6
「お兄ちゃん!」急に入って来たのは妹、名前はアングリネス・フリンだった。
二年前に生まれたのもかかわらず、もう話せている。
僕は過去の記憶があり、言葉がつかえたので一年で話せるようになった。
昔は無理やり話していたが、あれから一か月で普通に話せた。
あの後結構練習したからだ。
だが、彼女は本当の天才かもしれない。
気付いたときにはもうちょびちょびの言葉を放せていたのだ。
一切練習しているところは見かけないのだが、今ではぺらぺらと話せていた。
「何」彼女には一つ問題があった。
「何かして遊ぼ!」とてもめんどくさいということだ。
彼女は暇させあれば僕にかまってくる。
毎回どうにか追い出そうとしていたが、なかなかあきらめてくれなかった。
「それで、何を遊ぶの」めんどくさかったが、仕方なくあきらめた。
「それじゃあ外に来て」彼女はすたこらさっさと外に出ていった。
彼女の魔法はまだわからない。多分知らないのは家族の中で僕だけだ。
普通なら生まれた時に授けられるはずだが、僕は彼女が生まれた時にはダンジョンの中で遊んでいた。
「それで、何をするっていうの?」瞬きをすると、目の前からフリンが消えた。「!?」
周りを見たが、どこにも見当たらない。「!」気が付くと、彼女は真上にいた。
いったいどうやってあそこに飛び上がったのかはわからないが、僕は彼女を空中で止めた。
「何のつもり?」彼女から目を放さずにじっとしていると、彼女が先に目をそらした。
その瞬間、
僕の前から彼女の姿が消えた。
まさかと思い、さっき目をそらしたときに向いていた方向を見てみると、そこにはフリンがいた。
「瞬間移動ね」前世でよ考えた想像力の中にもあった。いろいろなところに瞬間移動が可能で、結構便利な力だ。
だが、彼女は首を振った。「違うよ」彼女の視線がこっちに向くと、目の前にあった景色が変わった。そして、フリンも消えたのだった。
「私の魔法はね、」後ろを見ると、そこにはフリンが立っていた。「瞬間移動じゃなくて、物理交換よ」彼女は振り向いてきた。
彼女はまだ2歳なのにそんな年とは思えない説明力を持っていた。説明を短くまとめると、彼女は自分と違うものを入れ替えることができる。
だが、その魔法を発動する条件はそれを見るということだった。その物を見て頭の中で想像すれば、入れ替わることができるということだ。
「なるほど、結構便利な能力だね」僕が少し褒めると、それを待っていたかのように彼女は目を光らせた。
「でしょでしょ!もっと褒めて~」彼女はまるでやんちゃな女子高生のようだった。
僕はためいきをついてから彼女を見直した。「それで、結局何をしようと思ったの?」一番大事なことを忘れていた。
彼女も同じだったようで、逃げていった。どうやらこれが用事だったようだ。
僕はとぼとぼと歩いて帰った。自分の能力を使えば体が鈍くなると分かっていたからだ。一応そこは気にしている。
「暇だな…」自分の部屋に戻ると、地面に寝転がった。だらだらしていると、だんだん日が暮れてき始めた。
僕はとりあえずベッドの中に入り、目を閉じた。
まあ、寝れるわけがないんだけど。