同居人のメリーさん!?
記念すべき第2話です!投稿が遅くなってしまい、申し訳ないです。
第2話
俺があの時、追いかけられていた存在はかの有名なメリーさんだった。しかも突然この子と同居することになるとは、、、相手が幽霊といえど、ひとつ屋根の下でこんな美少女と同居だなんて正直、俺の心臓がもたない。
しかし、メリーさんに悪意がないことは少しづつ分かってきた。
とりあえず俺はメリーさんに席に座るように言い、晩御飯の準備をすることにした。
「そろそろ晩御飯でも食べるか、、って幽霊って食事は必要なのか…?」
死んでるから必要ない気がするが、よく考えると不可解な点がいくつもある。
幽霊なのに普通に物に触れてるし、たまに壁をすり抜けてるし……
家に電話をかけてきた時だっていくら近いからと言って、あの短時間で演楽公園から俺の家に走ってくるのは不可能だ。
そもそも、幽霊ってどういう存在なんだ…?
俺はこの疑問を解消するためにメリーさんに尋ねた。
するとメリーさんがやっぱり秀さんのお父様話してなかったみたいですね…と呆れたようにつぶやき、話し出した。
「まず幽霊というものは2種類あります、1つ目は亡くなった方の魂がこの世に残り、幽霊となったゴーストというもの。そして2つ目が人間達の願いや理想が集まり、幽霊を形作って生まれたホロウと呼ばれるものです。私はこのホロウに分類されるみたいです。」
メリーさんが続けて言う。
「実はこのホロウにもランクがあって、人間の願いが、より集まったものには特殊な能力が備わったり、はたまた人間より優れた知識を持つものも現れたりするのですよ!」
「そしてランクが高くなるにつれパワーも増し、幽体と実体を切り替えたりできるようになるんです!」
もちろん私もできますよ!とメリーさんがドヤ顔で付け加えた。
ほぼ透明人間みたいなものじゃねぇか!
なんか一気に幽霊が怖くなくなったな……
食事の件は机に置いてあったクッキーを美味しそうに食べているところを見ると、メリーさんはどうやら食べることがお好きらしい。
しかし、今能力って言ったか?
ラノベや漫画で異世界モノや異能力モノを読み漁ってたこともあるからそういったものは反応してしまうというかワクワクしてしまう。
「メリーさんはどんな能力が使えるんだ!?」
と俺は、年不相応に目を輝かせて聞いてしまった。するとメリーさんがサラッと、
「テレポートです。」
「いきなりチート過ぎない!?」
「あと、相手の電話番号が分かります。」
と、メリーさんが見せてきたスマートフォンにはしっかりと俺の電話番号が載っている。
何、この子の能力怖い!!
幽霊に対しては個人情報保護法なんて無いわけですね!
しかしメリーさんの能力がテレポートだとは、、、悪用しようと思ったらできると思うが、メリーさんを見る限り悪用はしないと言えるだろう。
だが、悪気がなくても人を恐怖させてるだろうなぁ……
考えても、会ったばかりだからまだ分からないか。当分は様子見だな。
などと考えつつ俺はカレーライスを器に注ぎ分け、メリーさんの前に差し出す。
メリーさんは待ってました!と言わんばかりにぱぁっと表情を明るくさせ、次々にカレーを口の中に運び込んでゆく。
「このカレーとっても美味しいです!秀さんはお料理が上手なんですね。」
「ありがとう。小さい頃から母さんに料理の作り方を教わって来たからな。食べたいものがあったらリクエストしてくれよ?」
俺がそう言うとメリーさんは「オムライス…いや、パスタも捨て難いですね…」と真剣な表情で呟いていた。明日はパスタ入りオムライスにするか。どっちも食べたそうだしな。
作ったことは無いが、案外美味しそうなネーミングだ。
しかし、
メリーさんは美味しそうに食べるなー
…ん?
「ちょっと待てメリーさん!俺の分まで食おうとしてるだろ!」
「…え!?そんなことないでふよ?」
そこには俺の皿からカレーを取ろうとしているメリーさんの姿があった。
幽霊ってのは胃のキャパオーバーがないのか!
