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トレーニングって何?何を言っているの?

「乙女ゲームの主人公は正義を語り続けてはいられない」は、

毎週 水曜・土曜 20時に更新します。

少しくらい楽をさせてくれたって良いじゃない!

私の頑張りを認めてよ!


「せっかくトレーニング器具は最小限にして差し上げましたのに」

「もっときついトレーリングが良いのですね?

では「素敵になれる装飾品」を身に着けて差し上げましょう」


そう言いながら侍女達は私の背中に椅子の背凭れの様な物を宛がって、

ケープの上からその「素敵になれる装飾品」を取り付け始めたのよっ!

それは…音楽隊が演奏をしながら大太鼓を持ち運ぶ時に使われる物に似ていて!

肩と腰に充て具付きにの太いベルトを宛がって、

胸前で身に着けさせられている矯正具に押し当てる様にして、

ケープを挟み込むようにしながら私に身に付けさせられたのよ!

侍女達の言う通り取り付けられたのは「装飾品」

ドレスの一部となる様に作られているから太いベルト一本一本には、

細かな刺繍も縫い付けられていて光物もふんだんに使われているのよ。

「装飾品」だけれどその装飾の所為でそれ単体でも相当重くなっていのよっ!

それでも憎たらしいくらいにデザインが「カート」と「私と繋ぐベルト」は、

統一されているから周囲から見ればそれが「普通」に見えてしまうのよ!

音楽隊の大太鼓持ちが太鼓を持って「普通」に歩いている様な、

「身に着けていても可笑しくない」形だから、

身に着けさせられている間だって何も思われないし、

ベルトが食い込んでメキリと更に体が悲鳴を上げているっていうのに、

誰も私が苦しいと思わない!

緩みなく「装飾品」を取り付けられた後に待っていたのは、

もちろん「カート」に繋がれる事だった。

胸前の太いベルトと充て具からは何本もの長さが調節できない太いベルトが、

「カート」へと、ひっぱられていくのよっ!

「カート」の各所にはそのベルトと繋ぐための穴があって、

ベルト先のフックを「カート」の穴に引っ掛ける形で繋がれたんだけど、

「カート」側面と持ち手に繫がれれば短く繋がれたベルトが、

「カート」の手前側。私の掴まされている押し手側を持ち上げる形になってっ!

カートの重さがズシリと体にのしかかる様にされてしまったのよっ!

体の各所から延ばされたベルトにはテンションが掛けられて、

その「カート」の重さかから私は逃げられないのよっ!

今まで押し込まれていた肩が更にめり込む様な苦しさが襲ってきて、

もう、もう限界よ!限界なのよ!

「っぅぁ!っっぅ!っぁっぅぁっぁ!」

それは私から出た渾身の叫び声。

矯正具の所為で固められた上半身はその重さに抵抗する為に後ろに、

倒れようとする体勢すら取る事を許してくれなくて、

肩のただ一点に重さがのしかかってきて足がガクガク震えてくるのよっ!

重いって!イヤイヤと顔を横に振って目から涙を零して必死に訴えるのよっ!

けれど侍女達は私の窮地をニコニコと笑って見ているだけ。


「ソフィア・ボルフォード公爵夫人候補は、まだまだお元気なんですね!」

「お顔を振って、自分を振るい立たせていらっしゃるのですね!」

「頑張り屋さんですものね!これ位のトレーニングがしたかったのですね!」

「涙を流すほど感動してトレーニング器具の取り付けを、

喜んでいただけるなんて!ご用意した価値がありました!」

「さぁ!トレーニングを続けましょう!」


私を取り囲みながら侍女達は更に笑顔になって私の肘を押し始めるの。

それでもタイヤがあるから少しでも屈んで中腰になって「カート」の重さから、

逃げようとすれば今度は上半身の重さがバスクと繋がれた両肘にのしかかって、

肘があらぬ方向に捻じ曲げられそうになり激痛が走ったのよ!

「ゕぁっ!っぁっぁ!」

わ、私はもう腰を落とせないし座れない。

痛い!苦しいっ!けれど「カート」に繋がったベルトは私自身で外せないっ!

逃げられないのよっ!

「カート」を持ち続けなくちゃいけなくされてたのよ!


「では、参りましょう」


また肘を押されてコツコツと歩かされ始めた私は…

行きに通ったルートではなくて…

苦しく痛い時間を引き延ばされたかの様な状態で、

更に遠回りする羽目になったのよ!

