第6話:凡才は少しチートしてみる
こんな遅くになるのは久しぶりである。
ダンジョン内で探索してのでどれほど日が沈んだのか分からないというのもあるが思った以上に自分のレベルが上がるのを楽しんでしまって気づけば最下層近くまで到達してしまった。
だが、流石に最下層だけはやめておいた。聞くに調子づいた有望ある若者がその層のボスにより散ったようでそいつらのアンデッドがうろついているようだ。
ということは個体によってだいぶ違うというわけだ。もちろん同じモンスターでも癖は違うが極端に違うと対策もしづらい。
それにダンジョンボスは倒したところで、また違うモンスターがボスとして君臨する動物界と同じ仕組みらしい。
というわけで、今日もおとなしくサラの待つ宿屋へ戻ろう。
プリメランからダンジョンまではそれほどの距離ではないが、闇からの不意打ちを考慮しワープ系の魔法を唱えた。
実はこの魔法が初めて覚えた魔法で本来なら攻撃系の魔法を覚えるものであろうが、なにせ召喚を得意とする親子だ。つまりそういう系の魔法を勧めるのだ。
一応、適性というのもあるらしいが俺はかなり相性のいいタイプの魔法だったらしく逆に攻撃系はあまり得意ではない。
どちらかというとサポート系だな。
だが、下手に魔力を消費するより使い勝手が良く相手を撹乱させながら力をつけられたことを考えればかえってよかったのかもしれない。
「うん、今日もそれなりの精度だな」
このワープ魔法は使い手が少ないのに加え調整が難しい。
話で聞くと魔力に左右されるらしいが、最終的に慣れらしい。
そのため、先ほど闇討ちがどうのこうの言ったが、ただ単に使い慣れるために使っている。
ただワープできるからといって調子に乗って遅く帰ると…
「…おかえりなさい」
案の定、布団にくるまって悲しそうな顔をしていた。
この人結構寂しがりやなんだよな。
「すまん、少し最下層の方へ寄っていて遅くなった。あ、チラッと見ただけだから安心して」
そう言うと布団から出ていつものようにコーヒーを注いでくれた。
ただこのコーヒー、サラが栽培したやつなのだが一向に減る気がしない。少し不思議なのだが、おそらく以前聞いた四次元ポケット的アイテムボックスに持ち運んでいるのだろう。ただ、流石にそろそろ底がつくのではと…
「ダンジョンの方はどう?相変わらず順調らしいけど」
「サラのお陰でだいぶ楽に進めてるよ」
そう、実は今までの成果は全く俺の潜在的実力ではなくサラのお陰なのだ。
もともとこの世界の住人ではないので、魔力はおろか筋力も劣っていたがある行為で補うどころかむしろ常人よりも遥かに上回ってしまったのだ。
「それでは今日もしましょうか」
ということはあれだな。
俺は疲れた体でベッドに向かい座ると、サラは俺の膝上に座り首に腕を回し顔を近づけ目を閉じた。
サラの場合、目を閉じた時が合図でその後にキスしなくてはいけない。
最初の頃はとても不慣れで困らせたものだがほぼ毎日やっているお陰かコツがわかってきた。
ちなみにキス以外に方法があるらしいが他のやつは俺が拒否した。
一つは血を一滴でも毎日摂取するということ。
これに関してはサラの体に傷が付くのが嫌だったので拒否した。
もう一つはまぁ、子作りだ。
だがまだそのような関係を安易にしてはいけないと考え、最終的にキスになったというわけだ。
なんか本当信じられない、人生どんな風に転ぶかわからないものだ。
そんなことを思いながらサラを抱きながらいつしか眠ってしまった
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