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不運です

よろしくお願いします

ハガネが生まれて一番困った事がある。

母竜がいないので、何をどう食べるか知らないのだ。

父竜は、知らないよ。と言い出した。

飲み込んだものを出してみて。と頼めば、そんな器用な事が出来ないよ。と言うのだ。

普通は反芻した物を食べると考えたからだ。

父竜はお肉なら食べるよね。と言っては、獣狩ってくるのだった。

けれど、目の前に置いても食べず、きゅうと泣くだけだった。

村長はギルドに聞いて見るといいというので、魔力を込めて、超特急で送ってみた。


そして、事件は起きた。

子竜は魔力を食べているのか、弱ることなく生きている。


「竜騎士団である。

竜の密輸で逮捕する。亅

村長の家の扉が開くと、大きな声が入ってきた。


暖炉の薪が爆ぜる。


「竜騎士団!

お待ちください。なんの事でしょうか?亅

村長が聞く。

靴の音とともに、大きな体が入ってきた。

「話は後で聴く。

同行しろ。抵抗すれば斬る。亅

大きな体から大きな声が響くと、村長の体に縄が巻かれようとしていた。

「お待ちください。村長は関係有りません。2頭の竜は私の家族です。連れて行くなら、私です。亅

私の倍はありそうな男たち三人の前に出て行った。

「嘘をつくな。この物を庇い立てしても意味はないぞ。亅

「2頭の竜は私の言う事しか聞きません。

竜と共に同道しましょうか。

彼らには関係ございません。亅

リーダーと思わしき男が眉間にシワを寄せ渋い顔をする。

「本当だな。亅


「はい。

ジン行くよ。表に回って。

ハガネは抱っこするから。亅

踵を返すと、ハガネのは行った籠を取った。

いつものように、窓から顔を出す竜に声をかけた。

不安そうに揺れる瞳が目を閉じると頭を引っ込め、表に回って行った。

「本当のようだな。亅

私の手に手錠がかけられた。

村長夫婦は涙を流し震えていた。

「迷惑をかけてごめんなさい。

外にあるのは、いつものように皆で分けて下さい。亅

これ以上にかける言葉が見つからなかった。

そしてこれ以上迷惑をかける前に、出て行く事しかできなかった。



こうして、雪に閉ざされた小さな村を出て行くのであった。

手枷をはめられ、子竜は取り上げられ、その後ろを静かにジンがついて空を飛んで行った。

有難うございます。

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