危うく俺の晩飯が消え失せるところだった…
そうして俺たちは晩飯を食べ終えた。
(おかわりも含め8割メリーさんが食べた。)
「じゃ、俺は風呂にでも入ってくるから、そこでテレビでも見ていてくれ。」
と、俺は風呂場へ向かった。
髪を洗い、体を洗い、湯船に浸かる。
こんな当たり前のことがいつもより新鮮に感じた。
浴槽に入りながら、これまでの出来事を思い出すと「はぁ〜〜」と深いため息が出た。
今日はなんというか濃い日だった…女幽霊に追いかけられたと思ったら、そいつがかの有名なメリーさんで、しかもいきなり同居しろと親父から言われる。こんな不思議体験は俺以外に体験してる奴なんか絶対いないね!
だが、俺も初めの頃よりはだいぶ幽霊に慣れてきているようだった。
しかし、ゴーストやらホロウやらはいまいちよくわからなかった。でも、そういった種類分けがされてるってことはメリーさん以外にも幽霊って存在する…のか…?今は見えてないだけでもしかしたらすぐ側にも……
「や、やめようこんなこと考えるのは…」
そんなことを考えつつ、風呂場を出た。
べ、別に怖かったわけじゃねぇし…
部屋に戻るとメリーさんがテレビを見ていた。メリーさんがみていたのは少女が魔法を使い悪を退治する「かなえて☆エルル」といういわゆる魔法少女系アニメだった。メリーさんが何歳か分からないが、こういったものが好きらしい。
メリーさんにも風呂に入るよう言うとメリーさんが恥ずかしそうに、
「私、着替え持ってくるの忘れちゃいました…」
なん…だと…?
「こっちへ向かう時にカバンに入れてきたはずなんですが…」
確かにメリーさんは旅行用の大きなバッグを持ってきていた。
…ということは謀ったなオヤジイイィィ!!
あいつは策士なんではないだろうかと思い始めた時、あることを思い出した。
これはいわゆる「彼シャツイベント」なのではないだろうか!?
「彼シャツイベント」とは、家に遊びに来た彼女が結局のところなんやかんやあって、家に泊まることになった時に発生するイベントである。
まず彼女が『パジャマ忘れた〜』と言い、それに対して彼氏が、『それじゃ、俺のシャツを使いなよ☆』と言う、そして彼氏のシャツを着た彼女がアウトに近い服装になるという非モテにとっては、まず出会えないだろうイベントである。
しかし、メリーさんも嫌がるのではないか?でも、これ以外方法はないしなぁ……
よし、今こそ俺もこのプロトコルを実行する時が来たと言える!こんなチャンスは滅多にないだろう、俺は必ずチャンスは掴む男だ!
「もし良ければ、俺のシャツを…」
「あ、着替え入ってました。」
「入ってたのかよ!」
くそっオヤジ!もう少し手を加えとけよ!
メリーさんは、カバンの奥の方に入ってたんですね〜と安心したように言っていたが、
ある意味チャンスを逃してしまった。
メリーさんが
「それじゃあ私も入らせていただきますね」
と言い風呂場へ向かった。
落ち込んでいてもしょうがないと、晩飯で使った皿を洗うことにした。
そういえば幽霊も風呂には入るんだな。などと考えつつ食器を洗っていると、風呂場のドアが開く音がし、風呂場の方を向くと白とピンクのボーダーが入ったパジャマを着たメリーさんが出てきた。
風呂上がりということもあり、かすかにメリーさんの長い金髪が水滴でキラキラと光っていた。
めちゃくちゃ可愛いんですが…
正直パジャマが似合いすぎている。
まさに絵画の金のリンゴのきらめきと大差ないだろうと、訳の分からないことを考えていると、
「秀さん?お風呂上がりましたよ?」
いつの間にかメリーさんが近くまで来ていることに気が付かなかった。
「お、おう、ありがとう」
動揺しすぎてありがとうと言ってしまった。
なんだよありがとうって…
「と、とりあえず今日はもう寝ることにしようぜ?」
と、気をそらすようにメリーさんに言った。
俺の家は2階があり、2階への階段を登った左側に俺の部屋、そして右側に元、父、母の部屋がある。
両親が仕事を出かける際に右の部屋は綺麗に片付けられているようで、綺麗に整頓がされていた、いかにもそこがメリーさんの部屋だと言わんばかりに。
「この右の部屋がメリーさんの部屋、左の部屋が俺の部屋だ。部屋は隣だし、何か困ったことがあれば言ってくれよ。」
「ありがとうございます!」
そして俺たちは各部屋へ入り、やっと、この内容が濃い1日の眠りについたのだった。
ご愛読ありがとうございました!
まだまだ圧倒的実力不足なので、これからも精進致します!
次回第3話も不定期投稿になります…