ご飯を作る
よろしくお願いします
百華はモモカとなり最後にモモとなった。
百の後に華がつけられず、ずっとモモモモ唸ってしまうそうだ。
浮島の端っこに竜騎舎がある。
その隅っこに寝泊まりしている。
集落より暖かく結界が張ってあるので、快適だ。
朝は日が昇ると竜たちが鳴き始め起こしてくれるので、目覚ましは要らない。
さて、朝ごはんの準備に入ろう。
ジンとハガネと公爵の竜とあと3体。
私と竜騎舎のボスのご老人ガルさんが端っこで暮らしている。
私兵の騎士が出入りするくらいである。
男性ばかりなので十分に注意する様に言われた。
護衛をつけるという話も出ている。
これだけ竜が近くにいる以上大丈夫ではと思うがそうはいかないという。
四六時中人が近くにいるという事はどうなるのかと考えながら、竜と人間の朝ごはんを作っている。
隣の国からお米やら味噌や醤油を個人で輸入してもらっているので、嬉しい限りである。
公爵様がスポンサーである。
でっかい鍋でお米を炊き、でっかい卵で卵焼きを作り、これまたでっかい干物を焼く。
野菜をたくさん入れて味噌汁を作り、これまたでっかい鍋で用意する。
これが朝飯となる。
すっかり和食の虜の竜たちだ。まあ、一食でいいのが救いである。これが三食となれば、私がコックになるしかない。
「ガルさん。出来たのでおねがいします。亅
とキッチンの勝手口から外に呼びかけ、ガルさんが竜たちに朝ごはんを出してくれるので、その間に朝飯をテーブルに出しておく。
食べに来る私兵さんもいるので、食器を用意するのだ。
まるでキッチンを撮影して見ているかのように素晴らしいタイミングで来るのだ。
どうやら、竜たちが鳴くのでそのタイミングで来るというのだ。
「モモ!おはようございます!今日も大盛りでおねがいします!亅
金髪碧眼の長身の青年がバッチリのタイミングで勝手口から入ってくる。
「アルベルさん。おはようございます。今日はアルベルさんだけですか?亅
「はい!亅
こんな感じで朝が始まるのだ。
「もも〜。ハンバーグできた?亅
とお昼になれば、公爵のお孫様であるモルテン様が突進してくるのだ。
最近はハンバーグがお気に入りである。
それまでに、敷地の糞の始末をしておく。
「モルちゃん!出来たよ。
手洗いうがい忘れないでね。亅
お孫様は午前中は勉強で午後からは法力と剣の稽古になる。
体育は大好きだが勉強は嫌いだという。
なので、私に勉強を教えてくれと先生役を頼むことにした。
何も知らない私にはちょうどよかった。
私のわからない事、モルテンのわからない事も午前中の勉強で講師に聞くようになった。
これで脳筋にはならないだろうと思う。
私も知っていることは教えている。
料理だったり算数だったりだ。
弟にも宿題を教えていた事を思い出しながら。
跡取りでもないモルテンは将来自分で自立しなければならないと、公爵もたくさん経験をさせてあげたいと言ってるので、高位の貴族の家系であるにもかかわらず、モルテンは自由に振舞っているのである。
猪突猛進のモルテンである。
「ご飯食べ終わったら、今日は掛け算と割り算をやろうか。この間の続きね。私には王様のお話を教えてね。」
「うん!ちゃんと覚えて来たよ。教えて上げるよ。亅
とにっこりとハンバーグに向かって笑っていた。
有難うございます。