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ほうじ茶ラテを作りましたが、墓穴を掘ったようです。

よろしくお願いいたします。

竜公爵様のお孫様が王宮に招待された。まあ、王族なので当たり前だからいいのだが、そこで、お孫様の発言によりとんでもないことになった。

公爵様は私を立場の有るものとして確率してから養女にしようと考えていたのだ。そのためには、竜騎士として入団し、優秀な人材のため養女にと段取りをとることにしていたという。そして、ご自身の兄にあたる国王に紹介しようとしていた。のだが、今私はその国王の前に、膝を折り、裾を軽くあげて頭を下げていた。

ご兄弟で、なにやらやり取りをしているよだったが、緊張で判らぬまま、謁見が終わった。

緊張で何も覚えていなかった。



そして、ここからが本番である。

国王妃と竜公爵の奥様に名工が作ったと思われる彫刻像のように美しい殿方がふたり目の前にいる。もちろんお孫様もだ。

「よろしくお願いいたします。」

そういいって一礼する。

キラキラしていて目が潰れそうだった。

この国は美男美女しかいないのか。

私だって自国では綺麗ねって言われることもあったのに、すっかりモブAだった。


「まずは、茶葉を煎ります。

ティースプーン二杯に水100ccを鍋で煮出します。1分、2分です。

煮出したら、そこに牛の乳を100cc入れ牛の乳の縁がふつふつと沸いたら火から下ろします。この時に甘味をお好みで加えます。」

先程の謁見の時の緊張と違う別の緊張で、ザルで茶葉を濾して器に注いだ。

何でこんなことになったかというと、お孫様が国王家族との夕食会で、お孫様が言ったのだ。「ほうじ茶ラテが飲みたい。砂糖をちょっと入れて。」と。そして、王宮のお茶が不味いと、無邪気にも言ったのだった。

この国はまだお茶の文化が確立しておらず、惑星の反対の国から輸入していたので、あまり国交もなく正しい飲み方が浸透しておらず、珍しいものが好きな王族辺りが飲んでいたのである。

なので、優雅なヨーロッパのティータイムではなく、やかんに茶葉を適当に入れて煮出して飲んでいた。高価な茶葉は濃いほどいいらしい。なので子供にとっては不味いのだ。

湯呑みにほうじ茶ラテを半分ほど注ぎそっとだした。

キラキラとひかる目が湯呑みに注がれた。

「大変熱くなっておりますので、おきよつけください。」



「まあ、なんて美味しいの!」

「本当に!」

「飲みやすい!」

「いいですね」

と、色々な感想が飛び交う。

「恐れ入りますが、ティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎ蒸らしたやり方の方が美味しいかと思います。」

「その入れ方はここでできるのですか。」

と王妃が訪ねる。

「はい。しかし、急須もティーポットもありませんので、代用させていただきます。」

そういって、器に茶葉を入れて熱湯を入れる。

皿を被せて1分。

輸入される茶葉は固く番茶のようだ。

そして、湯呑みに入れる。

「いかがですか。煮だしたものと比べると薄味ですが、飲みやすいと思います。」


「なんて飲みやすいの。これなら飲めますね。」

「今までの飲み方はなんだったのかしら。」

夫人方が楽しそうに話している。

「代用すると言っていたが、専用の道具いるのか。」

視界に入れないようにしていた大変美しい殿方が声をかけてきた。

第一王子のエルドラ様だ。

「はい。球体上の器です。持ち手と蓋がついております。」

「無いと飲めぬのか。」

「そうですね。このようにして代用することもできますが、せめて急須があればよいかと思います。」

「他国に有るのか?」

「茶葉を輸入している国にはあると思いますが、陶器を作る窯元が自国にあれば出来ないこともないかと。」

「そうか。窯元はあるから出きるか。」

「茶葉によって茶器のデザインが変わって来るので、茶の文化が確立すれば売れるかと思います。」

とめんどくさい話を出きる限り視線を合わさず胸元を見ながら話していると。

「エルドラ。今は茶を楽しむ時間ですよ。」

とお叱りがふわふわと飛んできた。

「他に飲み方は有るのですか?」

すぐさま、お美しい王妃の方に視線を向けた。

「はい。茶葉によって入れ方や器が変わってきます。渋みがあるものや、香りが高いものなどもありますし、アレンジすることもできます。」

「そういうということは、あなたは知っているということかしら。」

「はい。すべてではありませんが。」

「楽しみが増えますね。王妃様。」と竜公爵の奥様が嬉しそうに答えた。



和やかな雰囲気でほっとしていた。

「そなた、茶の文化が確立すればといったな。詳しく聴こうか。なにやら我々の知らないことを良く知っているようだ。」

視線があった。

私の心の奥底を見るように、アイスブルーの瞳が私を見る。

恐ろしく美しい笑みが私を見ていた。




そんなこともあり、自分の部屋に戻ると、自分で脱げないドレスとコルセットにパニエにイラつきながら、侍女様に手伝って頂いた。

「失礼致します。」

と静かに出ていくのであった。



「はー。言えないよね。本当は古い茶葉を煎って作ったのがほうじ茶ラテで、それをお孫様に飲ませましたって。

まあ。今日は公爵様から支給されたものだし。

お風呂入ろ!」


長い一日が終わった。

趣味を取り入れまして。



ありがとうございます。

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