雪の中のどんぐり
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冬のある日、リスのリリーは、巣穴の中で、目を覚ましました。
お母さんも、お父さんも、まだスヤスヤ眠って、起きそうにありません。
すっかり目が覚めてしまったリリーは、そっと巣穴を抜け出しました。
外はまだ、銀世界が広がっています。
わぁ!すごい。リリーは嬉しくなりました。
もしかしたら、お友達のスーも、目を覚ましているかもしれない。
起きてなくっても、起こして、この銀世界を見せてあげよう。
スーの住む巣穴に着きました。
コンコンっと、戸を叩いてみます。
そっと、開けてみました。
冷たい風が、ピュッと吹いて、巣穴の中に雪が舞いました。
ねぇ、スー、起きて。外はすごく綺麗だよ。
スーは目を擦りながら起き上がって、まだ僕は眠たいよ。と言いました。
でも、外は凄いんだよ。
一緒に遊ぼうよ。
リリーはスーを起こして、一緒に外に出ました。
わぁ!ホントだ。すごいや!
2人は夢中であそんで、暫くしたら、お腹もすきました。
ねぇ、もしかしたら、ドングリがまだどこかにあるかもしれないわ。探しにいきましょうよ。
2人であちこち探していたら、屋根だけの、小さな小屋のような場所を見つけました。
リリーは、小さなテーブルの上に、とても大きなドングリが置いてあることに気がつきました。
スーはまだ気付いていません。
リリーはそのドングリを、どうしても一人占めしたくなって、そっと、雪の中に隠しました。
後で、スーに見つからないように持って帰ろうとしたのです。
スーは、小さなドングリをいくつか拾いました。
そして、帰ろうとした時、リリーが泣き出しました。
さっき埋めたはずのドングリがどこにもないのです。
小さいドングリも、もう落ちていません。
びっくりしたスーは、訳を聞き、自分のドングリを分けてあげました。
そんなスーを見て、リリーはとても恥ずかしく思いました。
さて、冬が終わり、春になったころ、2人はまたここに来て、溶け始めた雪の上に頭を覗かせた大きなドングリを見つけたのでした。
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