なんで上手くいかないの?正しい私の姿の為に行動したのにっ!
「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、
毎週 水曜・土曜 20時に更新します。
今日着替えさせられたお着換え専用のお部屋、寝室の隣の
フィッティングルームに連れて来られて姿見の前に立たされると、
特別なメイド服を着た人は私の姿をマジマジと見て、
呆れたように私に語り掛けてくるのよ。
「初日からこれほどとは…
私の考えは甘かったという事なのでしょうね。
何か言いたい事や申し開きがあれが聞きますが。
ありますか?」
私は当然何も話さないわ!
だってここで話す事は敵に情報を与える事だもの!
そんな事言って次回の脱走に支障をきたしたら嫌だものね!
「…そうですか。弁明は無いのですね。
なら、処置するだけです」
そう言って別のメイド達が私を着替えさせ始めるのよ。
って言っても着替えはもう1着、鞄の中にあるから
今着ている物を奪われても大丈夫だって思っていたのよ。
「ありました」
「そう、なら処分して。ろくでもない物しか持って来なかったのね」
けれどその考えは間違いで知らない間にメイドの一人が、
ウォークインクローゼットに入って行って、私の隠しておいた鞄を、
持って出て来てしまったのよ!
だ、ダメよその鞄を持っていかれたらお着換えが無くなって、
次の脱出の時に着る物が無くなってしまうのよ!
私はとっさに声を出して鞄を持っていこうとするメイドを足止めする。
「ま、待って!」
けれど私の声なんて聞こえないふりをして、
メイドは鞄を持って出て行ってしまったのよ。
う、嘘でしょう?しっかりと隠しておいたのにどうしてこんなに簡単に、
見つけられるのよ!
「もう、「配慮」は要りませんね。
何せ深夜に誰とも分からない男と逢引きしようとしている位なのですから。
カーディル様と婚約しておきながら、公爵家に来て1日目にして、
好みの顔を見つけたという事なのですね」
「ち、ちがうわ」
「はぁ…
何が違うと言うのですか?
夜遅くに、身分を隠したかのような姿をして、
公爵家のプライベートスペースから人知れず抜け出そうとするという事は、
公爵家の方々には知られてはいけない事を、
なさろうとしていたという事でしょう?
・・・本日到着したばかりのソフィア様が何も知らない屋敷の中で、
想いを止められず人知れず会いたい人なんて、
先程お食事を取りに行った時に挨拶をした使用人の誰かしかいないでしょう。
ワザワザご実家から持ってきた「お気に入り」のお洋服を着て、
会いに行こうとしたのですから」
「違うわよ!私が会いに行こうとしたのは、カーディル様よ!
婚約者のカーディル様に会いに行こうとしたに決まっているでしょう!」
「何を言うかと思えば。
ソフィア様も知っているでしょう?
カーディル様は未だに王都で雑事を処理しているのです。
このお屋敷にはいないのです。
嘘を付くのであれば、もう少しバレない嘘にしてくださいませ」
「いいえ!カーディル様はこのお屋敷にいるでしょう?
こんなひどい目に会った私をお屋敷に置いて、一人にはしないのよ!
だから絶対にいるのよ!いないなんて嘘よ!」
「これは…仕方ありませんね」
鞄を持って部屋を出て行ったメイドと入れ違いで、
革の塊を持った別のメイドが部屋の入って来たのよ。
その手に持っていたのは、また別の革の塊で、
それはコルセットともう一つ…
貞操帯だったのよ。
「下半身の管理がソフィア・ボルフォード公爵夫人候補には、
出来ない様ですから仕方ありませんね」
うそ。
嘘でしょう?
なんて驚いても遅かったのよ。
私の言い訳は、言い訳にすらなっていなかったのよ。
その場でもう一度裸にされた私は、またコルセットを巻き付けられたのだけれど、
今度はさっき身に着けさせられた前開きの一人で脱着出来る物じゃなくて…
万歳させられた私はそこに体を通す様にして、
固いコルセットに体を通す羽目になったのよっ!
それも素肌に直接身に着ける事になるからより固く苦しく感じるのよ。
それに締め上げと同時に肩当て付きのコルセットだったのか、
撫で肩になる様に肩に充て具をあてられて身に着けさせられたのよ!
