もどかしさとステータス
「リーナさん、俺に任せてください!絶対に自衛団を盛り上げて魔族を倒しましょう!」
そういうと途端に目を輝かせて、
「ありがとうございます、パイポイさん!あなたならそういってくださると思っていました!」
そういってリーナは俺の手をガシッと握って上下に振る。
よほど今まで苦しい思いをしてきたのだろう。その気持ちはよく分かる。
何かをなしえようとしようにも何をしていいかが分からない。
強くならないといけないのに今の生活が送れているだけで満足してしまって、何か特別な事を始める気にならない。
ただ先が見えなくて…、惰性的に日々を過ごしては偶の襲撃に脅える。
具体的な解決策がなく、このまま村は終わってしまうのかと何度も一人で苦悩したに違いない。
昔に戻れたら…。それが無理ならせめてこの生活が一旦全て壊れてしまって、そして初めからやり直せれば…。
俺ならば絶対にそう思ってしまう。いや実際以前にこんな気持ちを抱いたことがある気がする。
ふと意識を戻すとリーナが不思議そうな顔でこちらを伺っている。
「す、すいません…、少し考え事をしてました。それよりこれから自衛団の皆さんの実力を見たいんですが」
俺は慌ててリーナにこの暗い感情を悟られないように話題を変える。
「…え〜と、多分みなさんランクとステータスが書かれた用紙を持っているはずですから、それでご確認されてはどうでしょう?」
どうやらこの世界にはランクとステータスいうものが存在しているらしく、それらが明確な数字となって表示されることで、それらを基準にして職業や生活スタイルを決めるようだ。
ちなみにステータスの内容として体力、魔力、撃砕力、耐久力、敏捷力の5つの評価基準があり、それぞれが最高100までの数値で表される。それらの総合得点によってランクの判断が下される。
総合100未満がランクE、100〜200がランクD、200〜300がランクC、300〜350がランクB、350〜400がランクA、400〜450がランクS、450〜500がランクSSとなっている。だいたい一般成人が総合250程度でランクCらしい。
「ちなみに私はこんな感じです」
そういってステータス用紙を俺に渡す。
ランク:B
スキル:属性特化、風の導き
総合:323
体力:47
魔力:67
撃砕力:69
耐久力:56
敏捷力:84
用紙を受けとり見てみると確かにBランクであるが一般人と大きくは変わらないため、大猪程の強さの魔物を相手にするのは厳しいであろう。
ふとそこであるものが目に入った。
「そういえばこのスキルっていうのはどんなものなんですか?」
「スキルというのは後天的に得られるもので、最大3つ得られます。その人の日常行なっていることや仕事などに役立つものが多いですね」
スキルを持たない人も珍しくないようで、1つでも持っているだけで大きな強みになるようだ。
ランクSを超えるような強者は3つ持っている場合が多いらしい。
これはとても耳寄りな情報を手に入れられた。
ということは俺にもスキルがあるのだろうか…。もしかすると俺にはとんでもないスキルが眠っているんじゃないだろうか!
俺は興奮する気持ちを必死でおさえながら、ボロスの帰りを待つことにした。
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