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よろしくお願いします
一目見た瞬間、こいつだ!って思った。
所謂、一目惚れってやつ?
そいつを視界に入れた瞬間、俺の中には雷が落ちたような衝撃が走ったんだ!
全身の細胞がザワつき毛がブワッ!と総毛立った。
思わず耳がピーンと立って、気づいた時にはそいつの元へ俺は走り出してたんだ。
柵を簡単に飛び越え、そいつの目の前へと辿り着いた俺はマジマジとそいつを見下ろした。
そいつは空のように澄み渡った綺麗な瞳をこれでもかってくらい見開いて口を半開きにしてた。
そいつの毛がサラサラと陽の光を反射してキラキラ輝いてた。
…何ともまぁ、間抜けな顔だな。
石になっちまったかのように動かないのをいいことに、俺はそいつに顔を寄せて匂いを嗅ぐ。
…何だが胸がポカポカして落ち着いた。
この時、改めて確信したんだ。
うん、やっぱりこいつだ。
俺の…主はお前だ!
…おいっ!いつまでそんな顔してんだよ!
鼻を鳴らして声をあげれば主は漸くハッと石から人へと戻った。
「うぉっ!」
何だ、その情けない声はっ!
可愛いな!俺の主は可愛いな!
「…なんだ、この馬は」
「閣下!申し訳ありませんっ!お怪我はありませんか!」
「あ、あぁ。少し驚いたけどな」
「すいませんすいませんすいません!」
「いや、大丈夫だ」
「すいません、本当にすいませんっ!何時もはこんな事する奴ではないんですが…よっぽど閣下が気に入ったのかもしれません。普段凄く気難しいやつなのに…」
「へぇ…お前、俺に逢いに来たのか?」
おぅ!主!俺の主!
鼻を鳴らして返事をすれば主は嬉しそうに笑っていた。
笑った!
可愛いな!主!
「くくっ、面白いやつだな。よし、お前俺と来るか?」
「閣下?!」
おぅ!ぜひ連れてってくれ!
主の為なら俺は誰よりも速く走ってやるぞ!
命を懸けて主を護ってやる!
その日、俺は生涯の主と出逢い忠誠を誓ったんだ。




