始まったはず
その後、やたらとテンションの高い父さんをなんとかやり過ごし部屋に戻って来た俺は早速変身ができるのか準備を始めた。
「確か空間が必要なんだっけ…。」
おぼろげな記憶を口に出しながら足元の本やおもちゃなどをベッドの上に移していく。…どうやって変身するんだ?奴め、大切なことを教えてくれよ。
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色々部屋で試して見た結果少しずつ条件がわかって来た。まず、変身したいものを頭でよく思い浮かべ「変身!」と叫ぶと変身できた。試したのはうさぎや猫、もちろん人も試して見た。そのどれもが成功。人に至っては容姿まできっちりとだ。
次に、無機物。無機物にもしっかり変身できたが、超疲れる。いや待てなんだこれ、テニスボールに変身して見ただけなのにとんでもないくらい疲れるぞ。とにかく早く戻って、今日は寝てしまおう。ちなみに戻る時はなんとなく戻りたいと思えば戻れる。
「ぶわっはぁ!」
我ながらとんでもない顔をしていると思う。
「とっとと寝よう…。どんと疲れた…」
ベッドの上のものを全てはたき落とし俺は横たわる。疲れからか睡魔はすぐに襲って来た。
“あなたは決して道を踏み外さないように…”
今の俺にはその悲しみを聞く余裕もなかった。