スータ村
「ようこそパイポイ様。ここは苦難と絶望が蔓延る村、スータです」
2人の言葉に思わず引きつった笑いを浮かべてしまう俺。
村の中に入って辺りを見渡すと、確かに所々ボロボロになっていてすれ違う人全員に覇気が無い。
とくに村の中心にある戦士の像の腕の部分がポッキリと折れてしまっている様がこの村の現状を大きく物語っているように思える。
「実はこの村はパイポイ様がお倒しになられた大猪だけでなく、他の魔物の被害にもあっているのです…」
どうやらリーナが言うには、大猪は主に畑などの農作物に被害を与えていただけらしく、この村をここまで悲惨になったのは大猪を従える魔族の所為らしい。
魔族は魔物と違って知能があり、そのうえ能力も魔物に大きく勝るらしい。
たしかに大猪一頭倒せないようではこの村の現状にも納得できる。
「あの〜、それで俺は具体的にはこの村で何をしたらいいんですかね?」
「ここには自衛団と呼ばれる、戦いを生業とした者たちがいて、パイポイ様にはその者たちの指揮官をして頂きたいと考えています」
私もその一員なんですよ
そう言う彼女は少し照れながらもどこか誇らしそうである。
どうやらこれ程規模が小さい村でも、所謂冒険者の様な職業は存在するらしく、それが自衛団と呼ばれているらしい。
昔は魔物を狩り、物資を供給して生計を立てていたが、現在は辺りに住む魔族に太刀打ちできないため畑作業を手伝ったり、建物の建設をしたりと何でも屋のような印象が強いらしい。
「今から私たちの活動拠点に案内します。気性が荒い者も居るでしょうがパイポイ様なら大丈夫です!」
何が大丈夫なのかは分からないが、とりあえずリーナについていこう。
俺も男だ。どんな強者がいるのだろうか、間近で見てみたい。はやる気持ちが抑えきれない。
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