カートから離れられない私はもちろん段差を乗り越える事が出来ない。

もちろんお屋敷にはそう言った事態に対応するために使用人しか使わない。

上階へと上がる長いスロープがあったのよ。

それを押して永遠との続く坂を登らされ続けるのよ。

もちろん動き始めたら休ませて貰えないし「カート」に繋がれた私は、

ゆっくりとでも歩き続けるしかなかったのよ…

もちろん行きと同じにだけれど帰りは

「使用人」が主に使う通路をカートを押して歩く物だから、

その視線は驚愕の視線を向けられる事なっていたのよ!

そうよね。

だって公爵夫人候補がどうしてこんな事をしているのかって、

疑問に思われても仕方ないもの…

けれど私の押している「カート」を見ると驚いて横に避けるのよ。

この「カート」に近づきたくないと言わんばかりに…

それも不思議だったけれどけど私は必死に歩くしかなかった。

そしてたどり着いた先にあったのは…


自室じゃなくてボルフォード公爵夫人の執務室だったのよ!

なんで?どうして?

自室に食事を持って帰るんじゃなかったの?

それでも何も疑問に思わないで侍女たちはコンコンと執務室の扉を叩くの。


「奥様、お夜食をお持ちしました」


・・・え?


どういう事?


一瞬、訳が分からなかった。

混乱する私をしり目に目の前の扉が開かれると、

またボルフォード公爵夫人は休憩スペースでお茶を飲みながら、

書類に目を通していたのよ。

もう此方を振り向く事さえしなくて。

肘を押された私は「カート」を押して入室させられるの。


それからまた部屋の真ん中まで誘導されるとそのまま待たされ始めたのよ。

チラリとボルフォード公爵夫人は私の方を確認して…

「はぁ…」

また落胆したかのようなそんな素振りを見せるのよ!

その後ろには侍女が一人いて、その侍女に私の事を伝えているみたいだった。

ボルフォード公爵夫人の後ろには明らかに質の違うメイド服を纏った人で、

報告を受けた侍女の内容を二人で話し始めたのよ。

けれど部屋の真ん中にいる私には二人が何を話しているのか解らない。

近付いて聞きたいって思っても「カート」から離れられない私に、

聞きに行く自由は無かったのよ…。


それから――――

私の「カート」から食堂で受け取った銀板が下ろされて、

ボルフォード公爵夫人の下に運ばれていったのよ。

そうすると今度は特別なメイド服を着た女性に付いて来るように、

促されてその場で反転させられた私は、

また廊下を歩き始める事になるのだけれど今度こそ―――

やっと自室に戻ってくる事が出来たのよ。



それはやっと訪れた解放の時間だったの!



到着してから着替えさせられたそのお部屋。フィッティングルームで、

その特別なメイド服を着ている人が、私の手枷の南京錠を外したのよ!

私はやっと繋がれた「カート」から解放されてっ!

離れる事が出来る様になったのよ!

手首への食い込みも酷くて本当に!何を考えているのよっ。この侍女達は!

そうしたらまた姿見の前に立たされたのよ!

その姿は一応公爵夫人のするような恰好だったけれど…

こんな格好はもう二度と御免よ。

いくらボルフォード公爵夫人と「約束」したからって限度はあるのよ!

メイド達の手によってケープを外されればその下から出てくる矯正具。

この悪魔の様な拷問器具を身に着けさせられて半日も私は耐えたのよ。

褒めて欲しいくらいだわ!

それも何かの金具を使ってかパキンパキンと音が出れば私の締め付けが、

少しずつだけれど確実に弱くなって行って…

やっと解放されるって思ったのよ。

シュルシュルと軽い布が擦れる音と共に矯正具が外されれば、

少しだけれど体が自分の物に戻って来たかのような気分になったの!

公爵家に奪われていた物が私の手元に帰って来たって、

喜びで声を上げたくなったわ!

私を苦しめていた物が無くなっていって私はその解放感に浸っていたのよ。

ボルフォード家に着いて約半日だけれど私は既に地獄のようなひどい目に、

会い続けているんだから!

メイドによって外されたカートと大きな矯正具を見ながら、

この矯正具の苦しさを私に身に着けたメイドにも味合わせてやりたいって!

どうやって着せてやろうなんて考えてたのよ!

けれど順番に外されていくドレスを見ているのは嬉しくて、

その時はメイド達の指示に大人しく従う気になっていたし。

なにより体が疲れ果てていたのよ…

クタクタでもう動きたくないって感じで反論する気力だってほとんどなかったわ。

コルセットを外された私は楽な下着姿。

お腹周りの締め付けが無くなっても、半日嵌められていた矯正具の痛みが、

外されただけで消える訳もなくてジンジンと体に残り続けていたのよっ!

そのままメイド達は私を脱がすのを辞めてどうしたのかって思えば、

私はそのまま隣接する湯浴みが行える部屋へと案内されたの!


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