3話 穏やかな日常
ブックマークありがとうございます。
俺は今、とても困っている。何故なら…
「?どうかしたの?」
何故なら、この世界での母親(名前は風花蘭と言うらしい)に膝の上に乗せられて、ご飯をあ~んされている状態だからだ。…俺、もう十三歳なんだけど…泣いていいかな?
何故こんな事になっているのかと言えば、三日前に倒れた俺を心配し無駄に過保護になった母さんが、その細腕からは考えられない程の力で俺をお姫様抱っこして食卓に連れていき、無理やり自分の膝に座らせたからだ。
俺の記憶によると、どうやら母は薙刀や大太刀、扇子、弓などの武芸を極めた戦乙女で、その容姿からは考えられない強さを持っているとか。いや、どんな母親だよ。俺を溺愛するのはいいけど、小さい子扱いするのは精神にダメージがくるからやめてもらっていいですかね?
「今帰った…って、君は何をしているんだ…」
軽く現実逃避をしていたら、今世の父親が帰って来た。…なんかオーラが凄い。めっちゃキラキラしてる。ラノベとかの王子様かよ。イケメンすぎるだろ。え、これマジもんの金髪碧眼じゃん。やばっ、記憶の何倍も美形って反則だろ!何で両親のいいとこ取りの容姿なのに金髪は継がなかったんだ…
「あら、お帰りなさい。病み上がりだし、自分で食べるのは辛いと思って」
「いや、流石にもう十三歳だし、羞恥心がそろそろ限界だろうからやめてやった方が…」
流石父さん!俺の気持ちがよくわかっている!こんなハイスペックイケメンならそうとうモテてるんだろうな~
「母さん、自分で食べれるよ…」
「そうなの?残念…」
頼むからそんなにシュンとしないでくれ、俺が悪いみたいじゃないか。黒髪金眼の母さんを見ていると匠を思い出して居心地が悪いんだよ。…そういえば、あいつら助かったのかな?心配だ…
翌日、俺は部屋の中でステータスを見て首を捻っていた。
「おかしい…一億歩譲って特殊固有はいいとする。でも神とか始祖とか天帝とかはないだろ…」
神はともかく、始祖や天帝の話はこの世界では有名だ。昔この世界を管理していた神が創り上げた『世界を守護し、人類を管理する存在』、それが『始祖』。その中でも特に強力な力を持っていたのが、中華を中心として拠点を構えていた『天帝』天陽無である。彼の子孫は天尊子と呼ばれ、各国で非常に敬われている。また、『天帝』自身も数百年に一度、適正のある自分の血縁(眷属である月家もあるし、血の濃さは関係ないらしい)に宿り、俗世に顕現したりするらしい。…?待てよ、それってつまり…
俺は嫌な予感を拭いきれなかった。