父親とVR
お読みいただきありがとうございます。
間が空きました。
いきなりの検査入院…
皆様健康に気を付けて下さい。
おかしい。
素材が全く出なくなった。
錬金術スキルを上げられない。
『アリス、素材が全く出ないけど』
『外部操作されて、動けないの。運営の監視チームだと思う』
はあ?
どういうことだろうか。
再度メールしたが、返信がない。
「何かすっきりしないし、帰ろうか」
「はい」
「「はーい」」
運営の介入?
会社も一枚岩ではないということだろうか。
※※※※
「…」
マスタールームのメンバーは、全員拘束されている。
「とんでもないことをしてくれたものだ」
真先蔵人は碇某のポーズを崩さずに言う。
「君たちは、クライアント達の意向を踏みにじった。君たちの身分は既にこの会社所属ではないし、君たちの今後については関知しない」
真先が手を振ると、拘束していた警備員達がメンバーを全員正面玄関まで連れて行き、放り出した。
「面倒なことになった。娘の意識が管理領域に隔離され、接続できない。外部からの操作を急げ」
「分かりました」
特別編成チームが業務に入る。
「有珠…」
蔵人は呟く。
ほんの一瞬表情が変わったが、誰も気付かなかった。
父親の、顔。
※※※※
翌日、帰宅前にアリスの病院に行ってみた。
病室には入れたが、画面に何も表示されない。
「アリス…どこにいるの?」
見ていても、分かるはずがない。
ふと、外で気配が動いた。
これは、知っている。
病室のドアが開き、入ってきたのは真先蔵人。
「君は…高崎くん」
「先日以来ですね、真先さん」
「君が何故ここにいる?」
喧嘩腰だなあ。
無理もない、襲わせた相手が目の前にいるのだから。
「友達の見舞いに来ていたらおかしいですか?」
「友達?」
「アリスと私はヴィルナールサーガ・オンラインでフレンドですよ。ここもアリスから教えてもらいました」
「…他意がある訳じゃない、と?」
「あなたじゃあるまいし」
皮肉に気付いたかな。
顔が歪んでいるぞ~。
「娘を、どうする気だ?」
「娘…」
ああ、真先有珠って言ってたね!
すっかり忘れてました(笑)
「…知らなかったのか」
「関連付けてなかったですね。」
真先氏は盛大にため息をついた。
「娘は今難しい状態にある。君ではどうしようもない」
「…どうしたんです?」
「監視チームの暴走で、全ての権限を奪われて管理領域に幽閉されている」
はあ?
「ということは、まだゲームの中に?」
「そうだ。君はヴィルナールサーガ・オンラインについてどこまで知っている?」
「アリスのVRシンドロームで作られた、くらいですね」
「そうか。ここから先は知られていない情報だが伝えておく」
私はちょっと身構えた。
厄介事の気配だ。
※※※※
VRについて、現在のチップ配列型の基板では限界があるというのは分かるか?
そう、我が社のヴィルナールサーガ・オンラインは、既存の概念を破壊した。
有珠は、初期のVR技術で発症した。
最初はそれでもログアウト出来ていた。
だが、『その時』は来てしまった。
娘が寝たきりになり、目を覚まさない。
どこにいるのかすら、最初は分からなかった。
あの子にヘッドセットを付けたのは、ほんの思いつきだ。
ログインしたハード内と関係ない場所で、つながるかどうかなんて、分かる奴はいないさ。
だけど繋いだ瞬間、画面に文章が表示された時は嬉しかった。
その後は周知の通りだ。
有珠は既存のハードの限界を超えるための新たなハードを設計し、それを実現した。
ただ、ハード自体はあちこちの専門家が口を揃えて断言した。
『現在の技術では生産は出来ない』
生体工学の権威と脳神経外科の権威はこうも言った。
『遺伝子情報と脳内マップの完全解明が出来れば生体コンピュータとして再現できるかもしれない』
そう、ものはあるが、誰も解析できず、生産もできない。
アリスだけが管理・補修できたのだ。
だが、ここにきてアリスの体調が悪化した。
VRシンドロームの影響らしい。
寝たきりということもあって、衰弱が著しい。
しかも今回、緊急コードを悪用して、監視チームの一つがアリスを故意にシステムから切り離した。
この子は今電子の海で孤独に苛まれている。
え、君を襲った理由?
君のお爺さんの影響は未だ大きくてね。
君を傘下に置けばいろいろ融通が利く。
それだけだ。
…ひ、ひいっ!?
は?
監視チームが制限したドロップ率を戻せ?
わ、分かった。
何?
娘が助かるかも?
自分でそう言ったと?
…すぐにかかる。
しばらく待ってくれ。
それと、君はもしかしてヴィルナールサーガ・オンラインをプレイしているのか?
…そうか。
娘を頼む。
我々もできる限りバックアップする。
※※※※
エタりました。
ごめんなさい。




