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??話 『日常が始まる五分前』

暗い話が続いているので箸休めに少し未来の話の一部です。

あとがきに双子の簡単な紹介を記載してあります。

 開いたカーテンから朝日が漏れる優雅さを感じる朝――二階の部屋ではバタバタと急ぐ足音が早朝を奏でていた。


「レイラー! なんでもっと早く起こしてくれなかったの!?」


「いつも通りのお時間ですが、なにか問題があったでしょうか?」


「今日エヴァちゃんが久しぶりに来れる日なんだから急いで帰ってこないといけないんだよー!」


 飛び起きてレイラに文句を言いながら朝の支度をしているブルーを横目に、ギンはすでに準備を整え朝食を食べていた。朝の食事はレイラが作ってくれていたもので心を落ち着けてゆっくりできるような量に調整されており、新聞を読みながらカップに入った紅茶を楽しめる。


「おはようお兄ちゃん! でもそんなゆっくりしてる暇ないよー、んぐっ、あちゃちゃ!」


 そんな朝食を大急ぎで口に詰めこみ紅茶を一気飲みしたブルーは予想外の熱さに驚いて口を塞いで飛び回る。


「おはようブルー、朝から元気だな」


「私いつも元気いっぱいだからね、ほらカバンもって! 今日はみんな集まるんだからお兄ちゃんも早く帰ってくるんだよ!」


 なにをそんなに急いでるんだと言わんばかりにゆっくりと麻を楽しむギンの周りでブルーがせかせかと動く。歯を磨いて髪を整え、お気に入りの髪飾りをつけた後姿見で制服のよれを直していつでも出発できるぐらいに身だしなみを整えている。


「レイラ、もう一杯貰ってもいいか?」


「かしこまりました」


 空になったカップを置いてレイラにおかわりを要求すると、一礼したあともう一度湯気の立つ紅茶がカップに注がれる。ギンは湯気と共にやってくる紅茶の香りを楽しみゆっくりと口をつけ新聞の二ページ目を開いたところで洗面所からでてきたブルーが急いで急いでと腕を振り回しながらリビングに入ってくる。


「お兄ちゃーん! お茶なんて学校行ってから飲めばいいのになんでおかわりしてるのー!?」


「……昨日西方の村に低級悪魔がいたらしい、気を付けろよ」


 ギンはブルーの言葉を意に返さず新聞の内容を読み上げると、ブルーは怒っていますと言わんばかりに腕を振り上げてバタバタと足音を鳴らしている。


「だーかーらー急いでるのー! もう私先に行っちゃうからね!」


 我慢できなくなったのか玄関まで走るブルー。

 ギンはやれやれといった様子で読んでいた新聞を閉じて朝食の皿を台所に置き椅子の隣にあったカバンを持ちあげた。


「行ってらっしゃいませ」


「ああ、今日は三人の日だから家のことは頼んだよ」


「お任せください」


 台所で礼をしているレイラに声をかけてゆっくりリビングを出ると、まだ玄関前で待っていたブルーの声が聞こえる。


「お兄ちゃーんまだー?」


 扉のガラスから漏れる日の光が制服の服を照らす。

 きれいに磨かれた革靴を履いたブルーが扉に手をかけることなく振り向いて兄であるギンの到着を待ちわびていた。


「ブルー、そんな急いでも放課後は早く来ないぞ」


「マジ……!?」


 本当に驚いた顔をするブルーの――走り回ってずれかけている髪飾りを直したギンが玄関の扉に手をかける。


「行ってきます……!」


 新しい日常をその手に掴んだよう、しっかりと握りしめ――二人は外の世界へ一歩踏み出した。

ギン――双子の兄、無双はしないけど顔面がチート。シスコン。

ブルー――双子の妹、頭が弱いけど顔面がチート。めっちゃ方向音痴。


最後まで読んでいただきありがとうざいます。


よければ評価や感想をいただけると励みになります。

あと数話、毎日20時前後に更新する予定です。

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