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彼は思ったよりも使えそうな人だった。

なぜかというと、彼は働き者だったからだ。

彼はどんなことを頼んでも引き受けてくれる。

彼にできないことは違う、できる人に頼みに行く。

今までを見ていて一番驚いたことといえば、彼の記憶力だ。

一人一人の名前をたったの一瞬間で覚えたということもすごかったが、違うところだった。

彼は、全員の特異なところ、苦手なところ、嫌いなところ、などをすべて把握していた。

彼にとってそれは好都合のことだった。

彼はそれを生かすことができたからだ。

彼は頼みたいときに、誰に頼んだらいいのかをすぐにわかった。

「ねえ、これを頼まれてくれない?あ、グランストン、ちょっと手伝ってくれないかな?」彼は誰にも同じ対応だった。

その対応を誰かが嫌った目で見れば、すぐに対応を変える。

だが、僕のお父さんと話すときだけは対応がめちゃくちゃ違った。

何と言ったらいいのだろうか。ぴっしりとしていたと言ったらいいのだろう。めちゃくちゃ。

礼儀正しくないように言葉を一瞬で選び、言葉にしていた。

今まででお父さんから彼について不満な声が聞こえてきたことはなかった。

メイドたちからも好感度は高かった。

よくメイドの近くを通ると、楽しそうに話していた。

「アグトレンさんって本当にやさしいわね」

「そうそう、しかも顔もいいし」

彼の名前はアグトレン・トウモルコシ。訳してアグと呼ぶことが多い。

メイドがその名を呼ぶことは一切ないのだが。

彼は戦闘力もあって、騎士団に呼ばれたこともあった。

だが、彼はすぐに拒否した。

「すまん、だが、俺は彼の手下だ。その地位を一瞬にして消すわけにはいかない」僕は驚いた。

彼は騎士として、勇者として役立てそうなほど有能な人間だった。なのに、どうして僕のような人に仕えたのかがわからなかった。

「どうして僕なの?」思いっきりストレートに訊いてみることにした。

「だって、面白いんだもの」彼はにやりとした。

私は一瞬鳥肌が立った気がした。

「どういうこと?」恐る恐る聞くと、ノンストップに話し始めた。

「だってまずはダンジョンに一人で入っていくでしょ?しかも目の前に現れた魔物はすべて木っ端みじんになるし」僕の顔は真っ青になった。

彼はどうやら僕のことをつけていたようだ。僕には目が後ろについていないので気づかなかった。だが、どうにかごまかす必要があった。

「何のこと?」周りにはメイドもいる。今まで何年も隠し続けてきたことだ。そんなことを知られては後でお父さんにめちゃくちゃ怒られる。

それだけはまっぴらごめんだた。

できるだけ自然に接した。さもないとばれそうだからだ。

「いや、だってさ、ずっと見てたんだよ?一応…」彼は何かを言おうとして口を閉じた。

今、何か言おうとした? 気になったが、それをいわないことにした。

それを言えばもっと厄介なことになると思ったからだ。

「それじゃ」僕はできるだけ早くそこを離れていった。

どうしてかはわからない。頭がごちゃごちゃで整理ができなかった。

だが、分かったことは一つだけあった。

彼から、どうしてか殺気を感じた。

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