2話 目覚め
ガンッッ
気が付くと、見知らぬ場所に居た。
此処はどこだ…?俺は死んだ筈じゃ…てか、滅茶苦茶頭痛いんだが…
「啊晶?大きな音がしたけど、大丈夫?」
誰だ…?いや、誰でもいい。とりあえず、此処はどこか教えて貰おう。
「…啊晶?入るよ」
ガラッ
「…?!」
入ってきたその女性を見た途端、俺の脳内に、今世の十三年間の記憶が一気に流れ込んできた。
その情報量の多さに、俺の脳はパンクしかけ…
バタッ
「啊晶?!」
倒れた。
結局俺は三日間寝込み、その後ようやく、自分の置かれている状況を確認することができたのだった。因みに、四日目に目覚めた時、自分の姿を鏡で見てみたのだが…
「誰だよ!この美少年!」
と思わず叫んでしまう程端整だった。
アジア系の顔つきだが、肌は白く、瞳は翡翠というヨーロッパ人なのかアジア人なのかわからない見た目。華奢な身体つきをしており、腰近くまで伸ばした黒髪を緩く一つに結んでいる。精巧な人形と言われても違和感がない。それくらい、完璧な容姿をしていた。
…確かに、三日前に見た母も女神かと思う程の美女だったし、記憶の中にいた父も嫌味な程の美丈夫だったが…俺の遺伝子は欠片も見当たらない。それどころか、両親の良いところをそれぞれ受け継いでいるのだ。神様、別にイケメンになりたかった訳じゃないけど、ありがとう。
話を戻そう。どうやら俺は、異世界に転生したようだった。
この世界は元の世界に似ているみたいで、前世に住んでいた日本も、中国も、アメリカも存在していた。所謂ローファンタジーの世界のようだ。
現実世界にそっくりだが、ファンタジーと付くだけあって、ちゃんと魔法は存在していたみたいだ。
試しに“ファイアー”をイメージして出してみたら、超特大の炎が出てきたので慌てて消した。
…そういえばこれ、ステータスとか判るんだろうか?
≫ステータス
名前:風晶〘フォンヂィエ⦆(字:鏡零〘ヂィンリン⦆)
種族:人間…?
加護:天翠星管理守護神の加護
称号:❝神の愛し子❞ ❝始祖の愛し子❞ ❝天帝の後継者❞ ❝—————————❞
神力:???
妖力:???
霊力:???
魔力:???
魔法:<ファイアー>,<創造>,<超結界>
技能:神話級スキル〚天帝の器〛
sssスキル〚全能力無効〛〚自動反撃〛
レアスキル〚分子操作〛〚急所突き〛〚完全再現〛
コモンスキル〚振動操作〛〚五感超強化〛〚万能感知〛〚変幻自在〛
特殊固有スキル〚菴輔〒繧ゅ≠繧〛
耐性:全攻撃無効 ≪
うわっ!びっくりした。いきなり出てくるなよ!全く…
あー…やっぱり中国人だったか…ってこのステータス、いろんな意味でヤバくないか?
まず、俺が中国人になっているのは一旦置いといて。この、“種族:人間…?”とは何だ?!俺は人間じゃ無いのか?
あとこの、“天翠星管理守護神の加護”って何だ?俺は神様に遇った覚えも、加護を貰った覚えもないぞ…?
それにこの、神力、妖力、霊力、魔力???ってヤバイのでは…?お決まりのチートじゃないか、絶対!だから“ファイアー”があんなに巨大だったのか…
…神話級スキルとかはよく分からないが、凄いスキルなんだろう。そして、下から二番目のこれ!絶対今まで見てきたヤバすぎる能力はこいつのせいだろ!何だよ❝なんでもアリ❞って!反則すぎるだろ!しかもルビを振ってあるのに文字化けしているという謎の仕様。いらなすぎるわ!
「啊晶?起きたの?」
「あ、母さん」
わぁ、バッドタイミングー。