られていたのよ…
いくらでも締め上げられる拷問器具の様な矯正具との生活が、
楽になる事は無いようにされているのよっ!
僅か数日間…
けれど、着実に決められていく私の躾、もとい「教育」は加速度的に、
私の「扱い」を悪くしていくのよ。
何時でも朝起きれば苦しいコルセットに痛い矯正具が私を待っているのよ…
朝から始まる私の「躾」は、もうなんの譲歩もなくてただただ苦しい毎日。
カーディル様…
私を助けてカーディル様…
あれから何度目かの夜を過ごしたのだけれど、ついにこの苦しい生活から、
やって来たのよ!
その日も苦しい矯正具を身に着けてカートを押して、
ボルフォード公爵夫人に今日のノルマをお伺いする所から始まったのだけれど。
それ以外の事を教えて下さったのよ!
それは私の待ちわびた瞬間でこの地獄のような日々が終わるって事だったの!
「今日はカーディルが戻ってきます。
ベッドは貴女の寝室に用意するから、久しぶりにお話でもすれば良いでしょう。
ノルマが終わればね」
「ぁ!ぁぃ!」
「…愛の力は偉大なのね。
けれど、その愛は何時まで保っていられるかしらねぇ」
うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!
やっと、この生活から解放される。
カーディル様にお願いしてあの芸術祭とかに用意してくれたドレスを、
作って貰えればもおうこんな!こんなきっついドレス生活は終わりなの!
私の考える理想の公爵夫人生活になれるのよ!
その日は精力的に学習を熟してなんとかっ!なんとかカーディル様との、
夜の語らいをしたくて私は必死に頑張ったのよ!
だってお会いしてお話をしなくちゃ!
私の苦しさを理解してくれるのはカーディル様だけだなんだもの!
侍女達の事も言いつけて別の人に変えてもらって…
その日はいつも以上に学習に集中して…
課題を覚えていったのよ!
お夕食を一緒に取る時間を作れればお話する時間だって作れる。
言葉も碌に喋れない私を見たら色々と察してもらえるもの!
絶対!絶対!合わなくちゃいけないんだから!
けれど…
「本日のノルマも終わりませんがここまでですね。
本来なら椅子に繋いで明日までお待ち戴くところですが今日は許しましょう。
愛しのカーディル様も帰って来られるみたいですからね」
「ええ。予定時刻は大幅に過ぎてしまいましたが…
もうカーディル様も御就寝なさっているでしょうね。
仕方がありませんね」
「ぁっぁっ!ぁっ!」
いいの!良いのよ!たとえ眠っていたとしても私の姿を見せれば、
カーディル様はきっと喜んで起きてくれるもの!
私のお願いを聞いて貰わないといけないんだから!
特別ですよと言われながら私は執務室からまた連れ出されて、
自室へと連れて行かれるのよ!
カートへ繋がれてだけれど。
もうこの数日間で自室から出て何処かへ移動する場合「カート」を押して、
移動する事が「普通」にされてしまっていたのよ。
けれどそうでなかったとしても私が歩ける場所はスロープしかなくって、
ハイヒールと足首に取り付けられた鎖が短すぎて、
階段を上り下りする事が出来なくされていたのよっ!
もちろん逃亡防止用と言われて侍女達とは口論になったけれど…
「多数決を取りましょう。
今のソフィア・ボルフォード公爵夫人候補を信用して足枷付きのヒールから、
浅靴にしても良いかと。
公平と正しさを皆に判断してもらう良い機会ですから」
その日のお着換えが始まる前。
ベッドに座らせた私に靴を履かせようとしたメイドに文句を言ったら、
侍女に言われた言葉がそれだったのよ。
もちろん結果は短い枷付きのヒールが私には必要という事が、
公平な皆の意志によって正しく選ばれたって事だったのよっ!
「皆がソフィア・ボルフォード公爵夫人候補には必要な物と思ったのですね。
ソフィア様はこの結果を正しく受け入れる義務があります」
「そうですね正しく多数決が行われたのですから。
その正しい正義の判断を「正義」を行ったソフィア様がまさか断るなんて…
もちろんそんな事はありませんわよね」
「ええ!そんなことすれば「正義」が守れませんものね!」
「ち、ちがぅ…」
「さぁ、早速正義を守る為に用意した、
ソフィア様の為の「ハイヒール」穿いて下さいませ」
誰も私の話を聞いてくれない…
そんな中で履かされた「ハイヒール」の靴は両足を短い鎖で繋がれた、
足首を締め上げる革のベルト付きの靴だったのよっ!
