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Summerstory 引きこもりの唄

下手くそな文章ですが、最後まで読んで頂ければ幸いです。

 私が坂下真弓さかしたまゆみという名前を耳にしたのは、はて、どれくらいぶりだろう。最低でも半年以上はあるかもしれなかったりラジバンダリ(マイブーム)。

 高校一年のとき同じクラスになった時の印象は普通の女の子で、けれども少しだけ控えめな感じだったと思う。

 というのも、私は控えめ、もといディスコミュニケーションの原点とも言えるキャラ付けなので、彼女との交流は掃除のときぐらいであったため。実際の彼女の人間性はほとんどわからない。

 他に知っていることはというと、図書委員を積極的にやっていたり文庫本を読んでいたり、あとかわいそうに女子の間でパシられてたり、ラジバンダリ。こんなところ。


 さて―――。


 放課後。案山子かかしくんと共に、今週末に開催される我が校の数少ない行事である『球技大会』について、静かな教室で話し合っていた。坂下真弓の名前を聞いたのは、そんな時。私のクラスの女性担任である戦争院刹那せんそういんせつなが、真弓の名前を口にしながら入って来た。


 パシフィストはここから語らせてもらいます。






「実はうちのクラスに不登校者がいる」

 突然入ってきての開口一番がこれだった。

「知ってたか?」

「逆に聞きますけど、知らなかったんですか?」

「まるで」

 さも当然に言ってのけた。

「いつも席が一つ、空席だったじゃないですか」

 私の指摘に

「そういやそうだな」などと、担任にはあるまじき言葉が出され、ため息をつくと、

「出席簿は毎日付けてねえからしょうがないだろ」

「…………そうですか」

 何がしょうがないのかはどうでもいいとして。

 話し合うために二つの机を向かい合わせるようにしていた私と案山子くんに、先生は椅子だけを隣から持ってきて横に座ると、

「あん?なんだこりゃ」

 机に置いてあるプリントの束を手にとった。

「アンケートですよそれ。どの競技に出たいかを書いてもらったやつ、朝のホームルームでやりましたけど。分かりませんよね」

 普段から朝のホームルームは案山くん子にまかせっきりで、ずっと教卓で寝ていらっしゃる戦争院先生には分かるはずも出席簿も書くはずもないか。

 球技大会には野球とバレーとバスケの三種目があり、男女それぞれ自由に選ぶ。

 でもそれじゃ被ったりもして人数オーバーや過疎する競技が出てくる。

 それを今案山子くんと一緒に集計、調整している。アンケート用紙には第二希望第三希望を書いてあるので、それを元に案山子くんが調整役をやってもらい、私は集計だけやってた。

「お前、案山子をこき使いすぎじゃねえか?」

「そんなことないですよ。ね、案山子くん」

 案山子くんは何も言わずニッコリと笑ってくれた。かわいい。

「ま、案山子が言うんならそれでいいけどよ〜……」

「何です?その目一杯シリアスな笑いは、完全に馬鹿にしてますよね」

「いやあ、べっに〜」

 子供が他の子供を見下すような、そんな嫌らしい笑みをやはり先生は浮かべている。体は大人、頭脳は子煩悩の刹那先生にはぴったり過ぎる子供っぽさだ。

 先生は、

「さてと」と、話しを切り替えるのを表すように手を叩いた。

「真弓のことについてなんだけどよ」

 そういえば、その話をしていていたのだった。

「お前。あいつが不登校になった理由知ってっか?」

「知りません」

「あっさり答えやがったな薄情なやつめ」

「始業式からずっと休んでいるのに解るわけないじゃないですか」

「高一のときダチだっただろ」

「同じクラスだってだけで友達になれるなら世界は皆で手を繋いでラインダンスしてますよ。戦争なんてフィクションになります」

「そりゃ困るな。戦争院のあたしがビーデルになっちまう」

 いや、別にあんたがかわいらしいキャラになるとは限らないと思うんだけど。どっちかっていうとミスターサタン?

