第7章
その週の部内定例ミーティングで僕は紹介されたアクチュエータで腕のような動きができていることを報告した。
「そうか、使えそうか。あそこまで小型で力の出るアクチュエータもまだ業界にはないかならな。優位点にはなるな」部長の尾上さんは好感を持っているようだった。
「それで何を作るの?」課長の渡辺さんは相変わらず乗ってないのか、ちょっと批判的なきつい口ぶりだった。
「犬みたいな小さなロボットと有馬さんは言っています」
「犬? うちはおもちゃ屋じゃないんだから」
「犬も面白いんじゃないの。ペットって人の心を癒す力がある。その癒しを電気の力でできるというのも面白い」食ってかかる渡辺さんに尾上さんは反論した。
「でもそんなに安くできないでしょ。あのアクチュエータだって特殊な材料を使っているし。できても百万円とかになっちゃうんじゃない?」
「まあ、コストのトレンドは押さえておく必要はあるな。ペット市場の動向とかも含めて八雲さん、そこはリサーチしといて」
「はい、わかりました」そう言われても僕にはどうやって調べていいのかわからなかった。
「尾上さん、一か月後の所長との会議ではテーマの候補とその可能性について報告する必要があります。ロボットも加えますか?」かおるちゃんが発言した。
「そうだな。テーマ名をロボットとするかは決めてないけど、このテーマも加えよう。これで合わせて今、五個のテーマが出ているな。この中から最終的には三個に絞るか」
「わかりました。それぞれの長所、短所をまとめておきます」
「じゃあ来週、その件をここで議論しよう」
「はい」渡辺さんと企画部のメンバー皆が返事した。