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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
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未来に向けて

お読み頂きありがとうございます。


ご都合主義的展開があります。

ご注意下さい。


 夜、ログイン。

 会社?

 ハゲ課長代理がセクハラアウトな下ネタ発言を課内でやらかしていたため、課の女性社員総出で現場を取り囲んで絶対零度の視線を全員で飛ばしてやったくらいか。

 本当懲りないなあのハゲ。

 いつか猥談を聞いたら引きつけを起こすような目に遭わす。


 ゴリゴリやってばかりなのも飽きたので、リルとミミを連れてアインの町をまたうろうろ。


「お嬢さん、ちょっといいかの?」


 私に話し掛けるのは住民のお年寄りばかりか。

 爺様と生活してたし抵抗はない。


「何か御用ですか?」

「お前さん、港サバの料理を持っているそうじゃないか。」

「ええ。」

「わしら年寄りにはサバが好物の者が多くてな。譲っちゃもらえんかね?」


 ピンときた。

 これこそがクエストの鍵だ。


「どうぞ。いかほど必要ですか?」

「おお、5匹もらえんかね?」

「はい、どうぞ。」

ありがとうな。お礼にわしの技術を伝えよう。道具も付けておくぞ。」

 

《裁縫スキルを手に入れた!》

《初級裁縫セットを手に入れた!》

《草の糸×99を手に入れた!》

《草の布×99を手に入れた!》 

 

 …ヾ(^▽^)ノやったね!わーい!


「わしらももらえんかね?」


 お年寄り御一行様到来!

 頑張ってサバを配り、代わりに鍛冶、細工、付与、彫金、木工のスキルと初級の道具セットを手に入れた。

 いや~、ありがたい話ですよ。


《ワールドアナウンス:鍛冶・彫金・細工・木工・裁縫・錬金術・調理の各生産スキルを正規の手段で獲得したプレイヤーが現れました。これよりアインの町に生産ギルドを開設する準備がなされます。》


 …(゜Д゜)

 まさか生産スキルを正しい手順で修得する必要があったとは。

 というか。

 これ私が危ないパターンじゃ?


 闇討ち…ヴィルナールサーガ・オンラインではPK可能だけど制約がひどいからあまり心配ない。

 シカト…今のところ困ってない。交流ないし。

 不買運動…同上。住民としか売買してない。


 あれ、困る要素ないわ。


 ポーン


 狙い澄ましたかのごときタイミングでメールが届く。

 差出人はアリス。


 『生産スキル関係の情報は外部サイトに流さないでね。』


 短い文章だが私は何となく、情報を流そうとしても無駄なことなんだろうと感じていた。


 返事は書かず、敢えて別のことを聞く。


 『付与と釣りは生産スキルに入らないんだね?』


 すぐ返事がきた。


 『特別情報!耕作スキルもあるけど生産スキルじゃないよ!』


 ビッグニュースじゃないか。


※※※※


 異動が来週、今週末は課内懇親会兼私の送別会。

 急な話だけど引き継ぎに手抜きはしない。

 それよりも懇親会で余興とかやらされないか心配。

 その辺、妙に体育会系ノリで押そうとする奴らがいるのだ。

 酒が進むとセクハラし出す阿呆もいるし、気が重い。

 

「山中、ちょっといい?」 

「はい、何でしょうか。」


 企画の資料をドサリと目の前に置いてやる。


「これって…」

「私が考えてた新規売り込み先の社内プレゼン資料よ。あんたの手柄にするもゴミ箱行きにするも、任せるわ。」

「ちょ、重いですって!主任!」

「私はあんただったらやれるって踏んでるの。いらないなら捨てるわよ?」


 英美は悩んでいたが、資料を受け取った。


「頑張ります。」

「よろしい。課長まで話は通してあるから来週の社内会議でプレゼンできるようにしなさい。」

「え!?」


 私も通った道だ。

 後任には英美を推してある。

 機会をモノにできるかどうか、ここからは英美の才覚次第。


※※※※


 ヴィルナールサーガ・オンラインはすごいと思う。


「お母様、何かいいことありました?」


 リルから聞かれ、首を傾げる。


「何だがスッキリされたように見えたので。」


 ハッと気づいた。

 ゆくゆくは係長、課長代理、課長かなと漠然と考えていた。

 それが秘書課に行くことになり、自分の業務を手放すことになった。

 無意識下では不安だったのだろう。


 任せてしまって大丈夫か?

 自分が居なくなって大丈夫か?


 でも英美に自分の企画を申し送り、何かが吹っ切れた。

 だから、スッキリしたのだろう。


(というか、リルがそういうことに気づくって…)


 本当に、ここはゲームの世界なのか。

 リルは、実際に生きているんじゃないのか。

 AIがここまでできるものなのか。


 私は少し考えさせられた。


「ママ、いなり寿司!」


 シリアスを粉砕してくれる娘のせいでいろいろ台無しだ。


「はいはい、じゃあまた屋台に食べに行こうか。」

「うん!」

「リルも行くよ。」

「はい、お母様。」


 私は二人の手を繋いで真ん中。

 リルは私の左側。

 ミミは少し照れたように私の右側を歩く。

 幸せな一時。

 妖精と戯れたくて始めたヴィルナールサーガ・オンライン。

 でも今はリルとミミと触れ合うのが楽しくて仕方がない。


 願わくばこの幸せが、長く続きますように。






ユラは未だにフィールドに出てません。

リアルと半々なので進展が遅いです。

ご了承下さい。

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