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異世界召喚のデバフ使い〜宵闇を従えし少年は最強の道を進む〜  作者: 白崎仁
第二章 デバフ使いとネコミミ少女
14/19

森を抜けると



 数分後、クーリアはようやく泣き止んだ。現在は黒白シカによる脱力感の後遺症が無いか、そこら辺を動き回って確かめている。


 それに対して、僕は先の戦闘で手に入れた魔法の確認をしていた。


――雷光

  白ケルベロスから手に入れた固有魔法。その能力は『電流操作』の上位互換で、雷を操ることができる。また、他の魔法に付与することで威力や速度を強化したり、身に纏うことで雷の速度で移動することができる。


――破岩

  ゴリラ魔物から手に入れた固有魔法。ゴリラ魔物が急激にビルドアップしたあれ。時間経過とともに筋力と膂力を底上げする魔法であり、魔力が尽きない限り永遠に筋力と膂力は強化され続ける。見た目が変わるのはご愛嬌。


――真影

  黒白シカから手に入れた固有魔法。影を操ることができる。影は鋭利な刃物のように切ったり、攻撃を防ぐ盾になったりと結構万能な能力である。操れる影の総量は魔力に比例する。


(ひとまずメインはこんなものかな……)


 他にも色々と手に入れたが、最初はやはり固有魔法を使えるようにするべきだろう。


 とりあえず魔法の確認も終えたので、伸びをしながらこれからどうするかを考える。


 そこで大事なことを思い出した。


「そういや、ブレスヘイナがいないな」


 僕はそう呟く。思えば改造魔物二体を任せてから姿が見えない。勝ったのであればもうとっくに戻ってきてもいい頃なのだが。


『お待たせしました。少してこずってしまいました』


 まるでタイミングを図ったかのようにブレスヘイナが戻ってきた。とりあえずは勝ったのだろう。


「いや、大丈夫だ。こっちも終わったぞ」


『そのようですね。研究者共はどうしたのですか?』


「追っ払ったよ」


『仕留めなかったのですか?』


「俺はどっちでも良かったんだが、クーリアがな」


 そう言って僕はクーリアの方をチラッと見る。クーリアは休憩していたようで、こちらの視線に気付くとトテテと走ってきた。


「どうしたの?私に用事があった?」


「いや、別に用事はないけど……」


「そっか……」


 クーリアは何故かションボリした。僕はどうにもいたたまれない気持ちになり、なんとか話題を変える。


「そ、そうだ。クーリアはこれからどうするんだ?やっぱり故郷に帰るか?」


「うーん、パ、じゃなくてお父さんとお母さんも心配してるだろうし、一回帰りたいかな」


 僕はクーリアの心を察して、うんうんと頷く。パパと言いそうになった件についてはスルーしておくことにした。


「よし、じゃあ僕もそれについていくよ」


「本当!?」


 クーリアの表情が一気に明るくなる。それを見るだけでこちらまで明るい気持ちになってくる。


「うん、当分は旅を続けようと思ってるし。特に行き先は決めてなかったからね。どうせならお邪魔させてもらうよ」


「うん!歓迎するよ!」


 と、今後の方針が固まったところでブレスヘイナが話しかけてきた。


『どうやらこれからのことは決まったようですね』


「ああ、とりあえずクーリアを故郷へ送り届けることにした。それでお願いなんだが……」


『森の案内ですね。構いませんよ。元々、約束をしていましたし。ひとまず一番街が近いところまで案内します』


「分かった。ありがとう」


 僕とクーリアはブレスヘイナの背に乗せてもらう。ブレスヘイナの背中では子どもレッサーが眠っていた。


『しっかり捕まっていてくださいね』


 ブレスヘイナはそう言うと、その大きな翼を羽ばたかせて空高く飛び上がった。


「うぉっ」


「きゃっ」


 最初は少し揺れたが、上に上がってからはまったく揺れることのない快適な空の旅だった。風を感じることができる分、飛行機よりも快適かもしれない。それはブレスヘイナが程よいスピードで飛んでくれているということも考えてだが。


「……気持ちいいな」


 ふと、声が漏れる。それに同調するようにクーリアも頷いた。


 それからは互いに話すこともなく、爽やかな風に髪を靡かせながら空の旅を楽しんだ。



◇◇◇



 およそ十分くらい経った頃だろうか。進行方向に何やら建物が見え始めた。どうやら街のようだ。しかも大きめの。


『む、見えてきましたね。それではこの辺で降りましょうか』


 どうやらブレスヘイナはあの街を目指していたらしく、少し手前辺りで降下を始めた。


『お疲れ様でした。このまま真っ直ぐ進めば、先ほど見えた街に着きます』


「ああ、ありがとう。すっかり世話になったな」


「あ、ありがとうございます……」


 ブレスヘイナは目を細めて微笑む。その表情はとても暖かく優しかった。


『紘太。あなたに一つ、言いたいことがあります』


「ん?なんだ?」


『あなたの魔法、それは『宵闇』ですよね?』


「ああ、やっぱり知ってたんだな」


『私は美月と知り合いでしたので』


 ブレスヘイナはどこか遠くを見つめながらそう言う。僕はある程度予想がついていたので、大して驚かなかった。


『先の先頭を見ていて気付きました。紘太、あなたはあの力の半分も使いこなせていません』


「そうなのか!?」


『ええ。美月はもっと多彩な技を使っていました。あなたはまだまだ足りない』


 僕は驚きで声を出すことができなかった。たしかに時間は足りなかったが、それでも理解したつもりだった。


 でも突きつけられたのはまだ足りないという事実。僕は『宵闇』をまだ半分も使いこなせていない。


「他にどんな能力があったか、教えてくれないか?」


『すみませんが、それは出来ません。私にはこの事実を伝えることしかできない』


「……そうか。分かった、ありがとう」


『お役に立てず申し訳ありません。それでは失礼します』


 ブレスヘイナは大きな翼を羽ばたかせて森へと戻っていった。僕はまだその場に立ち尽くしている。


「こ、紘太。大丈夫?」


 クーリアが心配して声をかけてくれる。だが、その心配は杞憂だ。僕は少し笑みを浮かべている。


「大丈夫だ、クーリア。別に落ち込んでなんかないさ。逆に嬉しいぐらいだ」


 端から見れば辛辣な言葉だったかもしれない。だが、裏を返せばまだまだ成長の余地があるということだ。それを知ることができただけでも十分有り難かった。


「そう?なら、良かったよ」


 クーリアも何やら納得したようでまた笑顔に戻った。僕はクーリアの頭を一度ポンとし、街に向かって歩き始めた。


読んでいただきありがとうございます。


とりあえず二章は完結となります。次に間話を挟んでから三章の方を投稿しようかと思ってます。


なかなか投稿の頻度が上がらず申し訳ありません。一つ報告なのですが、個人的な理由で9月から投稿を一旦やめようと思います。おそらく来年の3月あたりには再開できると思うのでよろしくお願いします。

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