村に住み着く
ありがとうございます。
村長の裏庭に竜が住み着いた。
モモカの側から離れたくない黒龍は部屋の窓に頭を突っ込んで、どうしてそばに居てくれないのと言う。寒くて死んじゃうと説明した。
黒龍かが狩りにいっている間は、外に出て卵を魔法で暖めている。
3日から4日のペースで出掛けてはモモカに狩ってきた獲物を口に咥えて差しです。
村の皆で頂くのだ。
山村の小さな村。
山と共に生きている。
麦は取れず、蕎麦が取れ、野菜を作り、山の木で器を作り、草や蔓で編んだ籠を行商人に売る。
主食は蕎麦をペースにし、野菜のスープを食べる。
嬉しいことに、家畜の餌さとして屑米が沢山あった。山を越えたとなりの国で米が取れ屑米があるのだ。
電気もガスもないので、大変だが蕎麦の新しい食べ方とお米の炊き方をを教えた。村の女性たちが集まって思考錯誤してくれたのだ。
赤米と黒米のご飯と蕎麦のすいとんだ。
喜んでくれるのでよかった。
きゅうきゅうと鳴いて窓に頭を突っ込んで来る黒龍。
小さき物が騒ぎ立てた。
生まれるの~と。
慌てて外に出てみると、黒龍の卵にヒビが入っていた。
きゅうきゅうと忙しなく泣く。
ぴゆっと、鳴き声が聞こえると卵は割れた。
光が辺りを包み新しい命が生まれたのだ。
「生まれたよ!ジン!男の子?女の子?」
「モモ!生まれたよ!男の子だよ!」
「男の子!名前を決めなきゃ!どうしよう!」
生まれたの~
生まれたの~
男の子!
真っ黒で赤い瞳の小さな龍。
こちらをみる。
ぴゆっと挨拶しているかのようだ。
黒龍と同じ。
「ジン!ハガネってどう?」
「ハガネ?格好いいかも!」
ハガネ~
はがね~
黒龍のジンの息子。
ハガネが生まれた。
雪が降る、小さな村で。