エナメル質の光沢のある白いハイヒールの靴は、足の甲を彩る様に、
固い革のリボンで作られていて踵からは足首の枷に帯びるベルトが頑丈に
取り付けられていて、靴を履いた上から甲の部分にも充て具と細いベルトで、
脱げない様にしっかりとベルト留めされる物だから穿かされれば、
脱げる心配はないって言えば良い靴なのだろうけれど、短く繋がれた鎖の所為で、
足を組んだり開いたりして楽な姿勢を取る事を許してくれなくなる靴だったのよ。
どうせ長すぎるパニエに満たされたスカートを身に着けるのよっ!
そんな歩幅を制限するような物なんてあってもなくても変わらないわよっ!
そう思っていたのよ。
けれど履きなれないハイヒールと重心が変わるバランスの悪さをその靴は私に、
与え続けていて…
ただでさえ遅かった歩く速度が更に遅くなったのよ。
けれど、周りの侍女達はそんな私の歩行速度にも満足したみたいで。
ニコニコしていたのよ。
「ええ!良い歩行ですね!淑女の歩みはこうでなくてはいけませんよ!」
「そうです。スカートの形を乱す様な歩行をしてはいけないのです!」
それはヒールの高い靴を履かされたお陰で身長が上がる事になって、
引きずり気味だったスカートが持ち上がって、
形を崩さなくなっていたって事なのだけれどそのおがけであの重たいスカートを、
全て持ち上げて歩く事になったって事でもあったのよ…
腰には一層の重みが押し寄せて腰回りの苦しさが一段と苦しくなったって事なの。
僅か数日間で揃っていく私の生活が苦しくなる品々。
それから…
それからやっと逃げられる。
やっと、やっとカーディル様にお会いできるって嬉しくて。
その歩行を苦しい歩行であることを忘れて
私は必死に歩くの。
歩いて、カーディル様に…
けれど連れて行かれた場所は自室の隣のお部屋。
所謂メイド達が私の自室に用意する為の物を搬入する裏口だったのよ。
なんで?どうして?って思ったんだけれど…
「既にカーディル様はお眠りになられております。
なのでソフィア様は裏口からフィッティングルームへ入室して頂き、
ドレスをお脱ぎになった後は、湯あみをして戴かなくてはいけません」
そうね!そうよね!
こんなカートに繋がれて矯正具で固められた姿を見せる訳にはいかないもの!
カーディル様には普通の私を見て戴かないとね!
フィッティングルームでドレスを脱いだ私はそのまままた湯浴みをして、
そして…
そし、て…
また新しいオーバーバストコルセットを身に着けさせられ、
その上から貞操帯を嵌めらたのよっ!
けれどそれだけならまだ許せたのよっ!
もう就寝具として私が身に付けない事は解っているからっ!
でも、でもよ?
このタイミングで新しい貞操帯とコルセットを嵌められたのよっ!
それはもうなんの嫌がらせかって位に鼻にツンとくる、
強烈な臭いを放っていたのよっ!
嘘でしょう?
臭いの。
臭うのよ強烈な革の臭いがっ!
けれど侍女達はなれた物なのか何にも言わないのよ。
その上からガウンを羽織らせられれば強烈な臭いはしなくなるけれど…
「これで就寝のご準備は終りです。
良かったですね今日からは今のソフィア様に相応しい、
貞操帯とコルセットを身に着けて御就寝出来るのです」
「出来立てですよ。今日の昼に職人の下より届けられた物ですから・・・
早速今夜から使用しましょうね」
流石に思う所はあったけれどそれ以上私は何も言わなかった。
寝室への扉が開かれれば私はそっとベッドの方へとはやる気持ちを抑えながら、
近づいて行ったのよ。
何時ものベッドとは違って二人で眠る事が出来るダブルサイズへと、
いつの間にかベッドは交換されていて、それがカーディル様がいるって事で!
やっとやっとカーディル様に会える。
この苦行から解放されるって想いがいっぱいで…
けど…
ベッドの足にはやっぱり鎖に繋がれた足枷があって…
もちろん私の足首には、侍女達の手によって革枷が巻かれて…
カチンって南京錠がかかる音がするのよ。
けれど、それも今日からは些細な事になるのよ…
それが嬉しくてたまらないの。
「それではお休みなさいませ」
それだけ言うと侍女達は全て部屋から出て行ったのよ。




