始まれ
「「アル、誕生日おめでとう!」」
「ありがとう!パパ!ママ!」
僕の前には豪華な料理が並んでいる。ママの料理はとても美味しいのだ。
「しかしアルももう7歳か、時が経つのは早いなぁ。」
「そろそろ親離れも始まるんじゃないかしら」
「アイシャ、そんな怖いことを言わないでおくれよ」
「あらあなた、別に冗談なわけじゃないのよ」
「僕はいつまでも大好きだよ!」
「アルーー!俺もだ“はいここでストーップ”
囁いたような声なのに万物を止めてしまうような、威厳のある声が響いた。というかほんとに止まった。暖炉の炎も動きを失っている。
「えっ?」
僕には全く、何も理解できない。パパもママも止まっている。僕だけが動ける状況なのに脳は動きを止めていた。
“ではまあ早速、ドーーン!”
ガツン!世界が色を失った。そう思えるほど激しい衝撃が体の中を駆け巡った。 神経一本一本を丁寧に撫でるような感覚が止まらない
“やっば、こういう時は手順を踏まなきゃいけないんだった……きっ、きこえますか?きこえますかー?大丈夫ですかー?”
「ぁあ、なんとか」
“それは良かった。お久しぶりですね、アカツキさん。いえ、今はアルバートさんですか?”
「らしいな」
未だ意識がはっきりしない体でなんとかやりとりをする。
“約束通り7歳です。魂の定着と能力の説明に来ましたよ。もう1つは済んだのですが”
「ほんとにできてんのか?まだやばいくらい体が痛いんですが。」
“すぐ治ると信じましょう、それより能力の説明です。とっとと終わらせましょう。”
そういって神様は有無を言わさず説明を始めた。
“まずあらゆるものに変身できるといっても制限があります。まず1つ、変身にはある程度の空間が必要です。狭い空間だと大きなものに変身することはできません。物体を押しのけて変身することはできないのです。次に、この世界には魔法というものが存在しています。しかし、『変身』という魔法はまだ確立されていません。誰かに見られると厄介になるかもしれませんよ。あと、魔法は魔力を消費するのですが、変身は魔法じゃなく能力なので消費するのは体力です。なんども変身してると体力尽きちゃうので気をつけてください。”
「なるほどね。巨大な怪獣になって街を滅ぼしたりするのは無理なのか。」体の痛みはやんで少しずつこの体が自分だと意識して動かせるようになって来た。
“何とんでもないこと考えてるんですか。…何か記憶の不備はありませんか?”
「いや?特に。親の名前も自分の名前も君のことも全部覚えてるよ。」
“それは良かった。では第二の人生、ここからスタートです。”い好きだーーーーー!!」
なんにもそれっぽくねぇ!こういう時はなんかこう、あるだろ!なんだこの雑な始まり方!あいつほんっとめんどくさがりだな!そしてやっぱりパパがうるせぇ!第二の人生のスタートこれでいいのか?これで俺、幸せになれるのか?いや、なってやる。絶対になってやるぞ!今度こそ不真面目に、楽しんでやるんだ!