幸せとは?
よろしくお願いします。
幸せという字は、手枷をはめた人間の姿を表していると聞いたことがある。幸せは測れないから、手枷をはめる人間で無ければ、幸せだということだ。
しかしどうだ。
手枷をはめ、大男に尋問されている。
突然現れた竜騎士団に連れられて、竜騎士団の隊舎に連行され、そして、私と引きは離されたジンはずっと泣いている。
ハガネはどこかに連れて行かれたようだ。
専門の医師がいるといいなと考えた。
餌を食べないから死んでしまうから、専門家ならなんとかしてくれると思ったからだ。
ジンにはおとなしくしているようには言ったものの、物騒に鳴く。
目の前の大男のアイスブルーの瞳が余計に怖い。
かくかく云々と今までのことを話した。
「ギルドに連絡したのですが、村長が息子に手紙を出してしまったらしく、竜も大人しくなって解決しましたので、そのままになってました。所持の許可がほしいとは知らなかったのです。亅
すっと、目が細められた。
「番を亡くし邪竜となったのか。よく、被害もなく済んだものだ。そうなれば、罰金刑だろうから安心するといい。亅
そう言って、もう一人の大男が手枷を外してくれた。
「いかほどでしょうか。亅
「ああ、20万から30万ギルだろう。子竜もいるしもう少し上がるくらいだろうな。
払えるか?亅
静かに頭をふる。
時給自足の生活に居候の身に現金などはなかった。
どうしようかと考えると、扉が開き目の前の大男に耳打ちする。
「高貴な方が、身柄を引き受けるそうだ。罰金も払うとのことだ。安心しな。あのお方は、高潔方だから、悪いようにはしないさ。亅
不安が顔に出たようだ。
罪人にはならないようだ。
「あの、子竜が餌を食べないし、どうしたらいいのかわからないんです。詳しい方にお願いできませんか。亅
「安心しな。高貴な方は竜公爵様だ。それに子竜は竜医師の所にいる亅
ほっと息がもれた。
それから、竜騎士団の隊長の部屋に通され竜公爵の訪れを静かに待った。
ジンにはおとなしくしてもらうために、団長室の窓を開けてもらい、顔を突っ込めるようにしてもらった。
変な竜だと言われた。
子竜がいなくて、大きな声で泣いたので慌てて連れて来てもらう。
ノックと共に扉が開くと、竜公爵が来訪した。中年の大男だ。
お付の人が一人そっと付き添っていた。
「お忙しい中有難うございます。
こちらが無断で竜を所持していたものです。亅
「モモカと申します。この度は有難うございます。亅
発言していいのかと思ったが、団長に促された。
「私はレガート・マスキアスだ。
色々と面白いことになっているね。
もう一度詳しくわしく話してくれ。亅
そう言って座るように促されて、今までのことを話した。
そして、最後に思った。
「レガート様。罰金ですがお金がないんです。仕事を頂けますか?これと言って特技はないのですが、以前は事務職でした。亅
「事務職?何題それは。亅
異世界。
色々と通じないようだ。
「えっと、お肉が何キロでしょうか?毛皮が何キロでしょうか。今できるのはそのくらいです。亅
他力本願だか、無職で宿なし。
これが借金となった罰金の返済法が思い浮かばなかった。
有難うございます。