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「うーん、いい感じだね」僕は町を見ながら頷いていた。
町はどんどん直されていく。
町の人々は元気な人が喜んで手伝ってくれた。
男が力仕事、女がその手伝いをしていた。
手伝いというのは働いて疲れている人に水を渡したり、食べ物を並べたり、男の人たちを元気付けるために会話をしたり、力仕事以外の様々だ。
「そろそろ手伝おうかな~」僕は城が建てられているところの崖から飛び降りると、街めがけて飛んでいった。
今までは町の人たちやあの力強い牢屋にいた人と、妹がどこまでできるのかを見ていたが、僕も手伝うことにした。
フリンは座り込んでいる男に水を渡していた。
彼女は目に入る物と入れ替えることができるので、仕事はめちゃくちゃ速かった。
だが…
「だめです!」市民に止められてしまった。
「王女が力仕事など、何が何でも認めません!」市民の人たちは下っ端のはずなのに、めちゃくちゃ叱られた。
私はどうにか手伝いたかったので、いろいろと試した。
お金を渡したり、とにかくお願いしたり、圧力をかけたり、いろいろと試した。
だが、やはり拒否されてしまった。
「王女ということだけで…」僕はしょんぼりとしてしまった。
初めて自分が王子ではなく王女だと知ったときはびっくりしたが、そこまでは変わらないだろうと思っていた。
だが、今考えてみると問題だらけだった。
力仕事は必ず拒否されるし、こっそり出ていかないとダンジョンにもいかせてもらえない。
最近はダンジョンの前に警備までされてしまい、もっと入るのがめんどくさくなった。
「なんで…」僕がしょんぼりしていると、いいことを考え出した。
変装すればいいのだと分かった。「試してみて公開することはないだろう」という軽い考えで僕は始めた。
「これをこうして…これをこうして…」まずは石ころを粉々にして、ゆっくりと形を作っていった。
いつもなら魔物を粉々にしてそこで終わったが、今回はそう簡単にはいかなかった。
今回はちゃんと形をその後作らないといけなかったからだ。
「こんな感じかな?」うまくいくかはわからなかった。
だが、試してみるのに悪いことはないだろう。
「よし!」顔にはめてみると、結構うまくできた。
ちょっと壁の素材をガラスに変えてその反射を見てみると、結構リアルに見えた。
色はそこら辺にあった色をとって来ただけだ。
「ルンルンルン♪」だが、そう簡単にはいかなかったのだった。
「あ」あることに気が付いた。自分の声だ。
まあ、女子の声だった。
「それはどうしようか…」いい考えが思いつかなかったので、とりあえず話さないことにした。
だが、それは後で問題になるかもしれないと承知した上だった。
那留かはわからないが。
「それじゃあレッツラゴー」僕は小さな路地から現れると、近くにあった板を拾い上げた。
すると、他の人たちは話しているのが王女とも知らずに話してきた。「それは向こうの天井に使って」
僕は頷くと、向こうに向かって歩いていった。思ったよりは重かったので、自分の魔法でこっそりと浮かばせておいた。
最近調整がめちゃくちゃうまくなったので、これぐらいはお安い御用だ。
これでできるかも! そう思っていたところに、声がかかってきた。「ねえ」
私は恐る恐ると後ろを見た。
そこにいたのは…