天狐とは(またユラ置いてきぼり)
お読み頂きありがとうございます。
このお話は、私深尋がやって返したいこととかをかなり反映しています。
各種問題でお悩みの方を貶める企図はありません。
また、実際にそのような現象を引き起こす技もありません(多分)。
ご了承下さい。
管理者の部屋でお茶を頂いている。
だが内心とっても落ち着かない。
理由は、内装だ。
西洋の城に、トランプ模様。
肖像画は各マークのキングからジャックまで。
しかも彼らの目が全部私を見ている。
気のせいじゃない。
『現在貴女はただ一人の召喚師なの。他の異邦人達は全員やり直して召喚師をやめてしまった。私は貴女にこのまま召喚師を続けてほしいの』
「ああ、聞きました。外部掲示板が情報源ですが。召喚師のジョブの条件がよく分からないとかで、正解に辿り着けないらしいですよ」
『そうね。でも私から詳しくは言えないけど、貴女はほぼ正解を辿ったでしょう?』
「そうですね。チュートリアルで既に罠が仕掛けられているとは誰も予想してなかったでしょうね」
エフェルさんの言葉。
契約するだけでは足りない。
心を通わせることが大事。
だから、チュートリアルで妖精と契約してもすぐに戦えない。
チュートリアル戦闘を最低評価で終えてでも、妖精を庇うことで信頼を獲得し、最高に心を通わせると、ギムエルが出てくる。
何というか、ちょっとアレだ。
「召喚師、不遇過ぎません?」
『理由があるのよ。言えないけど』
「はあ」
イタズラっぽくウィンクして、アリスは立ち上がった。
『お時間を取らせちゃったわ。この補填は情報でいいかしら?』
「内容によります」
『大丈夫、今のところ貴女にしか関係ないから』
私だけ?
『貴女と契約を希望する者の一柱の場所よ。クエストにして貴女にだけ配信しておくわ』
「椀飯振舞ね…」
『言ったでしょ。貴女に召喚師を続けてほしいって。』
クエストが配信されると部屋が揺らいだ。
『ではまたいずれ』
部屋とアリスが消え、私はログインした女神像の脇にいた。
「ん?」
フレンド登録希望通知が来ている。
「…アリス…フレンド登録できるのね。」
管理者アリスがフレンド登録希望欄にある。
承認し、ふと気付く。
他のプレイヤーと会話してない。
時間も中途半端になってしまった。
ぼっち疑惑が脳内に発生してしまった。
結果、今日は微妙な気分になってしまった。
「あの…お母様、気分が優れないのな「ママ!海!」…ミミ!」
首から上にずっしりと、ミミの重さがのしかかる。
「全く…」
子供というのはこういうものなのだろうか。
いつか結婚して、子供を持つ時が来たら…
「ママ?」
背後から覗き込むミミ。
「そうね、今日はキャンプ場で遊ぼうか」
「うん!」
「リルもいいかしら?」
「はい、妹と遊ぶのも楽しそうですから」
ということで、キャンプ場の下にある小さな浜に降りた。
水辺を走り回るミミ。
「しょっぱい~!」
「ダメよ舐めちゃ。」
「どうしてしょっぱいの?」
リルが答えに詰まる。
「お塩がたくさん溶けてるからよ。」
私が答えると、ミミは首を傾げた。
可愛い…!
SS自動撮影機能様々である。
リル妖精版と別ファイルで保存中だ。
「お塩って、どんなの?」
夢の調味料から一つまみ出して見せてやる。
「ふーん、これかぁ。」
ミミは海に向かい、
「えいっ!」
掛け声の瞬間、
《上質塩×99を手に入れた!》
「へ?」
「ママ、それだよね?」
…(゜Д゜)
((((゜д゜;))))
今この娘何したの!?
※※※※
昨日は結局ミミと戯れて終わった。
後半は実験ぽくなったけど。
できたのは上質塩、砂鉄、石英。
今日やることは、それらを使ってものを作れないかということ。
ちなみに現在早朝鍛錬中。
『霞の組み手』で爺様を思い浮かべ、実体を持った幻と小一時間戦う。
棍、剣、何でもあり。
まあ勝てないんだけどね!
汗を流して稽古着とタオル類を全自動洗濯乾燥機に投入。
スポーツブラにショーツ姿でニュースを見つつ朝食。
誰も見てないし気楽なものだ。
「さーて、今日も行きますか。」
パンツスーツにカンフーシューズのような、丈夫さが取り柄の革靴。
色気皆無。
うっすらファンデに薬用リップのみ。
入社直後、化粧した顔を当時の上司にオカマ呼ばわりされ、怒りの一撃を叩き込んで以来メイクはあきらめた。
ちなみに殴打事件自体はそばにいた総務の古参の女子社員のおかげでお咎め無しになった。
裏で何があったのか知らない。
だが、その先輩女子社員には可愛がられ、いろいろよくしてもらっている。
あ、その上司は何故か後日毛根が全滅し、綺麗に禿げ上がって泣いていた。
まだ40前だったのに気の毒かもだけど、人をオカマ呼ばわりした罪は重いのよ?
「おはようございます。」
「おはようございます。」
挨拶をして、自分のデスクに就く。
今日も頑張るか。