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肩にのせたきみ  作者: 松仲諒
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第2章

 アポはすぐに取れ、翌日、横浜にある部品開発部まで話を聞きに行くことにした。僕だけでは技術のことが理解しきれないかもしれないということで、エンジニアの有馬哲也さんが同行することになった。

「有馬さん、ちょっと変わっているから気を付けてね」かおるちゃんが僕にささやくように言った。

「え、どういうところが?」

「発想の面白さではこのラボでもピカイチなんだけど、ちょっと強引なところがあるから」

「そうなんですか。まあ引っ掻き回されないように気を付けます」僕はそうは答えたが変わった人には興味があったので、ちょっと会うのが楽しみになった。


 翌日の午後に有馬さんと僕は横浜に向かった。有馬さんは丸顔に黒縁の眼鏡をかけ、天然パーマなのかくしゃくしゃとしたアフロヘアのような髪形をした愛嬌のある男性だった。行きの電車はちょっと混んでいたので、僕たち二人は特に大した会話もせずお互い無口のまま電車に揺られた。


「これは一種の人工の筋肉みたいなものです。特殊な構造のチューブ状の物に、ある化学物質を浸透させています。その化学物質に電気信号を送るとチューブが伸びたり、縮んだりするんです」部品開発部の香川さんという人が僕たちに説明してくれた。

「ふーん、面白いですね」有馬さんが感心していた。

「これだけ細くて、長さも調整できるので色々な応用が利くと思います。力も結構出ますよ」香川さんは有馬さんが興味を持ってくれているのが嬉しいようで、さらに明るい声で説明してくれた。

「なんでこれを開発したんですか?」僕には何に使えるのかまだピンとこなかったので聞いてみた。

「僕の大学時代の知り合いの化学の研究者が偶然、この物質の特性を見つけたんですよ。それを私が部長に話してその技術を買ったんです。最初、何に使おうか迷ったんですが、筋肉みたいにしたら面白いかなと思って。ロボットとかはこれから重要でしょ」

「ロボットですか?」まだ僕には理解できなかった。

「いいところに目を付けましたねえ。ちょうど私もロボットを作ろうかなと思っていたから。これは使えそうだなあ」有馬さんは嬉しそうな声で言った。

「有馬さんってロボットを考えていたんですか?」

「あれ、聞いてない。お宅の部長、尾上さんには話してたんだけど」

「そうだったんですね」僕は部長からは何も聞かされてなかったのがちょっと不満だった。

「サンプルをもらうことはできますか?」

「もちろん。今二個ありますので持って帰ってください。駆動方法等は資料のコピーをお渡しします」

「何か気をつけることはありますか?」

「そうですね、まだチューブの部分が外側からの圧力に弱くて、破れたりすると中の化学物質が漏れ出すので注意してください。今、強度を増す方法も検討中です」

「なるほど。そこは周りを覆う等の工夫をしてみます。また強度の件も並行して会話させてください」

「了解です」


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