私はこれから寝るのよ?寝るのにこんな邪魔くさくて固いものを…
けど何を言っても背中側で纏められ紐は一人では外せない。
そしてその腰に出来た括れに嵌める様に幅の広いベルトを巻かれると、
股の下に固い金属の仕込まれたベルトを通されて、
股との間に隙間がない様にした後に背中側で南京錠を使って。
自分では外せない様に鍵を掛けられてしまったの。
股に手を当てれば下着とは思えない固い物が存在を主張して…
また私の手の届かない所に体が離れて行ってしまったように感じるのよ。
付け心地も良い訳もなく直ぐにだって外したいわ!
「これからは、お体は私達が「管理」させて頂きます」
「こ、こんな物付けなくたって、私はっ!私は大丈夫なのよ!
必要ないわ!直ぐに外して!外しなさいよ!」
「もはや、信用できません。
何を持って大丈夫なのか、外してほしければ私達が納得いく説明をしなさい」
「私はカーディル様一筋なのよ!間違いは侵さないわ!」
「その一筋のソフィア様は今夜夜這いに行こうとなさったのですね」
「違うわ!カーディル様にお会いする為に!
カーディル様を探すために出ていこうとしただけよ!」
「ですからそのカーディル様は現在お屋敷にはおりません。
ああ、カーディル様の代わりを探すつもりだったという事ですね」
「「ちがっ」違いませんね。もう良い訳は出て来ないみたいですし…
続きは明日に致しましょうさぁベッドにお戻りくださいませ」
そう言いなら私はベッドに戻されたのだけれど、
その間に別のメイドがベッドの足に鎖を巻き付けて固定していたのよ。
それてベッドに乗せられた瞬間、乱暴に足首を掴まれて、
片足に鍵付きの革枷を巻かれたのよ!
信じられない!そこまでする?
ベッドの足に巻き付けられた鎖はベッドから一メートル位しか、
離れられない様にされたのよっ!
それから特別なメイド服を着た人が私に話しかけてくるの。
「今日はもう遅いので「対応処置」だけとします。
明日は今夜の事を踏まえた物を用意しておきますのでお覚悟を。
それではお休みなさいませ」
意味が解らなかったのだけれど、
私の意見(言い訳)はほとんど通らなかったけれど。
けれど確信できた事があったのよ!
夜の「騒がせ事」はやっぱり見つかった時の罰則は軽いのよね。
皆疲れているから・・・
ともかく今日の脱走はここまで。
コルセットに貞操帯を嵌められたお陰で苦しくなっちゃったけれど、
どういった対応をするのか解ったから、次はもっとうまくやれるわ!
そう思ってその夜は眠りにつく事にしたのよ。
次の機会があるって信じて!
希望の花が咲いたって私は喜びながら眠るのよ。
―現実を見て素直に生きた方が楽なのよ―
煩い!
私は、私は…
こんな生活耐えられないのよ!
私の片足に嵌められた枷の鎖はきっと特別製で、
私が考えれば伸びるのよ!
いっぱい伸びて…自由に何時だって逃げられるのよ!
けれど…
次の日には私の足元は不自由を強いられた生活が待っていたのよ。
まだ夜が明けきる前の時間に私は起こされたのよ。
そして次々に今日私が身に着ける物がフィッティングルームに、
運び込まれていくのを眺める事になったのよ…
口数の少ない特別なメイド服を着たメイドが言うのよ。
「ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補には必要な物でしたね」
私の足のサイズに合わせたハイヒール。
美しいデザインなのだけれど、
そのハイヒールには踵から太いベルトが伸びていて、
足首に嵌めるベルトが取り付けられていたのよ。
それは決して脱げない様にされるって事だった。
それには足首のベルトには短い鎖が繋がっていて、
私が走る事を決して許さない。
同時に太い太腿と脹脛を潰すための矯正具がそれぞれ用意されてたのよっ!
「当家の生活に慣れるまでは免除しようと思っていましたが…
その必要はないですね。
さぁ、美しい公爵夫人の足となる為に身に着けて下さいませ」
私の足にそのキツイ装具…
太腿と脹脛を細く見せる為のベルトをきつく巻き付けた後、
ハイヒールの履かせられて両足は短い鎖で繋げられたのよ。