 まあいい。

「教師のあなたのほうが事情を知ってるんじゃないんですか?」

 うーん、と先生は腕を組んだが、悩んでいるような感じてはなかった。

 天井を向いて、思い出しているようだ。

 そして頭の上に電球がピカリと光った――

「知らん!」

 ――ような気がしただけだった。

 あれれえ?何が閃いたような表情の変化は伺えたんだけど。勘違いだったみたい。

 とりあえず閑話休題。の程ではないけど、少し話しを整理します。

 先生のいうとおり。私たちのクラスには不登校生が存在する。坂下真弓である。

 今年の始業式から(正確には、去年の暮れから)風邪と称して学校を長期自主休校している。ものにして約五ヶ月間。

 年を挟んでいるため留年は免れているが、このままの勢いだと結局は留年しかねてしまう。そのため、突然原因不明の不登校生となった真弓の家に去年の担任が訪問をしたようだけど、真弓が学校に来ることはなかった。

「田山に聞いたんだが……」

「何も教えてくれなかった」

「その通り」

 パチンと先生は指を鳴らした。

「ワケアリな感じしかしなくてよ。さっき住所を聞いた時もよ、口が大理石よりも重かったぜ」

 重い=大理石なんて、とんだ偏見をお待ちで。大理石製の門ならまだわかるんだけど。あれ重そうだもん。

 …………ん?

「住所を、聞いたんですか」

「もちろんだ」

「家庭訪問をするつもりなんですか?」

 四月から数えて三ヶ月は経っているのに今更家庭訪問なんて、遅すぎるような気がする。いや確実に遅い。

「なんでこのタイミングに」

「球技大会の人数があわねえだろ」

「え?人数は間に合ってますよ。一クラス四十人で、真弓を抜いた三十九人。野球は十人、バレーは八人(学校特別ルール)、バスケは五人。ベンチの人数は減りますけど足りてます……って、いたいいたい!」

 掴まれた!髪が、わしづかみされてる!

「面白い冗談言ってくれてんじゃねえか。えぇ?平和主義者パシフィストよ〜」

「いたいいたいいたいいたいいたい!痛いです!」

 振らないで!抜ける!

「よく聞けよおい」

 それどころじゃない!助けて案山子くん!

「これは戦争だ。球技大会っつー名前の紛争なんだよ。平和主義のてめーが大嫌いな勝ち負けがあるやつで、そしてあたしは徹底的に戦争が大好物」

 嘘だ!あなたが好きなのは虐殺だぁ!

「負ける戦争なんてつまんねえ」

「一人ぐらいいなくても大丈夫だと思うぅ!」

「甘いな。シゲキックスより甘え」

 たしかに最後のほうは甘いけど!

「将棋と一緒だ。たとえ歩でも、一枚あるのとないのでは天と地ほどの差があんだよ」

 そこでようやく私は解放された。

 うーん。髪の毛がぼさぼさ。案山子くん笑わないでよ。

「というわけでだ。あたしはこれから坂下真弓ん家に行ってくる」

「そうですか。頑張って行ってきてください。私はここで仕事をしています」

 まあ、仕事は終わってるんだけど。あとは調整だけで、私がすることなんてまるでない。でもやはり、案山子くんだけに調整は任せるのは私の良心が許さないかも。

 私も手伝うことにしーよっと。

 案山子くんと二人で楽しく調整をする妄想……もとい瞑想をしながら乱れまくった髪を手櫛で戻していると、

「は?何言ってんだよ。お前も来るんだよ」

「え?」

 聞き間違いかと思い、私は手を止めて立ち上がった戦争狂を見上げた。

 ナンテイッタノ?

「いつまで座ってる。早く立て」

「ちょ……え?なんで私が…………後ろ襟、掴まないでください!くるし」

「じゃあ案山子。仕事、終わらせろよ」

 やはり案山子くんはそのときも、ただ笑っただけだった。

 かわいかったけど、できれば助けてくれたり止めてくれたり……ラジバンダリ。

真面目に読んでいただいた方、一応最後まで読んでくれました方、実はまるで読んでもらいなさった方。多々いますが、誠に本心からご感謝申し上げさせてもらいます。ありがとうございます。これからも頑張っていきますのでとりあえずよろしくお願いします。

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